久し振りに投稿意欲が湧き筆を取る事にした。


中居正広氏が盲腸がんの切除手術を受けたと報道されて以来、これまでメディアであまり目にする事の無かった盲腸がんという単語を見る事が多くなった。


しかし、メディアの不勉強が目に余るので盲腸がんについて投稿する事にする。


先ず目についたのが

「中居氏は盲腸がんなので大腸がんではない」という記事だが、呆れてしまった。


盲腸というのは小腸に最も近い大腸の上流部分で、大腸に近い小腸を回腸といい、この二つを分けているのが回盲弁で大腸から小腸への逆流を防ぐ働きを持っている。


大腸は小腸の末尾である回腸に近い部分から

盲腸⇒上行結腸⇒横行結腸⇒下降結腸⇒直腸

と分けられるので、盲腸は大腸の先頭部分の名称なのである。


虫垂というのは盲腸から突出した器官で、昔は無用と考えたれていたが、近年では有用菌(善玉菌)の棲家として腸内環境の保全に機能している事が分かった。


虫垂がんという病名もあるが、非常に稀な悪性腫瘍である。


余談だが小腸がんというのは非常に稀な病気で、体内で免疫力の最も高い小腸では、遺伝子に異常を来した細胞(がん細胞)が出現しても、真っ先に破壊されてしまうので、がん細胞が増殖し難い臓器だからである。


閑話休題


次に「盲腸がんは深刻である」という記事で、大腸は右側と左側で手術後の予後に差があり、右側(盲腸から横行結腸の真ん中まで)の方が再発や転移などで多いという研究結果が発表されている。


これを深刻と言うのか甚だ疑問で、隣接転移や遠隔転移に繋がるリンパ節転移の方がよほど深刻であろう。


また「病状が悪く退院が遅れた」という記事だが、外科手術を失敗した場合や合併症の発症などレアケースを除き、退院日は患者の回復具合で決まる。


術後に痛みが残り、麻酔治療を延長すれば運動機能が低下したままになり、回復が遅れてしまうのだが、痛みというものは患者自身の感じ方なので、同じレベルの痛みでも我慢の度合いが変わって来る。


私は多少の知識があったので、一歩で5cmほどしか前に進めない状況から嫌がらずに歩行を続けて、翌日には麻薬系の痛み止めを終わらせ、回復を早める事に成功して退院日は早まったが、逆に数日間遅くなる事もある。

ここ数年の検査機器の飛躍的な進歩により、昭和期の様にメスを入れるまで分からない時代ではないのだから、開腹手術の場合は副口腔手術より数日間 入院期間は長くなるが、高名な病院だろうから大事を取っただけだろう。


中居氏の場合は、腫瘍の発見から手術まで2ヶ月もあり、私の時の様に即刻手術という訳ではないので腸閉塞を発症しているとも考えられず、深刻な状態ではなかったと推察される事から、退院日が遅れた理由を「病状の悪化」としている記事は誤った解釈なのではないか?と感じている。


私は盲腸がんのステージⅣだが、再来月で最初の原発巣切除手術から4年が経過する。


大腸がんのステージⅣの5年後生存率は20%程だが、何とか5人に一人の方に入れそうである。


投稿を休んでいた期間に知った事も幾つかあるので、順次 投稿して行く事にする。