副題 : ジェフ・べゾスが生んだマネジメントの技法
著者 : 佐藤将之(さとう・まさゆき)
エバーグローイングパートナーズ代表取締役/事業成長支援アドバイザー
セガ・エンタープライゼスを経て、アマゾンジャパンの立ち上げメンバー
として2000年7月に入社。2005年よりオペレーション部門にてディレクタ
ーとして国内最大級の物流ネットワークの発展に寄与。
はじめに なぜ「アマゾン」の会議に学ぶのか?
・ここで強調したいのは、アマゾンが、様々な事業を次々に生み出し、同時展開し、急成長を遂げて
いる巨大企業だということです。アマゾンでは常に膨大な数のプロジェクトが進行しています。そ
して、プロジェクトの成否を決めるのは、会議なのです。
・アマゾンの会議のベースにある基本思想は、「OLP(Our Leadership Principles)というリーダーシ
ップの理念です。アマゾンの会議で建設的な議論が実施されているのは、OLPが暗黙の前提となっ
ているからという点が大きく、本書で一番重要なポイントです。
CHAPTER 0 改善に着手する前に考えたいこと
① 「情報伝達会議」は減らす
・「その会議は本当に必要なのか」、伝える必要のない内容を話すような会議を開いていないでしょう
か。「情報伝達会議」は、基本益にやる必要はありません。
② 「ワン・オン・ワン」を増やす
・アマゾンでは、「ワン・オン・ワン(1対1)」でのコミュニケーションが定期的に行われます。こ
れは通常1週間に1回、少なくとも2週間に1回程度行われ、基本は直属の上司と部下の間で行わ
れます。評価する為には、お互いにきちんとゴールを設定し、それを達成できているかどうかをこ
まめに確認する必要があります。
・普段からあまり接していない人が、1年に1度だけ面談して、「あなたの評価はこれです」と一方的
に言い渡されたら、部下は反発したくもなります。特にそれが悪い評価だったとしたら、「なぜ1年
もの間、途中で何の注意や指摘もないのか、一言いってくれれば改善できたのに」と思うでしょ
う。
CHAPTER 1 会議の効率化は資料作りから始まる
① 資料はナレーティブで書く
・アマゾンでは、「パワーポイント」や「箇条書き」の会議資料を見る事は殆どありません。なぜなら
アマゾンでは、会議の資料は「文章(ナレーティブ)形式で書く」というルールがあるからです。
通常「ワード」作成されることが多く、印刷され会議時に配布されます。しかもこの資料を参加者
は前もって読み込んでくることは期待されていません。なぜならば「その場で読んですぐに理解で
きる文章を書く」ことが資料作成の必須条件になっているからです。
・なぜアマゾンでは箇条書きやパワーポイントが禁止されているのか。それは箇条書きだと、行間を
読むことで、人によって解釈の違いが生じやすいからです。パワーポイントの箇条書き資料には問
題があります。いわば、「やっつけ仕事」での資料作成が可能なのです。エッセンスだけを凝縮して
まとめようとすると、何回も書き直しをしなくてはならなくなります。おそらくべゾスは、じっく
り検討して推敲するプロセスも期待して、この会議の資料つくりのルールを考えたのだと思いま
す。
② 会議資料は「2種類」に統一する
・アマゾンでは、ナレーティブの資料を求めると同時に、文章から余計な修飾表現をなくし、筋肉質
な資料作成を促すため、もう一つのルールを定めました。具体的には、資料は1ページか、6ペー
ジか、その2種類に統一することにしたのです。グラフや表、関連データなどは、添付資料に入れ
る決まりになっています。
⑤ 読みやすい文章を書く2つの鉄則
1)結論ファーストで書く
結論を最初に書く、それを後段で、ファクトベースで説明する。これを心がけるだけでも、資
料に書かれた文章は「読めるもの」にグッと近づきます。
2)ピリオドを恐れない
日本人の書く文章は、カンマでつないで長くなりがちです。日本語の場合、長い文章のほうが
いいと考えられがちです。しかし、イギリス人の先生から、「シンプルに言いたいことだけ書
け」、そして「ピリオドを打つことを恐れるな」と何度も言われたのです。文章は、短く切る。
このこともぜひ覚えておいてください。
⑥ 提案型資料はシンキング・バックワーズで考える(≒ブレークスルー思考)
・ 一般的には、現在の立ち位置から未来を見据えて計画を立てると思いますが、アマゾンの「シンキ
