日本にいる時はそれなりに頑張っていた。

仕事もバリバリとはいかないが、出来る範囲でやってきた。

我慢も含め、どこにいても大抵の事はこなせると思っていた、、、


しかし、カンボジアで暮らして2ヶ月。

拒否反応が起き始めた。


とにか、見るもの全てを受け入れられなくなっていた。

あれだけ食べる事が大好きだったのに

カップラーメンとコーヒー以外は口に出来なくなっていた。

それも半信半疑な、やるせない気持ちで食べていた。


ちなみに、私の住んでいる街はカンボジアと言っても

アンコールワットで有名なシェムリアップだ。

なので、今となっては

お洒落なお店は沢山あるし、味だって普通に美味しいと思う。



でも、住んでからの2ヶ月間は、とにかく東京暮らしとのギャップと、

頭の中で、更に色々な事を複雑に考えすぎてしまっているので、

食べたいモノも、食べたいという事すらも忘れかけていた。



生きるために何か食べなきゃ、、、


その気持ちだけで1日1回食事を口に運んでいた。

しかし、そんな気持ちでいるので、どんなお店で食べても、

直ぐにお腹が痛くなり、トイレに駆け込む始末ガーン




言葉も、環境も、空気も全てが違う。

でも、自分で決めて、自分でここまで来た。

文化や生活習慣の違いを責めているわけじゃない。

責めるのは自分自身。

わかっている。

大丈夫。わかっているなら乗り越えられる!

そうやって自分自身を応援してみたりもした。

。。。でも 辛かった。

考えれば考えるほど暗くなり、泣いていた。



しかし、複雑な頭の中とは打って変わって、

ラーメンとコーヒーが長く続くと

身体がちゃんとした栄養を欲してくる。

その日はもう身体のいう事を聞かなきゃ

倒れるかもしれないレベルだったので

仕方なく近くにあるクメール料理屋に入った。



白いお米はあるけれど、美味しく感じられない。

なので、味がついていたら何とか食べれるかもと

バイチャーを頼んだ。

バイチャーとは日本の焼き飯と同じ感じの食べ物だ。



ちなみに、私が入ったこの店は無駄にオープンキッチンだった。

見たくないけど、料理が出てくるまで

ガラス張りのキッチンの中をチラチラ見ていた。

青山や白金にあるような、

ピッカピカに磨かれた鍋なんてもちろんない。


ガラスの向こう側では、

そんなにパラパラにしなくてもいいのにってぐらい、

炎を上げながら私のバイチャーが空を舞っている。

一応バイチャーはちゃんと作ってくれてるようだ。


でもその手前で、見習いシェフがハエを追っ払っている。

そして更にその手前で、女の子シェフがマンゴーを花のようにさばいている。

そしてチラチラ見ている私に「凄いでしょ!」と自慢げな顔で

切ったマンゴーを見せきた。


そんな姿を見て「手洗ったかな。。。」とぼんやり考えている私。

でも、それを察すられるのは嫌なので、

「すごい、すごいよ。」という笑顔をしながら首を縦に振った。

きっと笑顔はひきつっていただろう。

ここらへんが日本人だなーと我ながら思う。



全く関係ないが、マジックのセロはご存知だろうか。

彼の業はあくまでも「マジック」なので、必ず仕掛けがある。


でも日本人は特にその仕掛けを考えすぎて

「どうやってこうなるの?」とか「本当に??」などと

素直に驚けない傾向にあるらしい。

そんな人にセロはこう言っていた、、、



「Don't Thinking Just Feel !」


しばらくしたらバイチャーが運ばれてきた。

カンボジアに居ながら、セロの言葉に背中を押されて

期待ゼロで口にした。。。。



「考えるな 感じろ!!!」



ぱくっ!!!

モグモグモグ、、、、ビックリマーク




。。。あれ!?

美味しい(*'▽')!!!音譜





次の日から、ここが私のライフライン的な場所となり、

1日1食食いだめする生活が始まった。