だいぶ前に平成ライダーを本編全部コンプ(視聴済み)したので備忘録に。
ついでに著者の超個人的なおすすめ度や
半ば独断で決定した好み度も載せるので
少しでも気に障った人、
不快に感じた人は迅速なブラウザバック推奨です。
これ間違ってるよとかそれこういう解釈なんじゃないの?というコメントに関しては大歓迎ですのでどうぞ。
 
また、響鬼や一部を除く作品は劇場版を見ていないが、大抵のやつは見たのでその感想も載せておく。
(Vシネはゲイツマジェスティのものを除くとほぼ見てない)
 
なお筆者は世代としては
幼少期龍騎、555ドップリ世代。
電王、ディケイドあたりまで子供時代に追ってました。
それ以外の平成作品は全て大人になって見直したものです。
あと令和作もゼロワン、セイバー、リバイス本編全制覇。ギーツも最新話まで追ってます。
よって感想はかなり偏るかもしれません。ご了承を。
 
【注意点として 本編の重大なネタバレをガッツリ含みます!!】
文字だけでもネタバレは激しく本編内容の面白さを損なうため、本編未視聴作品がある方は可能な限りその本編全話を視聴してからの閲覧を推奨します。
また全シリーズ全話通して視聴済みなので、
ちょくちょく比較や関連付けて感想を交えることがあります。
 
以下勝手な評価基準について。
・おすすめ度:★★★★★評価で
★☆☆☆☆なら星1つ。
短いが理由もつけてるかも。
・面白さ: 星評価で以下同じ。
ストーリーとしての面白さ、キャラクターの面白さ、世界観の面白さ、アクションの派手さとかなどなどを色々総合的に。
・革新性:以下同じ
敵・ライダーキャラ含むデザインの目新しさ、設定の類を見なさ、設定の目新しさなど。
・主題歌
オープニング(エンディングもあれば)。
完全に好み。
 
 
平成ライダーとは
クウガ、アギト、龍騎、ファイズ、ブレイド、響鬼、カブト、電王、キバ、ディケイド
W、オーズ、フォーゼ、ウィザード、鎧武、ドライブ、ゴースト、エグゼイド、ビルド、ジオウまでの20作品のこと。
このうちクウガ〜ディケイドまでは平成1期
W〜ジオウまでを平成2期と呼ぶことがあります。
この記事でもそう読んでいきます。
 
 
 
第1作
仮面ライダークウガ
A New Hero. A New Legend.
 
おすすめ度:★★★★★
 万人におすすめ※ただし人によっては恐怖するシーンもある。
 
面白さ:★★★☆☆〜★★★★★
序盤数話は遜色ない面白さ。しかし爆発や必殺技など平成後期のものと比べると華やかさ派手さはない。時代による物ではあるが。
 
革新性:★★★☆☆〜★★★★☆
超古代に眠る戦士と魔族(獣族?)との戦闘やゲゲル、グロンギ語などの後続にも類を見ない独自設定がある。また、クウガの変身フォームもバリエーションが豊富であり、その攻撃方法や能力特徴も実に多彩でオリジナリティあふれる物である。しかし種明かしや裏切りのどんでん返しが豊富な平成作品の中ではやや大人しめ。基本はクウガが現代に蘇った怪人グロンギが起こした事件を警察と追い、倒していくだけの極めてシンプルな一本筋なのでその辺を期待している層には味気なく映るかもしれない。
更にはこうしたものの裏設定は公式(ボンベまで内)で語られることが少なく、てれびくんビデオや後発の資料などを読んで各自頭で補完しておく必要がある。
 
主題歌
オープニング:★★★★☆
スルメ。曲だけ聞くとほぼ昭和後期。
仮面ライダーの名前が入る歌って珍しくはないんですけど、強調されてるのはこの曲と次のアギトくらいのもんです。芋かっこいい??
伝説は塗り替えるもの、これを体現してるのもいいですね。
エンディング:★★★★★★★★
☆5突き抜け。涙出てくる。
話の終わりに相応しいエンディング。
どこまでも優しい曲調と語りかけてくるような
穏やかさがまさしくクウガそのものを象徴しているような出来。この後に挿入される最終回付近の次回予告の青空がたまらなく切なさを強調させます。
 
 
正式な記念すべき平成第一作目の仮面ライダー。
平成初期も初期ということもあり、今のカメラとは異なる2000年代特有の掠れテープ感??や間の取り方、人物の映りやロケ地の様子などが楽しめますよ。
 
さてこのクウガですが、次回作のアギト〜後期世代から見れば実はかなり物珍しい脚本・ストーリー展開です。
というのもあの平成特有のギスギス感、嫌な空気感はほとんどありません。
多少毒気つくような描写こそあれど、それを嫌な方に繋げていかず最後には必ず笑顔で終われるような解決やエンドで後味の良い内容となっています。
 
