今回の法語である。



『 白が幸福、黒が苦労とするならば、
  白の白さを際立たせるには、


  黒を隣に置いてみることです。


  黒の色が濃ければ濃いほど、


  黄なりものでも白く見えるのです。


                美輪明宏   』  42枚 



苦労を重ねた分だけ、それが報われた際の喜びも大きい。

逆に、苦労をしなければ、望む結果が得られても喜びは少ない。


「為せば成る 為さねば成らぬ 何事も

 成らぬは人の 為さぬなりけり (第九代米沢藩主、上杉鷹山) 」


という言葉も、「努力すれば目標がかなう」ということではなく、

「努力しなければ目標はかなわない」というのが本意であろう。

そして「努力しても目標がかなうとは限らない」という不条理が分かっていないと、

ただ「頑張れ!」と他人にも自分にも無理強いしていまうのだ。


だから最近の風潮として、結果を求めるあまり過程において、

道徳や法令や礼儀作法を遵守しない輩が増えてしまうのだ。

十二分に手順を踏まねば結果が出ないのは古今変わらないはずである。


松坂大輔投手や荒川静香さんにしても、いきなりスターになった訳ではない。

幾多の挫折を乗り越えたからこそ、今の栄光が在るのだ。

我々はその結果にのみ賞賛するのではなく、その過程から学ばねばいけない。





こんな似た言葉もある。


「 人生はオセロ。赤ちゃんの時は白。
  その後、黒ばかりが多くなっても、
  最後には、多くが白にひっくり返ることもある。

                      萬田久子   」



ひっくり返っても黒、ということもあるかも知れないが、
逆に、黒く塗られただけの白や、
混じりあってしまったグレー、という場合もあるから、
根気よく、腐らず、慢心せず、晩節を汚すことなく生きたいものである。