NSAIDs(Non-Steroidal Anti-Inflammatory Drugs)は直訳すると『非ステロイド系抗炎症薬の総称』で広義にはステロイド以外の全ての消炎鎮痛剤を指す。

これらは酵素に働きかけて炎症や痛みの原因物質であるプロスタグランジンの合成を抑えるのだが、このプロスタグランジンは胃や十二指腸の粘膜を保護する役割も担っているので、粘膜保護が抑えられると胃酸(酸性)や胆汁・膵液(アルカリ性)で粘膜がただれてしまい、大火傷の状態になってしまう。
これがNSAIDs潰瘍である。

その為、医師はNSAIDsを処方する時、抑制されてしまう粘膜保護酵素を補強する目的で、粘膜を増産するレパミピドまたはテプレノンなど粘膜保護薬を組み合わせてバランスを取っている。

NSAIDsは内服薬だけでなく、湿布や塗り薬の様な外用薬もあるが、通常は手足や関節部・肩・首など消化管の近くには使用しない。
背筋の炎症だけ肩甲骨から脊柱起立筋に使用するが、長期に渡り使用する事はない。

外用薬は局部的に使用する事で効果が高まるが、消化管のすぐ近くで使用する事は想定外だっただろう。
しかも、ここ1ヶ月は神経を圧迫しているのか臀部と鼠径部の痛みが強くなり塗布量も倍増していた。

また、同時期から右腰骨の炎症を抑えるため、新たにナイキサンを併用して服用していた。

これらの事からNSAIDs潰瘍を疑い、ナイキサン、トラマドール、アセトアミノフェンの内服と、ジクロフェナクジェルとケトプロフェン湿布薬の使用を中止し、保護粘膜の修復にはランソプラゾール(PPI)とレパミピドを引き続き内服する事とした。

3日ほどで結果が出ると思われるが、思わぬ所に落とし穴があったものだ...