たとえば主人公である五代雄介の思想や事柄を「綺麗事」であると言ったり(その発言をした人物も役作りのためグロンギに家族を襲われてよかったねなどという侮蔑とも取れる発言を他者から受けたためこのような言い方になってしまったわけだが)するが、最後にはどうにか和解をしたようで決して嫌な終わり方や人を憎み合うような展開にはしません。
平成だったらこのエピソードで数話キャラの心へし折れるだろうと思う方にとっては綺麗に終わって若干物足りないかもです。
逆にクウガから平成スタートを切った人は後続作品がどれもこれも(555まで)陰惨でギスギスドロドロとした人間ドラマばかりでギョっとするかもしれません。
 
また、話の要所要所もかなり道徳寄りの内容となっていて子供を登場させて主人公ライダーと絡ませ、その「夢」について語り合ったりなどは常套な特撮フィクションの話作りではありますが、中でもクウガは穏やかで優しく包み込んでくれるような作風です。
五代雄介の代名詞サムズアップや彼の理念とも言うべき思考の大元となった教師の登場や、榎田さんの息子関係についてとか、とにかく大人も子供も楽しめる作品の代名詞ともいえる内容になっています。
 
私は視聴してピンとこなかったのですが、反面ゲゲルやグロンギなどの演出はかなり怖かったらしく、次回作のアギトでは再現不可能な殺害方法などに取って代わられたようです。
 
ですが怖いとは言ってもアマゾンズや昨今のスプラッタホラーに比べたらお子様もお子様なので(そりゃそうだ)血も生首も飛ばないクウガなんてまだまだ見れますよ。
ほぼ直接死んだ映像は出なかったはずです。
一番やばそうな「バックします」のやつや「振り向くな」の女とかも直接映してないから割とサラッと流れます。逆に仄めかす系やサラッと流すのがリアルを感じて怖いというのはありますが……。
 
またエンタメとしては割とサラッと流れる情報が多く、きちんと頭で理解していないと何をどうしてどうなっていたかが曖昧になるおそれがあります。
多分まとめ動画や解説で見たら「あーこんなのあったなー」ってなるか「こんなんあったかな?」てなるか二極化すると思います。
細かい描写やサラッと流れる描写が考察する上では結構大事だったりします(クウガのモーフィング能力とか上級グロンギ達が持つクウガのそれに似た能力とか)。
 
その他平成あるあるの人間が怪人になるやつとか、敵の中にいる人の心を持って改心した怪人とか裏切りとかいろんなテンプレはありません。
その他の作品と比べるとかなり独特な雰囲気の作品となっています。
一番近い雰囲気なのは29話までの響鬼かもしれません。
実は平成作品でエンディングがあるのって前期ではクウガと響鬼くらいなんですよ。こんなところでも意外な共通点が。
 
逆に後期響鬼は井上脚本なので上記テンプレ要素もでてきました。特に京介。
 
独特な雰囲気が特に現れてるポイントとしましては
公式配信とかで1話2話とかで見れると思うのですが、まず五代くんが力を手にして戦う時も他とは違うんですよ。
普通主人公なら急激な力の変化に戸惑ったりやっと倒せた…?的なリアクションとったりすると思うのですよ。五代くんの性格踏まえて見るとこれらの演出は実は「相手が怪人であっても殴ったり痛い思いをさせるのが嫌だ」というものに変わって見えるのですよ。その証拠につばき先生もそんな五代くんを見て感じるものがあるのか、そのことについて触れてとある人を説教するシーンがあるんですよ。
最終決戦の時でさえクウガになっても五代くんはずっと泣きながら戦っているんですよ。
これ以上誰かが悲しむところを見たくない、
みんなに笑顔でいて欲しいから、
だからどんなに嫌な戦いにでも根をあげず身を投じていくのです。
そんな彼が唯一大激怒したといってもいいのが、ただでさえ殺人ゲームである言語道断な内容のゲゲルを行なっているグロンギの中でも、ただ子供に死の恐怖を感じさせながら愉快犯のように楽しんでいるやつがいた時です。
 
しかしこれも普通のアニメや特撮作品だったら怒りのままに最低なやつをぶちのめす勧善懲悪的展開にしたり、それが好まれて賞賛されますよね?
ところが五代くんはそんな自分すら戒めにして反省しているほどです。
まあ物語設定的に見ても力の暴走、聖なる泉が枯れ果ててしまったらクウガの力は失われるようにアマダムがプログラムしているのでそうそう何度もできるもんじゃないんですけどね。
 
こんな心優しく争いにも無縁な彼だからこそ、
一条さんは「こんな寄り道はさせたくなかった。君には冒険だけしていて欲しかった」みたいなことを言ったんでしょうね。
最終戦のデザインや構図も面白くて、こんなに心優しい五代くんが変身するクウガが禍々しい真っ黒なアルティメットフォルムに変身して(暴走なし)残虐な殺戮ゲームを楽しむグロンギの頂点に君臨するダグバが真っ白なフォルムなんですよ。
また強い相手と闘う、命をかけて殺し合うというのが大好きなダグバはクウガとの戦いの中満面の笑みを浮かべて殴るんですよ。こんなところも主人公とは対照的ですね。
 
