広島市中区の超覚寺副住職和田隆恩(りゅうおん)さん(42)が、自殺を考える人の相談に電子メールや電話、面談で応じる活動を始めた。全国の寺院が宗派を超えてつくるNPO法人のホームページ(HP)に登録し、地域の「駆け込み寺」を目指している。
NPO法人「自殺防止ネットワーク 風」は、21都道県33寺院が加盟する。和田さんは昨年末に活動を知り、参加を決意。1月、法人のHPで自らの携帯電話番号を公表した。
これまでに男女計2人から電話を受けた。「生き
ていても仕方がない」。そう嘆く女性とは計4回2時間にわたり話した。聞き役に徹し、相手の心が落ち着くのを待った。「みんな、誰かとつながっていたい」。和田さんは相談者の孤独を自らの体験に重ねる。
京都市出身。証券会社の営業マン時代、ノルマに追い詰められ自殺を考えたが、顧客の僧侶に相談して救われた。その経験から29歳で退職。僧侶の修業を1年間積み、親せきが住職を務める超覚寺に入った。
和田さんは「相談者が悩みをはき出せるようとことん話を聞きたい」と話している。相談は原則、メールでまず受け付ける。アドレスはnamuamidabutsu@softbank.ne.jp
【写真説明】「一人でも多くの人の悩みに、耳を傾けたい」と話す和田さん