虫垂炎手術には下半身麻酔をします。

後ろ素っ裸の状態で(割烹着みたいなのを着る。前側は隠れている。)右半身をベッドに押し当てて、身体を丸めて、背中から麻酔をうちます。最初に表面を、2回目は中まで。

歯医者だと、麻酔とかいいながら麻酔をするのが一番痛かったりするじゃない?あんなのだと嫌だな~と警戒していたのですが、すすっと麻酔してもらえて、大満足。なーんだ全然痛くなかった♪


ところがそのあと、予想外のことが。
盲腸は右下腹部にあるので、右下半身は、より強く麻酔をきかせます。

麻酔効くまで右半身を下にして身体を丸めた態勢なので、膝を曲げている感覚のまま、感覚だけがそこでフリーズしてしまうんです!

実際には、麻酔がきくと、脚はだらーんと伸びきるわけですがそれは見た目だけの話で、感覚は「曲げている」まんまなんですね。これがびっくりでした。そして、つらくなります。


そのまま手術をします。
寝っ転がって右膝だけ中途半端な立て膝姿勢を、ずっと続けるのは疲れますよね。これがもうすっごい不満!
脚を投げ出してるならともかく曲げて固めたままなんて!うぎゃー

脚伸ばして~って訴えると、
「それはね、感覚だけですよー実際には脚はだらーんと伸びているから大丈夫ですよ。」

と、ドクターも看護師も口を揃えて言う。

そうはいってもですね。
こっちからすると。。
延びてるのは見た目だけですよー。
実際の感覚は膝持ち上げてるのよー
しんどいんじゃーこの体勢!大丈夫くない!

麻酔が行き渡る前に脚を伸ばしてくれさえすればいいのに!

ひたすら早く終わることを祈る。



まだかまだかと祈っても終わらない。

なんか、盲腸破裂してたらしく、腹膜炎を起こしているとのこと。目隠しの向こうでドクターが話します。

ドクター 「NAMIさーん、虫垂、破裂してましたよ~」

私 「え〜揉んだからですかね~」

ドクター「ちがーう、時間経っちゃったから~」


違ったか。
痛いの散らしたくてもみもみしてたんだよね。
てか、今、お腹ひらいてんのよね。情景想像するとグロい。


悪いところ切り取って縫ったあと、お腹の中を洗ってくれているらしい。←後で知る

時間が経つにつれて不安とつらさが、おしよせる。態勢の辛さなんかどうでも良くなってくる。

お腹は開かれてるぽいし、体温が下がるのか、手の小指薬指が麻痺してくるし、腕が痙攣してくる。歯もガチガチしてくる。

このまま帰れなかったらどうしよう、娘に会いたいよーさっきのあれが今生の別れだなんて悲しすぎるーと、涙がつつーっと出てきました。


娘にもう一度会えるか不安になり、頭のところにいる看護師さんに
「帰れますよね?」
と聞いたら、
「え、それはどういう意味?」
と聞き返されました。

さすがに今日帰宅できるとは、私でも考えませんわよ。

私「つまり、死なないですよね」

ナース「え、大丈夫、それは全然大丈夫!」

↑そんなこと心配してたの的な。

この頃になると、もう体力気力かなりなくなってきて、とにかく早く終わってーと祈るばかり。

(手術時間って患者の負担にすごく差が出るんですね!大門先生!)

とにかく悪寒がすごくて、震えと痺れが止まらない。


「ハイ、あとは、閉じたら終わりですよー!」
という、看護師さんの声が、天使のお告げに聞こえました。


麻酔するところから含めて、手術は1.5時間くらいでしょうか?



お腹閉じたあと。。。

ドクター「切ったところみるー?」

私「はい、見ます」

ドクター「はい、これ。ここが腐りはじめていた盲腸で、こっちが詰まってたところ。どーお?」

私「私すごい近眼で、メガネしてなくてこの距離だとよく見えないんです」

ドクターが目の前10cmくらいに近づけて見せてくれて、もう一度説明してくれた。ありがたい。

ほほーー。こんななんだ。ガン見。
これが肥大破裂した盲腸か。
石になって詰まってるのって、わずか2mmくらいのものなのか!小さいな。

本当はもう少し詳しい解説を聞きたかったが、体力気力の限界。


ドクター「よくここまで。もっと早く来なきゃ!なんでここまで我慢してたの。」

私「それは。。虫垂炎ってもっと痛いと思ってたんですよー」

ドクター「その話はあとで看護師さんとしといてねー」

←自分が聞いたくせに!(笑)

手術室を出ていくドクターに、最後の力を振り絞って、ありがとうございました、とお礼を言いました。


しかし問題は、この後。
病室に帰ってからでした。


(つづく)