その他襲われた遺族の悲しむ顔を見て拳を握りしめるシーンとか見逃すと結構損しちゃうシーンが結構あるんですよ。でもしつこくじっくりは描かない。
 
必要最低限の描写で、それでいてわかりやすいを徹底しているようなシンプルながら切れ味の鋭い話作りになっています。陰湿な性格の人間がメインで登場しないので、純粋に悪を敵だけに絞れて人間関係では心穏やかに見れるのが特徴ですかね。
 
ちなみに最終決戦の後に五代雄介は死んだか生きて海外にいたのかということで割と話題になるみたいですね。
私はてっきり生きて海外の子供達に色々〝技〟を披露しているのだとばかり思ってましたが、どうも死後の世界とかなんか物騒なことを思いつくファンがいるみたいですね。
まぁ直接どうなったか描かれなかったのでそういうラストもあるんじゃないか的な話でしょうけどね。
 
ちなみにクウガって漢字で書くと
「空我」なんですよ。
本編のサブタイトルにもあるように。
まぁ当て字かもしれませんが。
 
 
第2作
仮面ライダーアギト
目覚めろ、その魂
 
おすすめ度:★★★☆☆ー★★★★★
とても面白いが、万人にはおすすめできない。
井上脚本故に賛否両論あり。
王道展開は大体網羅しているので是非大人も子供も見て欲しい反面、人間ドラマがなかなかにアクが強いので子供に見て欲しくないという二律背反。
 
面白さ:★★★★☆〜★★★★★
序・中・終にかけて
どこを切っても面白い。主にキャラに着目して見ると、必ず推しができるといってもいい上目移りしそうなほどキャラが立っていて個性的なので見ていて飽きない。
人によっては若干嫌悪感を催すようなやり取りも。
特に優しい雰囲気の前作と比較すると衝撃がでかいかも。
 
革新性:★★★★☆
開幕OPのイコン画からアギトという設定、人間を超えた超能力者・頂上的存在など新人類が台頭していく世界を扱ったものなどが好印象。
また人のままライダーの世界に足を突っ込んだものなど平成前期ではやや珍しい総力戦などが非常に盛り上がる。今でこそ珍しくない強化形態を全ライダー(に匹敵する物も含め)が持ち合わせるなど。
一方で前作のクウガのようなバリエーション富んだ変身や色合いなどは差別化を図るためか少ない。
が、代わりにクウガではできなかった警察による擬似ライダーなど、基本戦力が大きく増えている。
クウガのアークル等の古代風デザインを踏襲しつつも、アギトそのものの設定も加味され全く新しいものに生まれ変わっている。
平成における喋らないベルトも響鬼まで出てこないのでレア。響鬼を〝ベルト〟ではなく〝変身アイテム〟としてみるならベルトとしてはこれが最後。
 
主題歌:★★★★★
渋カッコいい。
前期後期も好きなんですが、
後期の揺るぎない愛とGet onーで
上がっていくあの感じが好きなんですよね。
映像も実はifの未来説あったり色々かっこいいんですよね。あとこの頃かな?オープニングに本編の内容を示唆するようなのが追加され始めたのって。
 
 
*
平成初期であり、実質的な平成初期シリーズの開祖ともいえる作品。
それもそのはず、脚本を務めるのはあの井上敏樹さん。
平成特有の人間の負の側面に着目した会話劇、
シリアスな人物もお構いなく巻き込むコミカルなギャグ展開(氷川のみならず北條まで)
食事シーン(映画のDC版焼肉含む)
多少のスケベ(映画の胸ちら、太一の欲求不満発言など)
あと男女の恋愛ですね。
 
ちなみに私推しが葦原涼くんことギルスなんですけど、脚本家は彼に恨みでもあんのかってくらい彼に対して鬼畜です。
突然化け物に目覚めてしまい、水泳仲間や恋人からもその「異形」故忌まれて、なんとかできた恋人は大体死んでしまうという悲しいやつです。
 
何が悲しいってそれに対して本人以外の前で多少怒る?ことはあれど、基本許すスタンスなのが……
恋人から避けられても憎んだり逆恨みしたりストーカーになったりせず真っ直ぐに受け止めているところとか……。
あと津上くんが基本おとぼけた感じでギャグ要員こなせるけど、葦原くんは基本ずっとシリアスなのでそっちに感情移入しちゃうんですよね。
あとギルス変身時の「グァアアァ!!」や「ギャァオオオ!」ていう迫真の獣の雄叫びみたいなのが大好きなんです。口開くの含めて(珍しくないですか?仮面ライダーの口元やマスクが動いたりするのって)
魂の解放というか、野生というか、
あるいはこんな姿になって怪物と戦わなければならないという悲哀や悲痛に満ちた叫びにも聞こえてきて……喉クッソ痛めるらしいですけど笑
アギトも黙っていればめちゃくちゃかっこいいんですけどね(笑)
特にクウガのような変身後も変身前の優しさが垣間見えるような姿(グローイングフォームを見てるからか?ツノの短いクワガタやカブトムシ見てるみたいで可愛いんだすよね)とは違って
アギトはなんかこう、「俺、やりますよ」キリッみたいなもうなんか強そうなオーラジンジンに滲み出てる感じがたまらないんですよ。
実際氷川さんも津上さんが打ち明けるまでは彼がアギトだと全然思わなかったみたいですし。
まぁ前期はアギトに変身しても津上くん全然喋んないから仕方ないんですけどね。
 
