夜中の散歩
夜中、ガタガタとえらい音がするので気になって見に行ったら。
ブラインドを押し上げて、窓の外を向いているおじいちゃんのシルエットがあった。
窓から脱走??
ちょっとファンタジックな絵ではあったけど、おじいちゃん、と呼んでも何も答えないから、
泥棒かと思って心配になった。
おじいちゃんは「くさくて、くさくて・・・」
と言いながら、押入れをガサガサやったりしている。
私はおじいちゃんをトイレに送ってから、ワイン
を飲んでスコーっと寝た。なんか、最近は一杯やって寝るのが癖になっているような・・・

ヤバいかな?
朝の散歩
朝8時30分ころ。
おばあちゃんが「おじいちゃんがいない!」というので探したらほんとにいなくて、
裏の扉のカギが開いていた。
これは、出たかもしれない。
私はおじいちゃんの行きそうなところに走った。
ついさっき、ということだから、そんなに遠くには行っていないはずだ。
近くのお店に顔を出す。
いない。
じゃあどこに?
遠目に、見覚えのあるシルエットがかすかに見えた。
もしや、と思い駆けつけると、おじいちゃんだった。
煙草を買おうとして、昔よく行っていた煙草屋さんに向かっていた様子。
「おじいちゃん!」
声をかけると、「おお」と応える。
手をつないで歩こうとすると、煙草屋さんのおじさんが出てきた。
おばあちゃんが「そっちに行ってませんか」と電話したみたい。
おじさんは、おじいちゃんと年が近くておじいちゃんのこともよく知っている。
挨拶をして、おじいちゃんと家路を歩く。
ゆっくりゆっくり
道を渡るときが一番怖い。
おじいちゃんの手をひいて歩く。
家の前で、おばあちゃんが待っていた。
「もー、心配したんだよ!」
そんなおばあちゃんの心配に「うるせーなあ」と言いつつ、
「朝は気持ちいいからな」と家に入って行った。
昼夜逆転
おじぃちゃんは、長い昼寝をして昼夜逆転してしまった。
夜、22時ころに玄関のチャイムが何度もピンポンピンポンピンポンと連続して鳴るので驚いて下りて行ったら
おじぃちゃんが「わけわからん。何で開かないんだ」と玄関の扉を指さして言っていた。
玄関は、従来の鍵ひとつだけだとおじぃちゃんが開けて出てしまうので、鍵をふたつ取り付けてある。
おじぃちゃんはその新しいふたつの鍵を開けることができないのだ。
父とふたりで「おじぃちゃん、もう夜だよ」と「夜は開かないよ」などとなだめながら居間に戻らせた。
おばぁちゃんはもう寝ていたようで、びっくりして起きてきた。
おじぃちゃんは落ち着くと、座ってテレビを見始めた。
どうにもできないので、我々は鍵をいつもかけていない鍵も閉めて、寝ることにした。
私の部屋はチャイムがあまり聞こえないのでそのまま寝られたが、父母は何度も夜中に外に出ようとするおじぃちゃんのピコリンで起こされ、そのたびになだめに出たらしい。
ピコリンの音を夜だけ消したらいい、とおばあちゃんは言うけれど、父はそれじゃあ意味がない、 何かあったときのためにつけてるわけだから、と。
そりゃそうだねえ。
父も、とてもおじいちゃんを気遣っている。
その気持ちが伝わるといいねえ。