ング・バックワーズ」は、その反対のアプローチをとります。最初にゴールを決めておき、それに
向けて何をすればいいかを考えるのです。
CHAPTER 2 最速で最高のジャッジを下すアマゾン流意思決定会議
① プロジェクトリーダーが会議のオーナーになる
・会議の主催者を、その会議の「オーナー」と呼びます。アマゾンの会議では、基本的にプロジェク
トリーダーやプロジェクトを推進する人が、会議のオーナー兼ファシリテーターとなります。意思
決定の会議の成否のポイントは「アウトプット(意思決定)」です。そういう意味で、アウトプット
に責任を持つ人、プロジェクトリーダーが「こうしたい」と方向性を示し、議論をリードするほう
が、会議の方向性が定まり、皆に熱も伝わります。
② 「3つのW」で会議の目標を共有する
・「意思決定会議」の理想は、明確な目的に沿ってみんなで適切に議論し、求められるアウトプットを
出し、次にどう進めるかを決めて、「これで行こう」と合意できた状態で会議室から出てくることで
す。まず最初にオーナーがやるべきことは、会議を開く目的(「〇〇について決めたい」「こんな問
題があるので、それについて話したい」)と、アウトプットイメージを明確にしておくことです。平
たく言うと「会議を行って30分や1時間後に部屋から出る時に、出席者がどうなっているべきか」
を定義しておくのです。
・その為には「3つのW」として目標を決めておくことが効果的です。What(何を)、Who(誰
が)、When(いつ)「この3点を時間内に決めることが会議の目的である」と、招集時と会議の
冒頭にまず周知しておくこと、それが「決まらない」会議を回避するための最初のステップになり
ます。
③ 会議は「沈黙」から始める
・アマゾンでは、まず、目の前にある会議資料を各自で黙読するのです。事前に資料をメールで送付
した場合でも、1ページャーなら5分、6ページャーなら15分間位、必ず読むための時間をとり
ます。この時に重要なのが、沈黙を保つこと。一通り目を通してもらう間、質問は一切受け付けま
せん。
・資料全体を把握していない為に発生する質問をべゾスは嫌がります。既に書いてある事、説明が予
定されていることを質問するのは無駄です。読む時間を取った後で、ファシリテーターが、「何か質
問がありますか」と聞き、それから議論に入るようにしたのです。15分経過したら、全員が資料の
内容を一通り理解したという前提ですぐに議論を始めて構わないのです。
④ オーナーの3つの仕事
・会議のオーナーは、限られた時間で的確な意思決定をすべく議論を仕切る必要があります。そのた
めに必要なことは、参加者の頭脳をフル活用することです。関係者を巻き込み、様々な視点から検
討していかないと、正しい意思決定はできません。発言をしない人にも「大丈夫ですか」と確認を
入れるなどして方向性を揃えていかなくてはなりません。
・タイムマネジメントはファシリテーターの大事な役割です。1時間の会議であれば10分前、30分で
あれば5分前にはまとめに入るように、予めタイムラインを決めておく必要があります。
・アマゾンでは、議事録を作成し関係者に配布するのはオーナーの役割です。極力その日のうちに送
ります。
⑤ 会議を活性化させる「リフレーズ」「パーキングロット」「バルコニー」
・議論が煮詰まり、皆が袋小路から出られない時は、「これは何ですか」「何故こうしようと思ったの
ですか」と、とにかく質問をたくさん投げ掛けて、要因の分析などを行い、頭の整理を手伝う必要
があります。
・アマゾンの会議には、無断な出席者はいません。ということは、参加者は意思決定に必要だから呼
ばれたのであり、必ず発言する必要があります。だから会議のオーナーは、発言の少ない人には話
を振る必要があります。ただ、うまく言葉にできない、遠慮して言えないということが往々にして
あります。そんな時はファシリテーターがリフレーズしてあげます。リフレーズとは、言葉の足りな
い部分を補足したり、言い換えたりすることです。
・議論をスムーズに進めていく時に便利なのが、ホワイトボードの片隅に線を引き「パーキングロッ
ト」というコーナーを作ることです。これは「駐車場」という意味ですが、本題から外れる意見に
ついて、「大事だけれど、今話していることとは少し異なるポイントなので、ひとまずここに入れて
おきましょう」と保留にするのです。
⑥ べゾスが嫌う「足して2で割るこたえ」