とにかく井上節全開のストーリーとキャラです。
「俺の〇〇になってくれるかもしれないんだ」フレーズが出た時は不覚にも笑ってしまった。
クウガでは全く描かれなかった
・ライダーとライダーの争い
(しかも原因が最悪の形による誤解)
その誤解がもつれ込んで関係が悪化する
・とにかく口と性格の悪いもの同士の口論
主に小沢さんと北條さん
ーや、あかつき号に乗っていた
メガネの女性の話し言葉全般。
劇場版だけど冒頭のピアノ関連に際する津上くんのやや余計な一言、劇場版の悪役に近い女キャラ深海理沙など。
などなど癖の強い展開盛りだくさんです。
でも後の井上作品と比べるとまだまだ王道偏重なので、笑えるところはきちんと笑える作品になってます。
井上節?といえば
特定のキャラの弄り?w
氷川さんはめちゃくちゃ不器用なのですが(なのに本人はめっちゃ否定する)、再三この話題は擦られます。必死な氷川さんが面白いです。
 
あと北條さんも地味に推しだったりします。
特にG3取られちゃった時に「自分を選ばなかったことを後悔しますよ!!」みたいな感じで
スネてでてっちゃったところがもう可愛くて可愛くて……
あそこが子供っぽくてなんか普段上からで
クールっぽい北條さんらしくなく??てぎゅーってなりましたね。(まぁすでに序盤で敵前逃亡とかやっちゃってるんですけどね…)
ただ北條さんは他にも株上げポイントいっぱいあるのにホント小沢さんと組ませると(いや、誰とでもか)一言いや、二言以上よけーーなことを言っちゃって関係悪化させて株下げしたりするんですよ。
よーするにツンデレのテンプレやお約束なんかが通用しないというか、
この一言なかったら好きでいられたのになーみたいなキャラです。それが北條なんでどうしようもないんですけどね。
 
ところで実はアギトって前期後期でオープニングが変わるんですけどどう聞いても二番歌詞採用したのかな?って具合なんですよね。
実際は別の曲らしいですが。
オープニング〝映像〟が変わるならよくありますが、オープニング曲が変わるのは実はそれなりに珍しい。平成初期だとありがちなんですけどね(ブレイドとか響鬼とか)。
 
アギトはモチーフカミキリムシや、龍など様々な説が流れていますが、個人的にはその両方を推したいです。というのも
アギト自体イコン画合わせて神(創成者)に叛逆するようなストーリーなんですよ。
神に対抗するのは龍だと言われていますし。
ちょっと令和作にはなりますがセイバーもそんな感じです。
とはいえ龍要素は次回作でふんだんに利用されるので、やはりクウガ同様虫要素で固めていくのが無難説??
 
またラスボスの引き取り方?も
綺麗な感じなんですよね。アクの強い敵というよりは純粋な人類でないもの=アギトという異物の消去、より良い世界のためにみたいな感じなのでぶっちゃけテンプレ悪の世界を滅ぼすとか支配するとかそういう類のものではないのも重要な要因ですね。
ちなみに井上作品のこういった要素は次次回作にて意外な形で回収されることになります。
 
またこの作品から劇場版があるのですが、
同時に過去作のゲストが出てくるお決まり的なものもこの作品からなんですよ。
プロジェクトG4ではクウガの五代雄介……ではなくあの初代仮面ライダーの主役こと本郷猛役の藤岡弘、さんが警視総監役で出てくるんですよ。
とてつもないビッグゲストですよね。しかもその時のセリフが「今の俺にできないことを君たちがやってくれ」ですからね。いやこんなんめっちゃ意味深ですやん。絶対いろんなの込められてるって。
勘繰ってしまう。先輩ライダーの激励ですやん。
あぁ好き。
 
 
第3作
仮面ライダー龍騎
戦わなければ生き残れない!
 
おすすめ度:★★★★★★★〜
全員見るべき。
映画も本編もテレビスペシャルもてれびくんハイパーバトルビデオも全部見るべき。
はい補正。
優先度的には映画DC版>通常映画>本編≒TVSPです。ちなみに公式配信した映画はDC版じゃないです。それと尺の都合上カットされたシーンも多々あるので気になる人は見てみるといいです。
 
面白さ:★★★★★〜
ストーリー、キャラ、展開
全てにおいて最高峰。
本編、映画ともに良構成で演出も素晴らしい。
 
 
革新性:★★★★★〜
ライダー同士を己の欲のために命をかけて殺し合わせる・戦わせるという単純な「正義の味方」の図式から脱却させて問題作。
また契約さえすれば誰でも変身できるという構造自体珍しく、やはりそれまでにあった仮面ライダー=選ばれた正義の味方というテンプレから脱却している。
それを彩り楽しませるカードデッキ要素、ミラーモンスターのデザイン、それを総合的にまとめ上げて生み出されたバトルロワイヤル。何から何まで革新的。
更にキャッチフレーズとは相反して戦おうが戦うまいが生き残れない争いというものの凄惨性、争ってまで叶えたい願いとはなにか、人は何のために戦うのか、いや人間こそ己の欲のために日々戦うライダーである、という根幹まで定義付けた良作。
 
