著者:メン獄(めんごく)

    1986年、千葉県生まれ、コンサルタント。

    上智大学法学部卒業後、2009年に外資系コンサルティング会社に入社。

    システム開発の管理支援からグローバル企業の新規事業案件まで幅広く手掛

    ける。2021年に退職後、医療業界全体のDX進捗を目指すスタートアップ企

    業に、DXコンサルタントとして就職。

 

 

 はじめに

  ・私が入社した2009年は、コンサルタントたちはハードな長時間労働を通してサバイバル術を身

   につけ、生き残ったものだけが会社やプロジェクトの中核構成員となっていった。

  ・客観的に見て、私自身はキャリアを通してたいして優れたコンサルタントではなかった。だから

   こそ大志も大義もなくコンサルタントになった一大学生が、どのように12年という歳月を業界

   内で生き延びたのかという激動の記録は、一つのヒントになるのではないかと考えたのだ。

 

 アナリスト編 ⇒ 私大文系バンドマン。コンサルタントになる

  1.「”速い”はそれ自体が重要な価値だ」・・スピードを生む仕事の基礎力

  ・コンサルタント業界において、配属先がないために待機せよ、と暗黙的に言われているアベイラ

   ブルとは、ある種の”戦力外通告”に相当するとされていた。

  ・明日から「クライアントとの会議だから準備して。あと議事録とって」と言われ、クライアント

   先を一緒に訪問することになった。プロジェクトルームに戻った時には既に21時を過ぎていた。

   颯爽と鞄を持って退社しようとした私に、ヤマウチは「議事録、何時にできる?」と問いかけた 

   振り向くと、先輩社員たちは誰一人として帰る素振りを見せず、みな黙々と業務を再開し、先ほ

   どの会議を振り返りながら、次の一手を議論しはじめていたのだ。

  ・コンサルタントをめざす者たちのキャリアのスタートとなるアナリスト職は、その名の通り、

   提案の土台となるクライアントを取り巻く現状の”調査・分析”業務と結果の取りまとめを主な業

   務としており、私もバリっとしたシャツとスーツを買いそろえ、仕事に臨む場面が多かった。

  ・コンサルタントたる所以は、一体なんなのであろうか。その筆頭に挙げられる核心的要素は、

   「速度」にある、と私はかんがえている。先輩たちは、物理的なタイピング、PCの操作が異常

   に速かった。PCに向かう際、マウスを一切使わなかった。私がマウスを使って操作をしている

   のを見た先輩は、「次マウスを使っている所を見たら、手を切り落とす」と言い放った。1週間

   もすればマウスがないことに体が自然と慣れていった。

  ・例えば朝、何か上司から指示された場合、日を跨いで結果を見せるようでは遅い。朝一で指示が

   あれば、遅くとも午後一に、一度何かしらの作業進捗を上司に見せられるコミュニケーションが

   必要だ。作業を進める中で20分以上手が止まる場合は2時間を待たずして、即上司に対してエ

   スカレーション(上席への報告)することを心掛けたい。作業の手順を具体的に指示するのは上

   司の仕事の一環でもあるので、その場合遠慮なく相談しよう。

  ・仕事の速度の本質は、物理的な作業スピードもさることながら、次に何が起こるかを予測して仕

   事を行う”先読み!にこそあるといえる。作業が正確なのは当たり前。その上で、どれだけ速い

   か? このスピードへのこだわりがコンサルタントと他の職種をわけるポイントだ。日々次の業

   務を予測しながら行動して、仕事は圧倒的に「速く」なる。

  ・どの程度の時間があれば一つの仕事を終わらせることができるのか、感覚を研ぎ澄ますことが大

   切だ。予定外の手順を一つづつ予測時間に組み込んでいくことで作業見積の精度は向上し、上司

   やクライアントからの「なぜそんなに時間がかかるのか?」という質問に対しても、明確に切り

   返せるようになる。

 

