4.発達障害について~先述の手紙より~ | 明石市、加古川市の放課後等デイサービス、児童発達、障害者施設、兵庫明石高等学院の波の家福祉会理事長ブログ

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兵庫県 明石市・加古郡播磨町にあります、大久保駅前保育所・波の家・アスペ 波の家こどもセンター 理事長 のブログです

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だいぶ前にウチを卒園し、

現在は元気に小学校に通っているお母様からの手紙。

4年間の長期に渡りこの子とたずさわり、

「療育」という面では、一番うまくいった例だと僕は思っている。



初めてこの子を見た時僕は、間違いなく自閉症だと思った。

こんな時、僕の対応は大きく2つに分かれる。


1)何も言わないで、むこうから相談してくれるのを待つ。 
 

2)早期に発見し、早期に療育を始める事の重要性を説明し、
  はっきりと親に伝える。
 


1)に関しては、無責任といわれるかもしれないが、


親にとって子供が障害児だと認めるのは、極めてシビアな問題である。



1歳半健診や3歳児健診で引っかかっても、適切な療育を受けさせず、

ドクターショッピングを繰り返す親は、今まで山のように見ている。


こういう人は決して子供の障害を受容せず、無理に無理を重ねて、

普通に小・中・高と通わせても、その後がないんだ。


たいがいこういう子って、

対人関係のトラブルや、コミュニケーションの問題、

さらに格好のイジメの対象になったりや、逆に非行に走る事もあり、

思春期を過ぎる頃に破綻する事が多い。

いわゆる発達障害の二次障害として不適応を起こし、

精神疾患を抱えたり、不登校になってしまったり。


僕はこういう人たちを勝手に、「こじらせ発達障害」と呼んでいる。

波の家にも山のように、こういう人たちの親が相談に来るよ。


この手紙のお母さんに関しては、

何となくだけどこの人なら話しても大丈夫だと思った。


実際、このお母さんはびっくりする位すんなり受け入れてくれて、


すぐに専門機関を受診し、はっきりと自閉症と診断された。


その後も、僕を全面的に信頼してくれ、

こちらのアドバイスにも素直に従ってくれた。


もちろん保育所でも、

この子に関しては職員に対しても指示を出し、個別に対応した。 



話は少しそれるけど、少し発達障害がある場合、

とりあえず保育所のような集団に早く入れる方がいいと言われるが、

これはある意味あっているが、ある意味全く意味はない。

特に自閉症(広汎性発達障害)に関しては、基本は個別対応。



いくら集団に入れたとしても、

周りの子供の行動を無視する「Going my way」の場合、

やみくもに集団に放り込んでも、全く意味は無い。

あくまでも大人による個別対応が基本だと思う。 


この子に関しては、お母さんに僕がアドバイスした事は2つ。

(1)とにかく、親自身がよく勉強して最良の療育者となる事。

親以上の療育者は存在しないという事。


そして、出来る限り母子間のしっかりした愛着関係を作る事。



(2)定期的に専門機関を受診し、必要に応じアドバイスを受けたり、

定期的に発達検査を行い、療育の効果を確認する事。


この2つは、実は、僕自身が子供にしてきた事だ。

僕はこの道15年。


言ってみれば、「プロの障害児の親」だから。

まず、(1)については、


よく週に1回とか通園施設に通っている方もいるが、

あくまで「おけいこ事」の1つと考えた方がいい。

過度の期待は禁物。

特に自閉症と純粋な精神遅滞のような子も一緒くたにした遊戯療法は、

ただ漠然とやっているような所もある。

全く意味がわからない。


この子に関しては、

最初、ぺック(絵カード等によるコミュニケーション手段)から入って、

いわゆる行動療法を少しずつ取り入れて、

身辺の課題を中心に出来るようにしていった。

そして、元々発達する力を備えていたのだと思うが、

4歳を過ぎた位から、うまく表現できないが、

ある瞬間目つきというか表情がガラッと変わった。

その前後を境に、

飛躍的に言葉の理解や身辺の課題、不適応行動も

目に見えて少なくなっていった。

IQも当初50程度しかなかったのに、

小学校に上がる頃には80程度まで伸びていた。


現在彼は、僕のアドバイスに従い、

小学校の特別支援クラスで元気に過ごしている。

周りの子供との親和性も高いようだ。


それと、僕が発達に関して相談を受けたとき、

とりあえず最低、これだけは読んで下さいという5冊の本がある。

どれも非常に良書なので、もし興味のある人はぜひ読んで欲しい。


(1)発達障害の豊かな世界(杉山登志郎)


(2)発達障害の子どもたち(杉山登志郎)

(3)高機能広汎性発達障害(杉山登志郎)

(4)発達障害かもしれない(磯部 潮)

(5)自閉症の子を持って (武部 隆)


※参考資料(杉山登志郎著 発達障害の子どもたちより)



この頻度から言えば、

6~7人に1人が何らかの発達障害を抱えていることになる。

小学校35人クラスなら、5人?