・議論をしていると、落としどころを見つけようとして、つい妥協してしまうことがあります。そう
した結論の出し方について、べゾスが言っていたのが、「ソーシャル・コヒージョンに気をつけなさ
い」ということでした。日本語に訳すと「社会的一体性」、つまり「社会的なしがらみに配慮して妥
協するような結論の出し方はやめろ」「足して2で割る答え」は禁物と戒めているのです。
⑦ 考えを持ち、反論があれば会議の席で異をとなえること。一度同意したらコミットすること
・会議は議論を交わす場です。呼ばれた人には発言する義務があります。意見を言わなければ、その
部署の視点が反映されないことになります。賛成できないことがあれば、なぜ違うと思うのかにつ
いて説明する義務があります。意見を戦わせて納得がいったなら、内心では気が進まなかったとし
ても、100%の力を使ってコミットしなくてはなりません。
⑧ 会議の最期に成否を測るものさしを設定する
・会議は終わり方が非常に重要です。次のステップにつながる形で終わることが重要です。3W
(What・Who・When)が曖昧なままだと、思った通りに事が運ばない状況になりがちです。「何」
を「誰」が「いつ」までにやるかを決めておかない限り、実行に結びつかないと思った方がいいで
しょう。
・意思決定会議で重要なのは、やると決まったら、どのようなやり方で進めるか、最終的にどうなれ
ば成功と言えるのかも明らかにしておくことです。では、決定事項の進捗管理ができるように、メ
ジャー・オブ・サクセス(成否を測るものさし)として、必ずKPIを設定し、数字で把握できる
ようにします。客観的な数字で実施状況をモニターし、うまく行かない時には、すぐに手が打てる
ようにしています。KPIがあれば、PDCAが回しやすくなり、プロジェクトの成功率が高まり
ます。
CHAPTER 3 新規事業や改善提案が次々に生まれる アマゾン流アイデア出し会議
① アマゾンは「ブレスト」が大好き
・自分一人では思いつかなくても、ある人のアイデアに触発されて、新たなアイデアが誘発され、化
学反応が起き始めることもあります。ブレストが効果的なのは、そもそもソリューションがよくわ
からない、或いはゴールを達成するための方法論がわからないときです。
・ブレストをすることで、皆の持っている様々なアイデアが引き出され、斬新なソリューションが見
つかる可能性があります。
③ ブレストを効率よく進めるコツ
・参加メンバーの人選は、財務や営業など他部門の人も交えたほうが、物事を捉える角度が広がりま
す。自分たちには当たり前でも、他部門の人には疑問だらけだったりするので、「それはなぜか」と
聞かれることによって、ひらめきが生まれたりします。オーナーが介入し過ぎないことも大事です。
特にボトムアップで意見を引き出したい場合、上位職のオーナーが加わることで、オーナーの発言
が正しいかのように受け止められて、みんなが思考停止に陥り、奇抜なアイデアが出にくくなるこ
ともあるからです。
CHAPTER 4 プロジェクトを確実に前進させる アマゾン流進捗管理会議
◎ プロジェクトの成否は進捗管理で決まる
・結果を評価して改善策を考えるためのベースメイキングとなるのが、進捗会議です。プロジェクト
の実施と進め方が決まった後で、進捗状況をどのように見て行くか、メジャー・オブ・サクセスと
なるKPIを設定します。KPIが決まったら、PDCAサイクルを回していきます。とりあえずやってみ
て、結果を見て「よかったね」という単発の作業ではなく、常にKPIを負いながら検証し、もっとよ
り良いやり方はないかと考えながら修正を加えていきます。この作業は安定軌道に乗るまで続けま
す。
① アマゾンの推進力を支える「メトリックス=KPI」
・プロジェクトを実施している時に一番問題なのが、成功しているかどうかが良くわからない状態に
なることです。成功に向かって正しく進んでいるのかを見極められるようにしなくてはなりませ
ん。プロジェクトも同様で、ゴールだけ示されて「後は任せた」というやり方は、目的地だけを示
され、後は目視で飛べと言われているようなものです。
・ビジネスで正しい方向感をつかむためには、「定量的に測れる評価指標」が必要です。そのためには
KPI(Key Performance Indeicator:重要業績評価指標)の設定が欠かせません。KPIを用いるメ