主題歌:★★★★★★〜
何度聞こうが素晴らしい神曲。
劇場版EDバージョンも最高。
また、オープニング映像の老人や子供?もカードデッキを持っているシーンは今作ではカードデッキさえ持っていれば誰でも変身ができることを端的に表しているとされており、オシャレ。
 
*
はいおすすめ。
全人類におすすめ。
正直これだけは外せないベスト平成に絶対入ると言っても過言ではない。
つい最近(2022年辺り)公式が全話配信したし、
また3月あたりに劇場版が流れたので触れた人は触れたと思います。
しかしこの作品の真価は劇場版のディレクターズカット。もうこれに尽きる。本当に尽きる。
特にこの劇場版と次回作の劇場版だけはこれ単体で見ても物語が全部理解できるので本当におすすめ。
 
それまであったヒーロー物や平成ライダー概念全てぶち壊したと言ってもいい作品です。
まず
・怪人にほぼ意思がない
言葉も発しないため敵意さえあるのかわからない。
ネタバレに含まれますが、純粋に命だけを狙って栄養としている=現実世界で生きたいという生存本能だけで動いている、感じです。
メタ的に言えば龍騎最大のセールスポイントである「13ライダーズによるライダーバトル」に着目させるため、従来のライダー要素である悪の組織や意思を持った怪人、怪人による組織などには着手しなかったといったところでしょうか。随分な大冒険です。
 
・ライダーは誰にでもなれるもの、力の使い方は個人の自由。
極端な話力さえあれば誰でもなんでもできちゃう。
それはみんなが憧れる一般的なヒーロー・仮面ライダーであっても。
しかしヒーローは私利私欲や自己満足のためにその強大な力を振るってはならない。
そうされてきたヒーロー像に対して仮面ライダーというヒーローを題材とする看板作品を用いて真っ向から「それはどうかな?」「ライダーだって一皮剥けばみんなと同じ。人間なんだよ」と言い続けた作品。
この作品に言わせれば人間はみんなライダー、己の欲望のために戦っている、なんです。
言い換えれば人間こそが悪、ということもできます。いや善にも悪にもなり得るという表現が適切でしょうか。
もちろん主人公こそ最高の善要素満載の典型的なヒーロー像そのものなお人ですけども。
 
また確かにアギトでも複数ライダーは採用されましたが、飽くまでもメイン大元はアギト一人だけでした。
しかしそれをスペック分けして細分化してカード要素で主人公と同等或いはそれ以上のライダーをサブでゴロゴロ出してきた龍騎はやはり別格です。
ちなみに平成後期及び令和ライダーでは複数ライダー参戦は通例、半ば常識と化していますがそれでも龍騎のサーティーンライダーは革新的です。
その中身柄よくギーツと比較されることが多いですが、こちらはより殺伐としています。
何より行き着く果てに救いが一切ありません。もう本当に。
 
デザイアグランプリとは異なり、ライダー同士の争いが認められて(というか神崎的にもそれが目的)ルール無用のデスマッチです。殺すも盾にするも組むもなんでもありです。
デザ神や創成の女神なんていない代わりに神崎士郎が何度でも世界ごとやり直しているのが特徴的です。
戦闘ライダーの補充も強化アイテムの譲渡も何もかもゲームマスターこと神崎の掌の上です。
しかし彼がそうした行為を働く理由はこのライダーバトルを仕組んだこと含めて全て徹底して一貫しています。
「ライダー同士を争わせて最後の1人にする」
「より強い命を厳選するため」
元を辿ればその全ては家族である妹の優衣ちゃんただ1人のためです。
円滑にバトルを進ませるために人員を補充する(人選も浅倉や芝浦のような戦闘ゲーム好きをチョイスしつつ)早くバトルに決着をつけさせるためにサバイブカードを譲渡する。などなど。
そうまでして決着を焦るのは妹の寿命という明確なタイムリミットがあるから。
 
