イナズマイレブンアレスおよびオリオンが

あまりにも杜撰であった話はしたが、今回は全く切り口を変えて

アレスの天秤及びオリオンの刻印が如何に素晴らしかったかを

述べてみよう。

 

 

いやいきなり前回と全く違うことを言って何を言ってるんだこいつは気でも違ったかとお思いになられるかもしれぬが、これはこれで面白い試みであるかもしれない、と筆者は考える。

 

 

なにせまだ小生はどう見てもオリオンアレスアンチにしかなってない。

良い点と悪い点を見比べて初めて作品の正当性を主張できるのではないだろうか。

 

アレス・オリオン信者にもこれにはニッコリ。

 

 

まずはアレスの天秤から。

 

①イナズマイレブン円堂守世代との夢の共闘

アレスの天秤発表の大本命ポイントとして、それまでは決して同一になることの有り得なかった世界線、言い方を変えれば目線を同じに大会に参加し競い合える新旧のメンバーがある。

リローデッドではまさにその前触れとして、世宇子中を下し、全国制覇したての雷門と海を超えてやってきたスペイン少年リーグの頂点、バルセロナオーブとの夢のエキシビションマッチが始まった。

もしもエイリア学園が来なかったら、という世界線で始まったこのリローデッドでは、吹雪兄弟はもちろんのこと、旧エイリア学園も全員平和にこの試合を見ており、後にフットボールフロンティアにも参戦する。

そして、エイリア学園がこなかった未来、もしもの未来を我々に示してくれた。結果は文字通り雷門の惨敗。

思い返せばゲーム2時点で瞳子から「全国には様々な理由でフットボールフロンティアに出場しなかったチームもある。よって雷門が本当に日本一かどうかは甚だ疑問」という可能性を示唆されており、実際その通りになったわけである。

この時の響監督のセリフも面白い。アニメにおいて、ジェミニ初戦で「どんな勝負でもやるからには円堂たちにも勝機がある。」と未知の宇宙人相手にも信じ切っているが、

リローデッドでは「チャンスなどない。円堂たちは思い知る現実をな」と言い放っている。

もちろんこれには日本一となって天狗になっているイレブン、主に円堂やサッカーの未来を担うであろう子供たちに今のサッカー界の現実を叩きつけ、成長させるためにやっていることであろうが。

実際初戦ジェミニ戦……ほどはめちゃくちゃに壊されていないが、圧倒的なまでの大敗を喫している。

侵略者編を無慈悲で突飛な悪夢と呼べるなら、こちらは冷たく当たり前の現実という言葉が強く力の差となって押しつけられた感じが見て取れる。

エイリア学園が超次元なら、バルセロナオーブは現実と言い換えられるだろう。現にマジン・ザ・ハンドを出した際、クラリオのシュートは通常シュート(エイリア石無し)で得点を難なく奪い、鬼道はその際「力では止めることのできない」といったニュアンスの言葉を放つ。

もっといえば必殺技とか超次元でどうこうできる相手ではない。

正攻法で必殺技をこじ開けた、と言った方がいいだろう。(クラリオはボールに回転をかけてマジン・ザ・ハンドを破った)

この時点で世界とのレベル差を感じ取ることができる上、長年ファンなら誰もが一度は突っ込んだであろうあんなめちゃくちゃなエイリア学園を下した地上最強イレブンでさえ、オーストラリア前では紙屑同然とかジェミニ襲来時にアメリカきてたらどうなってたんだよwwという事の回答にさえなり得る。

恐らくエイリア学園に対してもテクニックやフィジカルで勝負できるのだろう。それほどまでに世界のレベルは高く、厚い壁となっている。

伝説のイナズマイレブンの再来に歓喜していた大観衆の面前で、小細工なしの大敗を晒したという点も非常に面白く、その後の雷門の全国強化委員派遣も無理なくストーリーを理解できる骨組みとなっている。

分岐物のストーリーとしてはとりあえず100点満点のスタートを切っていると言える。

 

この経験が生き、全国に行った面々は各々の担当中学を強化し、日本というサッカーのレベルを引き上げることに大きく貢献したように思う。

円堂、鬼道、豪炎寺、風丸、染岡あたりは特に。

風丸は風丸で復帰した影山に正論で諭されるという非常に面白い一面もある。おそらく影山はこの時点である種の目的達成のような気持ちで、雷門とバルセロナの試合を観ていたのだろう。

