ふと気づいたら人生早くも折り返し地点。
そこで、これまで誰にも話すことのなかったわたくしの人生を振り返ってみたいと思います。
小学校~高校時代
小学校の時の思い出といえば、やっぱり初恋。3年生の時に同じクラスになったのがハン・ドンス君。無口でクラスの中で目立たないタイプだったな。休み時間に他の男子はみんな校庭に出て野球とかサッカーをしているんだけど、ドンス君は絵を描いていたの。私も一人で本を読むのが好きなタイプだったから、なんとなく気になるようになって。なんて言うのかな、不思議な空気感のある子だったの。他の男子とは全然違う深みがあるって言うのかな。
私は中高は女子校に行っちゃったから、すっかり彼のことも忘れていたんだけど、高3の時の文化祭に、隣の男子校の男の達がグループで来ていて。その時に6年ぶりに見たんだけど、
「あ、ドンス君だ!」ってすぐ分かったの。自分でも不思議だった。それからグループ交際って言うのかな、みんなで会うようになって。一生懸命話しかけたりしたんだけど、ドンス君は私の友達の派手な美人が好きなのがわかって苦しかったな。一度だけ勇気を出して呼びだしたんだけど、結局まともに話せないまま彼は用事が出来て帰っちゃった。
結局彼とはお付き合いも出来なかったんだけど・・・。本当にここだけの話、私がアメリカ留学中に一時帰国した時、偶然地元のホテルのロビーで会ったんだよね。その夜のことは、一生の思い出。ドンス君、今は地元で漁師をしているって人づてに聞いた。彼も幸せになっていると良いな。
大学時代
結局誰とも付き合うことがないまま大学に行って、入学式の次の日に会ったのがこの人、ジノン君。あとで知ったんだけど、大きなホテルチェーンの息子だった。とにかく私も初めての彼氏だし、毎日楽しくて。同じ年なのに甘えん坊なんだよね。自分が履修していないのに、私の授業に全部ついてくるんだもん。4年間は片時も離れずっていう感じで楽しかったな。今思うとだいぶわがままな子供だったけど、こっちも若いから気にもならなかったな。一度お家に連れていかれてお目にかかったお母様は大分怖かったけど、当時は結婚を考えていたわけでもないから、まあいいかなって思ってた。
大学在学中、私が在籍していたのが弓道部。弓道部の顧問だったのが、イ・サン先生。もう、本当にハンサムだし、常に冷静沈着。先輩に聞いたところによると、イ・サン先生は高貴なお家の出なんだって。道理で道場に入ってから弓を射るまでの一挙手一投足が常人とは異なる美しさだったわけね。先生は中国文学の教授でご専門は四書五経なんだけど、特に『中庸』を研究されているみたいで、毎日練習の前に、第23章を暗唱するのが部の伝統だったわ。どんなに強くても、暗唱できないと試合に出してもらえないの。ストイックでしょう?でも、ど忘れしちゃったときは、先生の右腕の尚冊コーチがそっと耳打ちしてくれるんだ。先生もそれを知って見逃してくれていたな。先生と尚冊コーチって本当は付き合ってるんじゃない?って女子部員の間では噂だったけど、どうだったのかな。
シアトル留学時代
ジノン君は、とりあえずママのホテルチェーンで修業するって就職活動もせず。私はアメリカの大学院に行くために、まずはシアトルのコミュニティカレッジで語学を勉強することにしたんだ。
シアトルに到着してまだ1週間くらいの時かな。授業も始まらず、友達もできない最も孤独な時。ジノン君に電話したら、なんと、私のことを他の女の人の名前で呼んだんだ!問い詰めたら、まだ付き合っていないけど、30歳のパティシエの女の人が気になっている、って素直に告白。悲しくて悲しくてその日はずっと泣いていた。彼は物理的に恋人がそばにいないとダメなタイプって薄々わかっていたけれど・・・。
悲しくて、帰国するために空港に向かっちゃおうかなってバスターミナルの近くで座って泣いていたら、「今、何時かわかる?」って声をかけてきたのがこの人、フンさん。もしかしてナンパですか?って訊いたら、「エスコートサービスっていう仕事。お客さんになる?」って。どういう仕事かわからないけど、何でも話を聞いてくれるっていうから「いくらですか?」って聞いたら「う~ん、学生さんでしょ?お茶をおごってくれるだけでいいや」だって。とにかく独りでいたくないから、カフェに行って話を聞いてもらったの。これがプロの聞き役かあって関心するぐらい、温かい目線で包んでくれるんだよね。なんか2時間くらい話したら、ジノン君のこと、忘れてきちゃった。それで、「ありがとうございました」って帰ろうとしたら、「僕と寝たい?」って言われたからすっごく驚いちゃった。「エスコートサービス」ってそういうお仕事だなんて知らなかったよ。絶対ママに怒られるって思ったけど、フンさんの魔法にかかっちゃったみたいで。ちょっと安っぽいモーテルに連れていかれたけど、やっぱり怖くなっちゃって。そうしたら、優しくキスだけして「本当に僕が必要になったらまたいつでも電話して」って名刺だけ握らせてくれた。その後電話する勇気はなかったし、なんどかバスターミナルの周囲を歩いてみたけど、一度も会うことはなかったな。
あ、そうそう。シアトルにいる時に遊びに来てくれたのが、この人、私の従弟のチョン君。ずっと中国に留学してたんだよ。すごく女たらしだから、女友達を紹介したらダメよってママに注意されたくらい。でもすっごく優しいんだよね。私にはお兄ちゃまがいないから、チョン君だけがオッパーなの。あと、うちの親戚なんだけどなぜかすごくロイヤルな気品もあるんだよね。それに喧嘩がすごく強くて、お化けが怖いって言ったら、どんなお化けでもやっつけてやるぞって。ハロウィーンの時はコスチューム着て悪事を働く男性もいるから気をつけろって言いながらゾンビのコスチュームの人達を次々も病院送りにしちゃった。本当に悪者だったかは誰にもわからないけど。
アイルランド留学時代
本当は、シアトルからそのままカリフォルニアに移って大学院に入るつもりだったんだけど、ある日ママから電話が。どうやら従弟のチョン君が、私が隠していたフンさんの名刺を見つけて、ママにそれとなく伝えたみたいなんだよね。「なもんは変な男と会っているんじゃないか」って。それでママに「なもん家はカトリックなんだから、やっぱりカトリックの国にしなさい」って言われて、ダブリンの大学院に留学することに。
そこで知り合ったのがカン·グク君。最初に泊まったダブリンのホテルで社長のボディーガードをしていたの。私がホテル内で薬をなくして焦ってたら、部屋係でもないのに一緒に探してくれたのが縁。とにかくグク君はすっごく素直で可愛いの。ジノン君に似ているところもちょっとあるんだけど、全然意地悪なことも言わないし、なんでもわがままをきいてくれるんだよね。ママには秘密で二人で暮らし始めちゃった。料理が苦手だった私も朝から頑張って豚カツを作ったり。グク君は本当に大切にしてくれたよ。ホテルの社長にも信頼されていて、後継ぎに、なんていう話も出ていたみたい。このまま絶対結婚すると思っていたんだけど、ある日大変なことが起こったの。
突然、私の頭の中で他の男の人が家を建て始めちゃったんだよね・・・。
続く・・・のかな・・・?
「お前、いい加減にしろ!」という抗議の声はコメント欄までどうぞ・・・。