映画「ザ・マジックアワー」

ザ・マジックアワー
The Magic Hour
2008年:日本映画
監督・脚本:三谷幸喜
出演:佐藤浩市、妻夫木聡、
深津絵里、綾瀬はるか、
西田敏行、小日向文世
映画への愛情を凄く感じるし、真摯さも一生懸命さもとても好感が持てる、つまらない話では絶対ないのだけれど…、スイマセン「まあまあ」でした。
ファーストシーン。ビリー・ワイルダーの映画のようなセットの街。ギャングがやってきて、ホテルに入っていく。カメラは階上の部屋へ移動。2階の窓辺では派手な女と男前がいちゃついている。……しかしこの二人が、恋人同士には全く見えず、かといって「俳優がやってる恋人同士ですよ」というハリウッド的お約束事にもなってない。「おしいなぁ~!」と感じる。…2階の部屋にギャングが押し入る、男前はあわてて窓から飛び降りる。女は悠然と煙草を吹かしている。…サイレント映画のコメディのような場面の流れ。よく考えてある、アイデアもいい、脚本もいい。でも「何か決定的に足りない」。それこそ「ビリー・ワイルダー監督ならどうしただろう?」と余計なことを考えてしまう。
「冒頭つかみそこなったけど、悪くはないぞ」と思って見ていると、同様のストレスが次々起こる。タイトル前だけでも、所々の画面構成、妻夫木と綾瀨の屋上シーンのカメラワーク、佐藤浩一登場の背景画の効果、さらにその背景が無くなった後の撮影所の群衆シーン。「おしいなぁ!」と感じる。以降プロローグの失敗が後を引く。埋め合わせが出来ぬまま、映画は終わってしまった。「きっとこんなイメージなんだろうな」と頭の中で補足する。各シーンを勝手に空想していくと、凄いコメディ映画が出来上がる。
とても良くできた物語。一生懸命、真摯。この映画に関わった方々のこの映画への愛情も感じる。一生懸命の映画はけなせない。もちろんそこそこ最後まで楽しめた。
しかし、もしかしたら「在りしハリウッド映画の楽しさを満載した傑作!」になったかもしれないのに、「普通に楽しめる映画」に収まってしまったことが悔しい。
三谷幸喜氏は、もの凄い脚本を書いたが、監督としてこの巨大な物語を作るには力不足だった。とても、とても残念。