救急外来の廊下で待たされて呻いていると、

「採血します」と言ってきた。

しかし、右腕で2回、左腕で1回失敗して採血ができない...

手首に近いところから採ろうとするので、そこだけは痛いから駄目と言って拒否した

「血管には入っているのに...」看護師は頭をひねりながら他の看護師に相談して当直医を呼んで来た


裏で看護師と話している医師に

「採血なら一昨日経過観察で来た時にやってるから2日前のデータがあるでしょう

痛いのは腹なんだから、腹を見てよ!」

私の怒った声が聞こえたのだろう医師がやって来て腹を触診し始めた

逃げないで触診を始めた医師には好感が持てた


触診では重篤な状況ではないと判断した医師(名札では呼吸器内科)が主治医に電話をかけて、採血できないと話し始めた


電話の結果、CTを撮る事になって戻って来た

「CT撮るのなら造影剤を入れるから、どうせルートを取らなければ駄目でしょ」と言うと、

「そうなんですよね」と困った顔をしていた


その後、意を決した当直医がルートを取るためにちょっと太い針を持ってやって来た。

前腕の中ほどの少し太い血管に穿刺したが、やっぱり出ない...

再チャレンジの2回目でやっと出て来たので採血することができた

一同、ホッとしてCTを撮るために移動した


準備できているとの連絡で撮影に入ったのだが、1回目の撮影後に機械が動かなくなり、静かになってしまった


足を伸ばしてじっと同じ体勢で待っていたが、神経を圧迫して痛みのある右足が痛くなって来たので、足が痛い旨を伝えると装置が元に戻り、足の下にクッションを入れてくれた


おそらく、腹の中の異常をチェックしてくれていたのだろう

1人しかいなかった技師に加えて2名の看護師が出て来て造影剤をルートに接続して様子を聞いてくれた


血液検査とCTの結果を救急外来で待っている間に

採血の穿刺を3回連続で失敗した看護師に

「採血は特に苦手じゃないんでしょ?」

と声をかけたら、頷きながら

「こんなのは初めてだった。水分不足だったのかなぁ」と呟くベテラン看護師に、きつい言い方をしてしまった事を詫びた


最後になって逃げられたと内心喜んでいたコロナの検査がやって来た

救急外来は、この検査があるから嫌だったのだが、ここまで無かったので一安心していたら、駄目だった...


「やっぱりコロナやらなきゃ駄目?」

聞くだけ無駄だと思ったが一応聞いてみた

「救急だとね...駄目なんですよ」

観念して鼻の奥の痛みをグッと我慢した


結局、コロナの結果が出る前にストレッチャーは病棟フロアに向かい、

「また、戻って来ちゃったよ〜」と冗談を言いながら病室に移動

2週間前に別れを告げた看護師たちと久し振りの対面となった

再会を歓迎する訳にはいかない彼女(彼氏)たちは神妙な顔をして迎えてくれたが、顔は微笑んでいた

見知った看護師たちの顔を見るとホッとして、ドタバタのストレスも吹き飛んだ

コロナ陰性の連絡の頃には19:00を過ぎていた


入院グッズの忘れ物があったので買いに行こうと思い立ち、車椅子を出してコンビニに行こうと出たら

「コンビニ?一緒に行ってあげるわよ」

と日勤から残っていた副師長に言われたのだが、遠慮して先に進むと担当の看護師が通りかかり、急ぎの物なら貸し出すからコンビニは明日落ち着いてからにしたらと言われて、車椅子を押されて戻って来ると、さっきの副師長が

「あ〜!私が言ったら断ったのに〜」とふざけて言い出したので

「いやいや、そういう意味では...」と言い訳すると微笑みながら車椅子を代わって押してくれた


何ともチャーミングな副師長との再会を嬉しく思いながらベッドに戻り、睡眠導入剤と痛み止めを飲んで眠りについた