誰が泣いているんだろう?
これは誰の感情だろう?
雨は午前11時に降り始めた。
チェンマイの雨季の雨は通常
こんな時間に降り出さない。
わたしはその日朝から
家を出る荷造りをしていた。
荷造りと一緒に
要らない物を捨て
溜まっていた埃を拭いていると
まるでそれは自分自身のようだった。
一番多いキッチンの道具と
本を仕分けしていると
雨は降ってきた。
彼は出ていくわたしに
心の内も明かさず
何も言わず
外で煙草を吸っていた。
チェンマイの雨季は
もう少しで終わる。
きっと次の満月で雨は止まる。
そして半年間雨は降らない。
わたしはその思い切ったように
はっきりしている気候が好きだ。
わたしという人間は
曇ったり晴れたりする。
自分が自分で分からなくなるくらい
気持ちは移ろう。
でもそれがわたしをこの国に
留まらせてくれた。
この国は小乗仏教の国。
移ろうことは無いという
幻想に囚われないように
移ろうものをただ眺める
という習慣がある。
それは人間を安心させ
強くしてくれる。
移ろいゆく感情を眺めながら
わたしは鼻から出入りする
空氣に心地良く酔いしれる。
そのうち感情は心地良さと
混ざり合って遠くに消えていく。
アーナー・パーナー・サティ
わたしという入れ物の中に
入ったり出たりしている
いき(息もしくは生き)。
そのいのちの揺らぎに
氣づいていられたら
脳からはエンドルフィンが
勝手に溢れ出す。
それでも人には心があるから
わたしはもうすぐ泣くだろう。
雨季みたいに一っ氣に泣いて
また移ろっていくだろう。
そういう自分を薄情とは
思わなくなった。
それはとても尊いものだから。
タイ語で遠慮のことを
グレンジャイという。
グレンはギュッと固くなる
握りしめるような感じ。
ジャイは心。
握りしめて固くなった心。
もう放して、雨は降り
雨は止む。
今朝早く、家族が目覚める前に
窓の外、うっすら明るい
透明な青。
今のわたしの氣持ちみたいに
まだ動き出していない世界
を見ていた。
夜明け前のマンガラム。
そしてそれは段々と明けて
ゆっくりと
あなたの目と同じ色の
青空へと変わっていく。

これは誰の感情だろう?
雨は午前11時に降り始めた。
チェンマイの雨季の雨は通常
こんな時間に降り出さない。
わたしはその日朝から
家を出る荷造りをしていた。
荷造りと一緒に
要らない物を捨て
溜まっていた埃を拭いていると
まるでそれは自分自身のようだった。
一番多いキッチンの道具と
本を仕分けしていると
雨は降ってきた。
彼は出ていくわたしに
心の内も明かさず
何も言わず
外で煙草を吸っていた。
チェンマイの雨季は
もう少しで終わる。
きっと次の満月で雨は止まる。
そして半年間雨は降らない。
わたしはその思い切ったように
はっきりしている気候が好きだ。
わたしという人間は
曇ったり晴れたりする。
自分が自分で分からなくなるくらい
気持ちは移ろう。
でもそれがわたしをこの国に
留まらせてくれた。
この国は小乗仏教の国。
移ろうことは無いという
幻想に囚われないように
移ろうものをただ眺める
という習慣がある。
それは人間を安心させ
強くしてくれる。
移ろいゆく感情を眺めながら
わたしは鼻から出入りする
空氣に心地良く酔いしれる。
そのうち感情は心地良さと
混ざり合って遠くに消えていく。
アーナー・パーナー・サティ
わたしという入れ物の中に
入ったり出たりしている
いき(息もしくは生き)。
そのいのちの揺らぎに
氣づいていられたら
脳からはエンドルフィンが
勝手に溢れ出す。
それでも人には心があるから
わたしはもうすぐ泣くだろう。
雨季みたいに一っ氣に泣いて
また移ろっていくだろう。
そういう自分を薄情とは
思わなくなった。
それはとても尊いものだから。
タイ語で遠慮のことを
グレンジャイという。
グレンはギュッと固くなる
握りしめるような感じ。
ジャイは心。
握りしめて固くなった心。
もう放して、雨は降り
雨は止む。
今朝早く、家族が目覚める前に
窓の外、うっすら明るい
透明な青。
今のわたしの氣持ちみたいに
まだ動き出していない世界
を見ていた。
夜明け前のマンガラム。
そしてそれは段々と明けて
ゆっくりと
あなたの目と同じ色の
青空へと変わっていく。