リットは、ビジネスのスピード向上にあります。ある数字が自動でメール配信され、毎日見ること
ができれば、自分たちのプロジェクトが今、どのような状況にあり、これからどう進むべきかを即
時に判断することができます。
・KPIに関して、よくある誤りを最初にお伝えしておきましょう。それは、KPIと誤解して、
KGI(Key Goal Indicator:重要目標達成指標)を追いかけてしまうことです。会社全体の売上
高、新規顧客数、利益率などがKGIに当たります。もちろんKGIを見ることは、会社を経営し
ていく時には重要です。しかし、現場で働く人たちにとっては、「売上目標は1000億円だから宜し
く」と言われても働けません。
・上司はKGIを因数分解して、具体的なKPI目標を与えることが重要です。こうした目標が示さ
れれば、具体策をKPIの数値で検討できるようになります。目標とするKPIを達成し、それが
積み上がったものがKGIになるという構造を意識しなくてはいけません。
② すべて数字に落とし込む
・アマゾンでは、「ビジネスは全て数字で表現できる」という考え方をとっています。何かをやろうと
する時に、KPIで定量的に測れないと、不安になってしまうほどです。定性的評価で測ろうとす
ると、人によって基準が異なり、評価にばらつきが出るなど、必ず曖昧さが残ってしまいます。
数字は嘘をつきません。10であれば10。5になることはないのです。多くの人が介在する案件の場
合は、曖昧さが残らないように、どのような数字を見るか明確にしておく必要があります。KPI
の数値が改善されなければ、必ず仕組み上の問題があるので、分析しなくてはなりません。
③ 会議での決定事項を推進させるメトリックス(KPI)・レビュー
・アマゾンでは全てにおいてKPIが設定され、「メトリックス(KPI)・レビュー」と呼ばれる会議が
行われます。これにより、プロジェクトの進捗が常にモニタリングされるのです。アマゾンのKPIは
全てデータ化され、レポ―トが自動作成されるようになっているので、それを見ながら、各部署の
責任者が問題点などあればコメントを述べる形で会議は進められます。
・会議で突っ込まれたときに、担当者が「よくわからないので、詳細を調査してから報告します」と
いうのはNGです。これでは、問題があることしか共有されないため、わざわざ集まる意味がない
からです。「それはこういう理由で起こり、それに対してこんな対策を打っています」と説明できれ
ば、それを念頭に置いて、他の出席者は各自の仕事を進めることができます。担当者は突っ込まれ
ることを想定して、異常値の分析を行い、対策を検討するなど、然るべき準備をした上で、会議に
臨むのが暗黙のルールとなっているのです。
・進捗管理会議は確かに重要な会議ですが、開催することを目的かすることは避けましょう。「こうい
う結果でした」とただ担当者が発表し、それを皆で共有するだけなら、わざわざ会議を開くまでも
ありません。必要な数字やデータを配付するだけでも間に合うことです。
会議のオーナーは、関係者に事前に聞いて、数字に異常がない時や、指摘すべき点や共有すべき内
容がないときは、その週の進捗会議は中止にして構いません。
④ 人の善意に頼って仕事をせず仕組み化する
・KPIをうまく使えていない企業を見ると、十分なデータが取れていないこともまだ多いようです。
経験や勘だのみの属人的なやり方では、明日その人が倒れたり、いなくなったりしたら、とたんに
現場は回らなくなります。
・べゾスがよく言っていたのが「人の善意に頼って仕事をしてはいけない。仕組み作りが重要だ」と
いうこと。数字化や仕組み化して、誰がやっても出来るようにしなさいという意味です。属人頼み
ではビジネスの継続性が保障されません。そういう状態を放置しているとすれば、それは会社側の
責任であって、見直す必要があります。
⑤ PDCAを回すサイクルは最長でも1週間
・プロジェクトが承認され、KPIが決まったらPDCAのサイクルを回していきます。とりあえずやっ
てみて、結果を見て「良かったね」という単発の作業ではなく、常にKPIを追いながらPDCAのサ
イクルを回し、よりよいやり方はないかと考えながら修正を加えていきます。この作業は安定軌道
にのるまで続けます。
・プロジェクトでは、KPIをモニタリングし、問題があれば対策を考えます。このような場面で重要に