  スピードスキル集 その1 議事録篇 

  ・議事録が書けるということは議論されている内容を理解して、次に何をしようとしているのかが

   わかっている、ということになる。誰が何を言えば成功で、何が決まらなければ失敗なのかを事

   前に仮説として持っておく。会議が始まった後は全集中でとにかく聴く。不明点は、会議終了後

   に上司やクライアントを捕まえて解消しておこう。その場で解決する癖をつけなければいけない

  ・議事録は会議時間と同程度の時間で書き上げるのが一般的だ。議事録の取り方は、討議内容にフ

   ォーカスしたものとする。その会議で何が決まり、次に何を誰がいつまでにすれば良いのかがわ

   かるように、「決定事項」と「ToDo」は議事録冒頭に簡潔に書くこと。

  ・議事は出席者の喋った発言をそのまま文字起こしするのではなく、意図を汲み取って必要に応じ

   て発言の背景を補足したり、冗長を排除したりしつつ見解を簡潔に記載する。議事録は原則とし

   てドラフトは当日中に社内に展開すること。当日が難しい場合は翌日の午前を締め切りの目安と

   したい。

 

  2.「ピカソの絵を買う人は値段を見て買わない」・・品質に説得力を持たせる

  ・資料に誤字があったとする。あるいは会議を始める時に、資料の投影でモタモタしたりする。こ

   れではせっかくの記念日に1年がかりで予約したレストランで、椅子に汚れがあったり、店員の

   マナーが悪かったりするのと同様にクライアントの期待を裏切ることになってしまう。

  ・「我々はコンサルタントである」という強いブランド意識を社員一人ひとりが持つことが、あら

   ゆる仕事の場面で細部まで感覚を研ぎ澄まし、プラスαの創意工夫が生まれる土壌ともなるのだ

   上司へのレビュー依頼は、その目的を達成するために必要な情報がこの資料に過不足なく記載さ

   れているかどうかの判断をしてもらうプロセスだと考えると良いだろう。

  ・報告書や資料を出す順番についても注意を払いたい。どんなに内容の良い資料を準備したとして

   も、出す順番を間違えるとそもそも見て貰う事すらできないことがある。仕事の品質とは内容だ

   けでなく、カードを切る順序性を含んだ話と考えよう。

  ・何かしらの宿題を貰っている時、他に連絡事項や報告事項があっても、宿題に関する状況報告か

   ら先に行う必要がある。まず宿題の現況についての共有がないと、自分のオーダーが軽視され

   ているのではないか、という不信感を抱かせてしまう。コンサルタントとして絶えず意識してお

   きたいことは、”常に少しだけ期待値を上回る”ということだ。そうしたプラスαの何かがバリュー

   となり、私たちの仕事を高級商材の域へと昇華させるのだ。

  ・コンサルタントの日々の仕事におけるロジスティックスとは、「仕事に必要なものが、必要な量

   だけ遅滞なく、当たり前に存在する状態」を作っておく雑務である。ボールのくる場所を先読み  

   して「いい感じにやっておく能力」が求められる。失敗できない会議であればこそできる限り情

   報共有の根回しは済ませてから挑むようにしよう。

 

  スピードスキル集 その2 Excel篇 

  ① ショートカットはつべこべ言わずに覚える。

  ② 基本的な関数とピボットテーブルをマスターする。

    Excelのスキル向上のために参考書を買う必要はない。いま業務に必要なやり方をその都度

    Google検索し習得するほうが実践的なスキルとなる。

  ③ Excel最低限のルール

   ・セル結合をしない、重すぎる関数を埋め込まない、シート名もしっかり明記し不要なシートを

    残さない、ファイル保存の時はA1を指定し、表示倍率は100%の状態にしておく、ヘッダーは

    ヘッダー行であることが分る様に中央寄せし色を他行と変える、罫線は点線・縦線は実践で引

    く、行や列の非表示は使わず、グループ化機能を使うリストを作る時は最左列は項番とし

    ROW関数を利用する、1つのセルには1つの情報のみを入れる。

 

  3.「自分の限界を会社の限界にするな」・・会社の<集合知>を徹底活用する

  ・どんなに一所懸命やった仕事であっても、納期・予算・品質の3つが期待値に合わないのであれ

   ば、クライアントにとってはその仕事は不十分なものでしかない。自分自身の限界を勝手に会社

   の限界にしてしまうことは、クライアントのみならず自分を含めた関係者全員を不幸にしてしま

   う、裏切り行為なのだ。

  ・ToDoは、クライアントに動いてもらうべきことを明確に期限を提示して会議の中で渡し切る

   必要がある、クアイアントがやるべきことを依頼するのに遠慮はいらない。

 