半ば強引?に龍騎を引き受けた真司のせいでそのライダーバトルが終わらないのであればそれは神崎的に大問題です。何せ彼は他の参加ライダーとは異なり全く願いがないからです。
神崎の上記理想とこの理不尽ゲームが噛み合っているのは、参加者たちにとっても(他のライダーが減るのは)自分の願いが叶えられるという莫大なメリットがあるからです。
かといてゲームマスターである彼が龍騎の権限を剥奪することはしません。
一度ライダーになった後は契約モンスターに餌を与えられなくなって食われるか、戦って死ぬかのどっちかしかない=つまり戦うしかない、戦わなければ生き残れない。
神崎自身は誰が生き残っていようと強い命さえ妹に差し出せればなんの問題もないわけで、たとえ道中間に合わなくなってもタイムベントで元通りにできるのでそんなに目くじら立てるほどのことでもないのでしょう。
ミラーワールドに干渉し、仮面ライダーや契約モンスターを使役するなどの強大な力や願いを叶える(実際これは神崎の果たす気のない口約束などではなく蓮が実際にオーディンを打ち倒した時はライダーバトルに勝利していなくとも彼の願いを叶えた)ことができるのになぜその力で妹をなんとかしてやれないのか。
おそらくミラーワールドの力では病気などは治せても命までは生み出せないこと。(生み出せるのであればモンスターが生きた人間を襲う必要もないわけで)
優衣はとある一件を境にミラーワールドの住人になってしまったため、一刻も早く現実世界での命が必要だった。
一つ目の仮定ならばもし劇場版で美穂が姉の命を願っても叶えられないことになる。
優衣だけ特殊な事情であると考えれば神崎が大半の願い事を叶えられることにも矛盾はしない。
……しかしそれがもし真実だとしたら北岡が勝ち残って永遠の命など所望した時はどうするつもりだったのだろうか。
おそらくオーディン(13人目)で理不尽なハメ殺しにした上でその魂を妹に差し出す予定なのだろうが、本編の蓮のようにうっかりオーディンが倒されでもしたら一度は願いを叶えなければならない。
となると不死身となった北岡の魂をどうやって取り出すつもりなのだろうか。
それとも神崎の思惑的に「お前はこれから一つとなる。永遠に優衣となって生きるんだ」とでも言って死の恐怖をなくす=不死になるという願いを詭弁気味に果たすつもりなんだろうか。
ラストも北岡(惜しくも途中退場だが)、浅倉、蓮、真司の4人が残ったため、なんらかの巡り合わせが異なれば北岡にもチャンスは充分にあったはずである。
まぁゲームマスターが世にもウマイ条件のゲームで参加者を釣って参加したんだからそれは己の意思っていう展開はよくあるんだけど……。
 
なお龍騎はそのまま龍騎が主役ライダーなのですが、実はこれ龍と騎(士)に分解することもできるので主人公を龍騎こと城戸真司と騎士ことナイトの秋山蓮とすることもできます。
実際劇場版のエピソードファイナルではほとんど主役級といっても差し障りない扱いになってますし。
 
ちなみに筆者のおすすめ見方としては
本編ある程度(真司、蓮、北岡、浅倉揃ったあたり)でエピソードファイナルという順です。
実は本編のエンディングは大きく分けて四つ程度あり、
一つがテレビ本編、次がエピソードファイナル、そしてテレビスペシャルの戦う選択と戦わない選択です。(ジオウなどの外伝含むと五つ。ただ小説版やジオウは本編とはやや時空というか世界観が異なるので一概に龍騎としてのエンドに含むかは微妙)
 
このうちテレビ本編が正史だとすると、エピソードファイナルはパラレルで大筋こそ大体同じですが、内容がまるで違います。
一説によるとテレビ本編が脚本の小林靖子さんの考える龍騎最終回、エピソードファイナルが井上敏樹さんの考える最終回だとも言われています。
 
もちろん神崎兄妹が報われて?はないけど
救われてみんなが普通の生活に戻るハピエン本編最終回もいいんですけど
リュウガのかっこよさや「死ぬなよ蓮」からのサバイブ変身が良すぎてちょっと霞むんですよね。
また、本編と映画ではミラーモンスター発生の経緯と優衣ちゃんの秘密が若干異なります。
だからより一層主人公の意思が伝わる劇場版がいいんですけどね。ほんと無駄がないストーリー構成で素晴らしいんですよエピソードファイナルは。
 
今や定番となった主役ライダーの色違い(ネガキャラ)の悪役なんかも踏襲しているし、設定もうまい。
リュウガはとっても強い代わりにミラーワールドの住人故現実世界では長時間生きていられないのです。
だからリュウガは現実世界にいる龍騎こと城戸くんを乗っ取って現実世界でも動ける完全な存在になろうとしていたんですね。
リュウガとも鏡像の真司とも言いますが、正体は鏡(ミラーワールド)に映し出された人間の欲望そのものなんじゃないかとまことしやかに囁かれています。
真司くんの姿(と龍騎)をたまたま借りていただけで真司くんの本質があんな荒々しいわけではないです。……にしても真司?で頷いたリュウガも大概ですが、普通色とデザインで龍騎じゃないって分からないもんですかね……暗い地下駐車場だったことを差し引いても……。まぁそれはそれで真司の身に覚えのないデートに繋がるので無意味なシーンではないですが。
 
ちなみに前作映画に引き続き
エピソードファイナルではなんとアギトの面々がゲストとして出てくるんですよ。
名前こそ出ませんがほぼまんまな面々です。
津上さん(タイ料理の店員)、真魚ちゃん(遊園地のキャスト)、推しの葦原くん(浅倉に絡まれる不良役)そしてG3ユニットの面々がまんま。(お好み焼き屋)
ファンサが過ぎるwwwwこれ役的にモブなのに一応セリフあって龍騎メインキャラと会話しちゃってますからね。店員とかちょい役とはいえ。
これもあってマジでアギト見てから龍騎見た方がいいです。当時はほんとわからんかったなぁ〜。
めっさよかったけど次回作以降なんか穏やかめになってしまった……と思いきやおもくそ電王でキバの三馬鹿出てたのでまだまだゲスト出演は続く……
 