なってくるのが、とったアクションの効果を適切に検証することです。目標のKPIに達するまでやり
続けるのです。日本企業のコンサルで気になるのは、PDCAのPDしか行われてないことです。どうす
れば成功したと確認するのか、何の指標を見るのかという議論が抜け落ちているのです。プロジェ
クトを立ち上げる際には、会議の中でCAのやり方まできっちりと決めることが非常に大切です。
・今はスピードが求められる時代です。アマゾンの場合、一番長くても週単位でKPIを見ていました。
同じレベルでPDCAを回していても意味がありません。より良いものになるように、次のアクション
につなげ、スパイラルを高めていくという意識を持つといいでしょう。定着するまである程度の期
間、見続ける必要はあるのですが、安定軌道に乗って異常値が起こらない状況になったら、見るの
をやめることも大切です。こういうことは上司が言ってあげることが大切です。
⑥ プロジェクトの最期を締める事後検証
・PDCAと一緒にぜひ習慣化して頂きたいこと、それは事後検証です。プロジェクトが終了し、一段欄
した際には「なぜ成功(失敗)したか」があまり検証されず、「よかったね」で終わるか、「切り替
えて次頑張ろう」となることが多いようです。どんな失敗やミスがあったのか、どこが成功したの
か。どこを注意すれば次に生かせるか、などを学習することで、社員は確実に成長していきます。
・「プロジェクトの振り返り」と聞くと、日本では「反省会」をイメージする人がいますが、それは誤
解です。アマゾンでは、「良かったこと」と「悪かったこと」の両方について振り返り、記録を残す
ようにしています。成功要因を分析し、そこから学べる事も整理して共有しておけば、誰かが同じ
ことをやる時に再現性が高まります。
CHAPTER 5 会議を機能&活性化させるアマゾンのOLP
◎ アマゾンのリーダーシップ理念、OLPとは
・アマゾン流の会議は、形だけ自社にあてはめても絶対にうまくいきません。アマゾン内で暗黙の前
提となっている価値観に則っているからこそ、成立している要素が多分にあるからです。
その価値観とは、べゾスと幹部チームが考え出した14カ条の「リーダーシップ理念(Our
Leadership Principles)」のことです。社内ではOLPと呼ばれ、アマゾンの会議の前提となってい
ます。むしろ、他を学ばなくても、このOLPをマネするだけでも、効果は大きいと思います。
◎ 求める人物像
・アマゾンでは全員がリーダーです。社員一人ひとりが、全ての日々の活動において、常にこのOL
Pに従って行動するように心がけています。リーダーはお客様を起点に考え行動します。競合にも
注意は払いますが、何よりもお客様を中心に考えることに拘ります。自分のチームだけではなく、
会社全体のために行動します。
・リーダーは「それは私の仕事ではありません」とは決して口にしません。問題が起こった際は確実
に解決し、再び問題が起きないように改善策を講じます。常に全ての業務に気を配り、詳細な点に
ついても把握します。同意できない場合には、敬意をもって異議を唱えなければなりません。しか
し、いざ決定されたら全面的にコミットして取組みます。
① オーナーシップ
・オーナーシップとは、他人事ではなく、物事に主体的に取り組むことです。これは私の仕事ではな
いし、自分が言いたいことを言えば終わりというのではなく、他のメンバーのことを考え、全体の
進捗状況を見ながらサポートできる部分は手を貸そうという態度をもたないといけないのです。
③ 常に高い目標を掲げる
・アマゾンでは、「実際にできるかどうか不安だから」と消極的な目標を設定すれば、必ず誰かから
「その目標は低くない?」と突っ込まれます。需要なのは、現実的な範囲で高い目標を設定すること
です。
④ 広い視野で考える
・広い視野で考えるためには、自分が直接担当する部分だけでなく、影響範囲を広げてみる必要があ
ります。一担当として会議に出席するときにも、自分よりも一段上の目線で物事を考えてみること
です。
CHAPTER 6 我が社の会議、どこから手を付ける? 会議をスリム化するヒント
◎ 会議に対して徹底的に倹約家になろう
・会議を開くたびに大変なコストがかかることを、私たちはもっと意識しなくてはなりません。
① 開催回数を減らす
・自己満足で会議を開いてはけいない。どうしても部下の話が聞きたいなら、ワン・オン・ワンをや