影山が真摯にサッカーに取り組むとこんなにも恐ろしい。

もっともこれらは後にオリオンへの伏線となっていたわけだが……

ツッコミどころを上げるとするなら影山は円堂大介殺害の疑惑を晴らしておらず、(それもアレスが時効にしたのだろうか、だとしたら少々無理がある)数え切れないほどの迷惑をかけたことに関して、一切なんの責任も果たしておらず、ガルシルドのいない世界線であるため、全て責任が彼の肩に乗っているわけだが、別段それを責めようとは誰もしていない。

円堂は円堂で、鬼道は鬼道でそういった問題はすっかり無くなっているように感じる。(さすがに円堂の祖父大介がいなかったことにはなってはいまい。あるいは影山とは無関係な死を遂げたか行方不明とされたままか)

不動明王もそう言った意味では救われたキャラになるかもしれない。

平和な世界線であるからこそ成り立つドリームマッチ。

吹雪士郎と吹雪アツヤのコンビネーション。基山タツヤと吉良ヒロトの本物の吉良リレーション。

要するに見所が非常に多い。どのキャラに焦点を絞って見てもそれぞれに新しいドラマがある、といえるだろう。

大谷つくしが声優付きで話して動き回るという点でも評価は高いだろう。

 

②魅力的な新キャラクターたち

友のために全てを叩き潰そうとする灰崎。

自らの命と宿命を背負い戦う皇帝、野坂。

そんな野坂を見定める女帝、御門。

アレスの天秤の新キャラクターたちはそれぞれがそれぞれ信念を胸に抱いており、想いをぶつけ合って切磋琢磨している。

また、生き返ったバカ息子吉良ヒロトも厳密には別キャラだろう。

(よくこんな性格だから海外で事件に巻き込まれたといってる者がいるが、そもそも年齢も髪型も色も幼少期と回想とが異なるため、根本からもう別人の可能性が高い)

しかしヒロトはヒロトで灰崎とは犬猿の仲ならぬ馬鹿と熊のコンビ?!

ストライカーとして非常に高い適性を誇る両者が並び立つ様はフィールドの悪魔と神。(後にアフロディまで参戦し、本物の神とゴッドストライカーが肩を並べることになるが。)

ヒロトは問題児というよりは、よくいる不良キャラ。口は悪いが想いは同じ。サッカー好きのバカ。

灰崎は灰崎で鬼道をどこか尊敬している、認めている節がある。自身を闇から救ってくれた存在……とまではいかないだろうが、先輩選手として、進むべき道を示してくれる存在にはなっているだろう。帝国譲りのペンギンも鬼道由来のものだろう。

そういった新旧の新しい絡みも見所となっている。

 

オリオンにおいては敵団、オリオンの血を分けた兄弟の片割れでありながら、実力でオリオンに反旗を翻そうとせんフロイ・ギリカナン。

彼は天才的な頭脳と才能で家族に正気を取り戻してほしいと戦う、オリオンの中でも数少ないまともなプレーヤー。

実際ロシア留学の一星ともプレーで語り合い、共に絆を紡いできた仲間である。

そしてオリオン語るなら欠かせない屑野……もとい一星充。

屑にメーター振り切っているおかげで、これまでにないほど邪悪で面白いキャラとして生きていたと思う。鬼道を振り回し、円堂守に励まされ、オリオンに見捨てられ、野坂に救われるという二転も三転もしてきたキャラクター。最終的には優秀な皇帝の参謀役としてチームに尽くす。

ブルースターダスト、蒼き一等星として恥ずかしくない実力を見せる。

過去作リスペクトが豊富なのはこの一星だ(兄弟であり、日本代表であり、多重人格であり、統合を果たす)。

また、後半になってくると補充の助っ人メンバーが増えていくのも毎回違った楽しみを見出せる。

髪型を変えたのりかは必見。小僧丸は……まぁ。

稲森の父に関しても、意外な人物が判明し、本当の意味で全員のハッピーエンドを果たす。

 

 

③魂揺さぶる試合展開

アレスにおいては豪炎寺率いる木戸川vs鬼道率いる星章学園。

どちらも好カードであり、灰崎という新勢力が旧最強の天才、豪炎寺に挑むのだ。

この試合展開はどう転ぶのか全く分からず、終始ハラハラできたといえるだろう。

あ、もっといえば久遠VS二階堂という地味に超有名監督対決でもあったね。

 

そして雷門VS帝国もひとつの山場として大きな試合展開となるだろう。

特に影山の指揮下という帝国復活は意外だ。

作戦としては理解できるし、中々に面白い試合ではあったと思う。

そして面白さの加速していったのが全国大会一回戦、これまで謎のベールに包まれていた最強のアレスクラスター、野坂率いる王帝月ノ都VSアレスへの復讐にかられた灰崎と星章そして鬼道の対決だ。

