今回の法語である。


「 われわれが、死や恐怖に対して不安をいだくのは、
  それらを知らぬからじゃ。それ以外の何ものでもない。

            「ハリー・ポッターと謎のプリンス」より   」



『あの世ってぇ所は、よっぽどいい所なんだろうねぇ。

 だって皆行ったきりで、誰一人帰ってこねぇじゃねぇか。』
という落語ネタがあるが、

死後の世界なんていうのは人知を超えたものであり、

あらゆる宗教・宗派が謳っている浄土観・天国観は、

所詮、人間の創造の産物に過ぎないのだ。

しかし、それを信じ込む、信じたいというのが信仰というものであり、

だから死後の世界(=幸福)を信じて、特攻とか自爆テロとかが実行できるのだろう。

その心根には大義の為という自己陶酔があるのだろうが、

そんな自殺行為を推奨するような宗教は邪教である。


しかし浄土真宗でも、戦国時代の一向一揆では「進者極楽往生 退者無間地獄」と、

第2次世界大戦でも「戦死は無我の行・菩薩の行」「義勇奉公こそ仏恩報謝」等と、

門徒を励まして(脅して?)いた訳だから、宗教に政治が絡むと本当に危ない。


今の時代、死後の心配をしている人なんて極々少ないだろうが、

自分の仕事をしていて、“この仕事でずっと食べていけるだろうか?”
なんていう不安を多くの人が感じているだろう。

それは、やっぱり未来の状態が分からないから。
自分の存在価値、つまり、この社会で、どういうポジションで、

どういう仕事をしているか、が見えなくなる時があるから。

どんな不安であるかに関わらず、
不安だからこそ、分からないからこそ、そこに立ち尽くしてしまうのだ。

一方、その反対で頑張れるようになる人もいるだろう。

分からないのは自分だけじゃない。不安なのも自分だけじゃない。

みんな同じ条件なんだからとにかくやってみるかって、

立ち上がったからこそ分かるようになる場合もある。
それにつれて、不安も減ってくる。

しかし、全てスッキリ消えることはない。
別の次元で新しい不安が生まれるはずだから……。


 先週の法語用紙のお持ち帰り数は45枚だった。