るべきであって、上司は会議を自制しないといけない。今週は何の進捗もなさそうだけど、とりあ
えず集まって、メンバーがどのように取り組んでいるかを聞いておこう。そう考えた瞬間から、無
駄な会議は増殖していきます。
・関係者にヒアリングして特に何もなければ、「今週は開催しないので、何かアップデートがあったら
メールでお願いします」とアナウンスするだけでよくなります。その分、残業が減って1時間早く
帰れれば、喜ばれること間違いなしです。重要なのは、会議をすること自体が目的ではないという
ことです。その場で集まって確認しないといけないことや共有しないといけない情報があるから、
或いは、何等かの意思決定をしなくてはならないから会議を開くのです。
③ 時間を減らす
・アマゾンではタイムキーピングが非常に重要で、会議をずるずる長引かせることは基本的にしませ
ん。意思決定の確認のための会議は、基本的に1時間で設定します。会議時間の短縮という点で
は、沈黙で始めることや、ナレーティブを用い枚数制限のある会議資料などの細かな工夫も効いて
きます。資料を最初に黙読してもらうことで、しなくてもいい質問が激減します。またナレーティブ
でわかるように説明されているので、確認のための質問の削減に役立ちます。
・無駄な時間を無くすという観点で考えていくと、移動時間も注視すべきです。通常の会議では、そ
の場に集まって顔を合わせて話合わないと、物事が解決しないということは基本的にありません。
④ 出席頻度を減らす
・部下は責任を持って会議に出席し、そこで意見を言って、仕事をすすめるという経験を積むことで
成長します。適度な権限委譲をしたほうが自分にとっても、部下にとっても、会社にとってもよいこ
とです。オーナーは会議の目的を明確にして、なぜこの出席者が必要なのかをハッキリさせるとと
もに、出席者は出るからにはどれだけアウトプットに貢献できるかという視点を持つ必要がありそ
うです。
●● ピークパフォーマンス方程式 ●●
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会議は「情報伝達」を捨て、「意思決定・アイデア出し・進捗管理」に集中する。
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全員がリーダーとしてOLPを体現し、「オーナーシップ」と高い目標・広い視野で動く。
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会議はナレーティブ資料(1ページか6ページ)で行間を排し、その場で読んで理解できる文章にする。
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会議は沈黙の黙読から始め、全員が同じ情報をインプットしてから議論に入る。
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会議オーナー(多くはプロジェクトリーダー)が目的とアウトプットを定義し、「3つのW(What・Who・When)」を必ず決める。
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シンキング・バックワーズで「ゴールから逆算」して提案を組み立て、妥協の「足して2で割る答え」を排除する。
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1on1と会議内での率直な異議申し立てを奨励し、決定後は「Disagree and Commit」で全員がコミットする。
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プロジェクトには必ずKPIを設定し、「KGIを因数分解したKPI」を毎週のPDCAでチェックする。
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進捗管理会議では、数字の異常値を事前分析して持ち込み、問題と対策までをセットで共有する。
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会議・人の善意に頼らず、仕組みと数値で運用し、ムダな会議(回数・時間・出席者)を徹底的に削る。