王者としての格の違いを、そしてなにより帝国vs世宇子のようなこれからどうなるのかわからないワクワクを加速させた良い試合といえよう。

 

オリオンにおいて大本命、クラリオのいるスペイン代表Vs一年前の雪辱を果たすべく集まった円堂守らのイナズマジャパンの決戦。

あの頃のぼろ負けとは違う、互いに互いが競い合い、死力を出し尽くす試合となった。円堂は円堂でついにクラリオのシュートを止めることに成功する。しかしクラリオもそれに合わせて進化する。

互いに一歩も譲らぬ激戦。暖めに暖めた試合。

しかし、クラリオに危機感を与えた豪炎寺の最終奥義、ラストリゾートの正式なお披露目はまだまだ先にもっていかれてしまう。

また遡ることになるが、今まで金雲の腰巾着程度の認識だったあいつが、無敵ヶ原富士丸こと李子分だった。彼ら中国代表は趙金雲に救われて、恩義を感じ、金雲と共にオリオンと戦うことを決意。

そう、金雲は敵国の監督としてたちはだかったのだ。まさに最大の見せ場。それがアジア予選決勝。互いにオリオンの干渉のない、本物のサッカー試合。実力がものをいう力と力、技と技の真剣勝負。

円堂は砂木沼、西蔭らとともに新たなキーパー技、ザ・アシュラで応戦する。全てを出し尽くし、オリオンの絡んでいない好試合といえば、やはりこの中国とスペインの両試合といえるだろう(スペインは厳密にいうと若干オリオンは絡んでいたが)

 

また、オリオンが絡んだ試合も、アメリカ代表ネイビーインベーダーズはキャラも個性も立っており、試合展開も決して悪くなかった。

むしろ筆者は最高の試合、または一歩手前といっても過言ではないように思う。

この話は初めから終わりまで全て良かった。むしろオリオンはこうあって欲しいと願う一戦だったように思う。

 

最終戦、イリーナが世界覇権を握るため用意された最後の刺客、シャドウオブオリオンとそれに立ち向かうべく全世界から集められた世界代表イレブンチョウキンウンズ。

バックにはかつての巨悪、影山零治と

彼からサッカーの教えを受けた趙金雲。


これ以上にないほど試合は白熱し、これまでのキャラクターたちの必殺技が、世界の力が一つとなり、集約していった。

圧倒的な強さに立ち向かう。そして大団円へと事が進んでいく。

最後には強化委員全員復帰の雷門イレブンVS復活した伊那国島サッカー部のキックオフが今か今かとはじまろう……というところで新シリーズは一旦の幕を閉じる。




④女の子選手の台頭

これまでのイナズマイレブンシリーズにおいて、

公式大会では女の子選手は出場していない。

出場まではイナズマイレブン正史ではGoの時代のギャラクシーに至るまでかかった。(それも世界大会のみ)

しかしアレスの天秤とその直列のオリオンの刻印は女の子選手の参加が普通に認められている。

フットボールフロンティアインターナショナルならともかく、普通の地区・全国大会でだ。

特にアレスやオリオンの女子選手は魅力的だ。

チームの骨といえるゴールキーパー、海腹のりか

白恋の白兎屋なえ

永世学園の八神さんこと元ウルビダ様や女子選手の皆さん。

その他世界の女子選手の皆さん。

可愛い選手には有能が多く、目にも心にも優しい。

逆に無能だと可愛さがプラスされる。

同じ失点でも三国先輩とのりかでは

扱いが違うと思われる。


 

とこのようにまあ随所随所に光るところはある。

アレスもイレブンバンドやスポンサードなど新しいことをやろうとする姿勢は見えるし、オリオンはそれまでの世界編とは異なる動きを見せているしで、全く魅力のない駄作であったかと言われれば、何も知らない人ならある程度までは楽しめる……んじゃないかなあという出来具合。

アレスはアレスで故障負傷連打、オリオンはオリオンで度し難い反則というこれらに目を瞑れるか否かで評価が変わることが多いだろう。

私はやはり一貫してアレス・オリオンは目に余る欠陥を抱え、イナズマイレブンシリーズの汚点として破綻した作品という評価である。

特にオリオンの罪は重い。

別の監督か脚本がやれば……とは思えない。

それほどまでに構造的に破綻している気がするのだ。オリオンは……。

 

 

我こそは!というオリオンの脚本やストーリーのインタラプト修正できるスマートな一流ルートエージェントはおらぬものか……