今回の法語である。

『 人間は誰でも


  自分が一番大切なのです。


  そして、そのことを


  本当に自覚した人間だけが


  自然なかたちで他人を


  大切に思うことができるのです。

        「生きるヒント2」 五木寛之
 』  58枚




以前、テレビCMで、こんな言葉が流れていた。

「 『命は大切だ』

  そんなこと、

  何千、何万回言われるより
  『あなたが大切だ』
  誰かがそう言ってくれたら、
  それだけで生きて行ける。    」

物資が豊かになっても心の満足度はそれには及ばず、

逆に、自分の大切さを実感しにくくなってしまったのが、

今の世の中だろう。

一方、好き勝手なことをして、
「自分を大切にしている」
と勘違いしている輩も少なくないが、
「それで本当に良いのだろうか?」
などと自問している人もいることだろう。


「自利」・「利他」という仏教用語があるが、

他人の為にしている(利他)ことで喜びを感じるのであれば、

その行為は「自利」でもあるし、

自分の為にしている(自利)ことでも、

他人がその姿を見て何かを感じてくれたなら、

その行為は「利他」になるのである。

「情けは人の為ならず(=自分の為)」とは言い得て妙である。

そのような両立している状態 『自利利他円満』 を体験している人は、

自分に対しても他人に対しても、ごく自然に振舞えるのであろう。