 
なお龍騎に関しては平成の終わりに実はジオウに取り込まれる形でリメイクされていて、演者もほぼ当時のままで新たに新録されています。
詳しくはRider Time 龍騎で見て欲しいですが、あれはそれ単体を見る前に龍騎全話とジオウを見ておいた方がいいと思います。
 
とはいえライダータイムの方はかなり大人向けなのでちょっとあれかもしれません……
ナニとは言いませんがガイとライアのユナイトベン……げふ
))))本編でもギリギリ言いそうなのが最高にタチ悪い
 
なお、井上さん本人の筆で龍騎の小説もあります。
が、これ内容がパラレルというよりほぼリ・イマジネーション龍騎って感じなのでやや本編とは違和感があるかもしれません。
エログロの極みってるので見る時は覚悟必要です。
更にこれ以降の555の小説でも心へし折ってくる……読んだ後ちょっとした鬱みたいな気分にしてくる描写や尊厳破壊があるのでファンはマジで注意が必要です。少なくとも特撮番組という名目では決してできなかったことをふんだんに盛り込んでるのである意味それが本人のやりたかった"仮面ライダー"なのかもしれません。
 
ここまではテレビくんのビデオも面白いです。
特に龍騎はアギトが出てくる豪華な内容になっています(流石にアギトは津上くん本人ではないですけど。スーツアクターの高岩さんが声の出演で出ているのでそれはそれで豪華)。ミラクルワールドでのみんなの違いや本編より若干態度が軟化してる蓮とか掛け合いとか必見です。
次作はくっそはっちゃけるんで。
 
 
第4作
仮面ライダー555
疾走する本能
 
おすすめ度★★★☆☆
序盤からニチアサとは思えないほど重々しく、全体的にやや重苦しい雰囲気で展開が進んでいく。
特に木場、結花、海堂の3人に関するエピソードは到底子供向けとは思えない(そもそも仮面ライダーという枠組みを特撮とはいえ子供向けと捉えらべきではないのかもしれない)ほど。
作品としての完成度としては高いものの、物語としてはやや杜撰。特に後半はキャッチコピー通り本当に疾走するかのように怒涛の展開で進んでいくので最終回あたりで肩透かし感を食らう可能性がある。
使える素材や胃が重たくなる台詞回しやトピック展開など随所随所が素晴らしいが、ここぞという時以外の調理法が大雑把な印象である。
この辺は龍騎にも言えることだが、劇場版が格段に本編より良い。特に555だけは別格。
パラダイス・ロストはディレクターズカット版を全部見るべき。
しかしそこに絞り尽くされてしまったのか、後半部分がどれも「映画でいいや」となるような内容が多い。
だが、基本は本編と繋がっているため映画だけでも見れるし、本編全て見ていれば特に楽しめる。
また、井上脚本ならではのギャグがあるので重苦しい雰囲気の中でトンチンカンな笑いを誘ってくれるので息継ぎの期間がないわけではない。
(笑いのレベルとしては氷川さんの不器用ネタ並み)
 
面白さ:序盤★★★☆☆(乾巧サイド)
★★★★★(木場勇治オルフェノクサイド)
★★★★★前、中盤 ★★☆☆☆後半
まず555は序盤から本主人公乾巧とオルフェノク側の副主人公木場勇治の物語がほぼ同時進行で出ます。乾巧サイドはヒロインらしからぬヒロイン園田真理、それと啓太郎の3人によるややコミカルな内容になっている。が、序盤は不必要な対立がやや多く(井上脚本の悪いところ)映画や本編中盤以降つまりキャラや設定が固まっているところから観ている視聴者からしたら違和感が大きいところ。
一方木場勇治サイドの物語はかなりしっかりと(陰惨に)作られていてブレがない。人によっては感情移入やシリアスな雰囲気などを真面目に楽しめる。
この2サイドが基本的にお互い正体も知らずに絡み合うというのを楽しむのが555ですね。
 
また外せないキャラといえば草加雅人です。
彼が登場してからもう井上ワールド全開です。
平成ライダー要素の大体を担うんじゃないかってくらいのキャラの濃さ。下手したら悪役一歩手前です。人間の醜い本質的な部分をこれでもかと言わんばかりに詰め込んだキャラです。
pixiv百科事典にある「井上キャラ」の項にある特徴大体網羅してますし。
とはいえやはりこういった強烈なキャラクターや物語は賛否両論な部分があるため、こういった要素(刺激?)を求めている層には面白いかもしれないがそうでもない層にはひたすら気分が重いかもしれない。
また前述にある通り、最終回付近はどうにも調理が雑。というのもすでに大ラストをパラダイスロストでやってしまったので、それの二番煎じのような内容になってしまっている(大まかな展開内容がほぼ同じ)。
 
