「システムズ・アプローチ」って知ってる?
カウンセリングで使われている考え方・療法なんだけど、
人は、他人との関わりのなかで生きているから、
他者との関係性のまとまりをシステムとしてとらえ、
さまざまな問題に対応していこうというものです。
この「システムズ・アプローチ」は、もともと「システム理論」や
「経営工学」などから発展してきたもので、企業や医療機関、
教育機関など、さまざまな組織や団体の問題を解決し、
よりよいシステムを実現するための方法論として
実際に使われています。
特定の個人の問題だと考えられるようなことであっても、
その人が属する「組織」(システム)、
たとえば、会社の部署や学校のクラス全体の問題として
とらえ直してみると、まったく違った問題として見えてきます。
それは、システムのメンバーそれぞれが、他のメンバーに
対して、さまざまな影響を及ぼしあっているからです。
たとえば、ある企業で大きな問題が発生したとします。
外部の人間から見ると、原因が追及され
直接の担当者やその上司、役員、代表が処分を受け、
終わりになります。
しかし本当は、根本的な解決ができたわけじゃないのです。
なぜなら、どうしてそのような問題が起きたか、
企業という組織(システム)全体の問題として考えなければ、
再発を防ぐことができないからです。
ここで「システムズ・アプローチ」の考え方を取り入れて
考え直してみると、原因が担当者や直属の上司だけに
あるわけではない、とわかってきます。
たとえば、社内の危機管理に関する見解が部署によって
異なっていたとか、派閥人事のせいで社内の監視機構が
機能していなかったとか、問題を起こした担当者に対して、
実現不可能なノルマを強制していたとか、
さまざまな問題が見えてきます。
このような問題を解決するためには、
システム全体が変わらなければなりません。
つまり、各社員や役員の関係性についての見直しが
必要になるわけです。
これって何にでも言えると思いませんか?
いじめも、いじめてる子といじめられている子に
問題があるわけじゃなくて、その子たちを取り巻くシステムに
何らかの原因があるから、結果としていじめに
なっているんじゃないかな?
それは家庭の教育の仕方や親の不仲とかね。
口喧嘩になっていても、そのときそういう言い方を
してしまったのは結果であると思うんだよね。
私は問題の解決を見出すとき、この考え方を
取り入れるようにしています。
目の前で何かつらいことが起きているとしても、
それ自体に原因があるわけじゃなくて、
自分と相手の一連のシステムのどこかに
そうさせてしまうことがあったから、
結果として、今の状況にあるって考えたら
自分や相手を責めなくてもいいだろうし、
もっと冷静に考えられそうじゃない?