 
主題歌:★★★★★★★★〜
神曲。
オープニング映像センスから歌詞内容、歌手まで何から何まで素晴らしい。
justifyとファイズのφをかけて
曲名にしたのはまさに発想の神。
劇場版EDverのリミックスは入りから何まで完璧だった。
 
ちなみにカイザもカイザーが語源ではなく
ギリシャ文字のΧカイとなっている。
これは各ライダーがXceed chargeでトドメを刺した時に出てくる紋章でも判別可能。
φ、Χ、Δ、ψ、Ωと
全てのライダーがギリシャ文字由来。
 
 
 
*
傑作揃いの平成ライダーの中でも
傑作中の傑作と呼んでも過言ではないもの
 
 
……と言いたいがやはり本編自体は序盤最終回付近含めた総合評価では思い出補正込みでもやや微妙。
ライダー同士のバトルがメインであった前作龍騎とは異なり今作では怪人にも焦点が当てられ、「怪人になってしまった人間」や「醜い心を持つ人間」など対比やこれまでにないクローズアップがなされている。これまでの平成作や一般的な特撮においては怪人=悪に目覚めた超人(ライダー側を善とみた場合)で、和解なんてもっての他で何かしら殺意や悪意の波動に支配されて人に襲いかかる獣のような扱いであった。
そこに元人間が怪人になってしまったらどうなるのか?という部分に目をつけ、かつ従来の獣モチーフという怪人の概念を取り入れた存在オルフェノクというこれまでにない怪人を生み出した今作は素晴らしいの言葉では尽きない。
 
本編では語られることのない俗称だが
使徒転生(オルフェノクが用いる同種族を増やすために自分のある器官を用いて人間の心臓を狙う攻撃)、やそもそものネーミングセンス、オルフェウス+エノクや一度死んだ存在であるため薄暗い灰色(或いは白、銀)で統一するセンスなど目を見張るものがある。
原種そのものの怪人と呼べる種は基本的に王たるアークオルフェノク以外はほとんどおらず、今作における怪人とは人類の進化の可能性、新たな進化の形であるとされている。
大体ライダーや特撮において欠かせない要素である人間を怪人が襲う理由、ライダーが戦う理由なんかもうまく落とし込めている。
(村上やオリジナルに目覚めさせられた養殖オルフェノクなどは普通の人間を襲うことで仲間を増やすことができる。だから襲う)
それに伴いライダーの設定も本作では敵を倒すためではなくいずれ現れるであろうオルフェノクの王を守護するために作られたものとなっている。
しかしこの辺は前社長の花形がどのあたりまで関与していたか不明なので、「守護」と「撃破」どちらが先の目的で作られたかは定かではない。
とはいえ王単体はオルフェノクの中でも上の上たる戦闘マシーンあのドラゴンオルフェノクでさえ全く歯が立たなかったのだからそうそう反逆など思いつきそうにもないものである。
あるいは劇場版での木場らのようにスマートブレイン社に従わない同胞たちが徒党を組めば一矢報いる可能性もあるためか。
 
とまぁこのように設定や組み込み、そしてそれらを彩るデザインや美術に音楽、総合的なセンスなど様々な素材が本当に素晴らしいのだが、それだけに映画に後半部分を持ってかれた感が否めない。
本編はシリーズ特撮番組の都合故の長丁場で(555に限らず)どうしても尺遣いの粗さや物語がダレてきがちなのだが、555は特にその煽りを受けている気がする。
その分劇場版のパラダイスロストは歴史に名を残す名作なので絶対に見る価値あり。
またエキストラ10000人の参加やエンドロールでの遊び心あふれる表記なども今はもう出来ない伝説ですよね。
正直平成に限らず全ライダー映画の中で今後これを超えてくる作品はもう現れないと思う。
シリアス、ギャグ、演出など555の良いところ全部出しつつスケールを派手すぎずいい塩梅に抑え、もう平成後期や令和では拝むことのできない絶望感など欲しかったものがたっぷり詰まっている。
今の作品は要所でシリアスになることはあっても演出過多であったり、最後にはなんだかんだ必ず主人公が勝つor平和な世界が手に入るなので緊張感があまりない。
劇場版龍騎と555は平成というか一般的な児童向け特撮の枠を超える類を見ないバッドエンド作品ですからね。
 
とはいえ555に関しては「朝から鬱見せるな」など苦情が寄せられたらしいので、その反動で後半の作品からはどんどん空気感が変わっていったのかもしれない。
ちなみに龍騎の項目でも説明しましたが、小説版555は正真正銘脚本家の井上さんが書いただけあってThe・凄惨を地で行く作品です。本編が可愛く見えるくらい。草加ファンは閲覧を覚悟。
同脚本家の小説版があるからかはわかりませんけど、アギトとの共通点もあるんですよね555って。
人類の進化した形にアギトがあるならオルフェノクもまたその系譜にあるかもしれないですよね。
流石にその次のキバではほとんど関係なくなったような気はしますが……。
 
 
今回は長すぎるので流石にここまでにしときます
また随時編集します