  4.「3ヶ月後に何を言えれば成功なのか?」・・コンサルタントの型=「論点思考」「仮説思考」

  ・全てのプロジェクトには、そのプロジェクトで本当に解決すべき問題、つまり論点が存在する。

   その論点を意識せずに仕事を行うと、自分たちのみならず、クライアントも含めて大きな迷路へ

   と足を踏み入れることになるため、コンサルタントの基本姿勢とも言える論点思考は早いうちに

   身に着けておきたいところだ。論点思考とは「本当に今、私たちが解くべき問題は何か?」を

   ストイックに追及する姿勢と言える。

  ・コンサルタントの仕事は、「正解はこの辺にあるんじゃないか」「この辺がプロジェクトの決着

   となる場所なのではないか」という仮説を事前に立てて仕事をするのが一般的だ。

  ・クライアントに何か聞くにしても、「こう思っているんですけど、実際のところいかがです

   か?」という仮説思考を徹底しよう。仮説思考の姿勢は対クライアントのみならず、社内でもあ

   らゆる場面で求められることだ。例えば上司に何かを相談する際も「これどうしましょうか?」

   という質問の仕方は歓迎されない。自分なりの仮説を持ち、「データを見るとこういう傾向があ

   るので僕はこう評価をしているのですが、どう思われますか?」といった聞き方をすると、そこ

   から発展的でスピーディな議論が可能となる。

   コンサルタントにとって論点思考、仮説思考とは、いつどこでも即座に使える思考の型として体

   にインストールしておくべきものなのである。

 

  スピードスキル集 その4 コミュニケーションツール篇 

  ・Microsoft TeamsやSlackをはじめとするツールの発達によりコミュニケーションのバリエーショ

   ンが非常に多くなっている。仕事のスピードを上げる為には各ツールの特性を理解し、用途に応

   じて使い分ける必要がある。

  ・”アンサーファースト”という決まりがある。上司から「あの仕事って今日中に終わるの?」とい

   う質問を受けてしまった時に、「実は差し込みの仕事がありまして」という様に言い訳から始め

   ると、多くの場合「終わるのか?って聞いてんだけど」と怒られる。上司が聞いているのは終わ

   るか終わらないかの二択であり、それ以外のことから喋るのはルール違反になる。

 

  5.「お前がいないくらいで潰れるようなチームじゃない」サステナブルな仕事のスタイルとは

  ・アナリスト時代に共に働いていたコンサルタントたちい至っては、そもそも休むという思考その

   ものが欠如した修羅のようなサラリーマンが数多く生息していた。その生活は驚くべきもので、

   月曜日の朝に1週間分の着替えをスーツケースに入れて出社し、平日家には帰らずオフィスで仮

   眠をとりながら働くのだ。

  ・休むにもスキルがいる。休むことによる後続作業への影響とリスク、上司や同僚への説明という

   手間と負担を天秤にかけた時、働き続けた方が、心理的な負担が少ないという状態が頻繁に発生

   してしまうからだ。いつからか私は長時間働くことが当たり前になりすぎていて、時間をかけて

   悩みながら働くことで仕事の品質が上ると勘違いをするようになっていた。

  ・答えをしらない人間が悩んでも無益だ。コンサルタントであるならば、悩むのではなく、考えな

   ければいけない。答えを知らないなら知る人を探す、調べる、そのようにしてインプットの量と

   質を上げる他ないのだ。仕事において、「悩む」時間は極力ゼロにすることが求められる。コン

   サルタントの時間は何かの答えを出すための検証にこそ使うべきで、答えがないことを悶々と考

   えるために使うべきではない。

  ・サステナブルな働き方のコツは、自分の成長を自分で認め、それを周りにも示していくことに尽

   きる。

 

 ジュニアコンサルタント編 ⇒ 限界労働。その先

  6.「顧客の歴史に経緯を払え」・・クライアントを多角的に理解する

  ・入社から3年目にしてアナリストからコンサルタントに昇格することができた。

   コンサルタントがクライアントの上層部から与えられたミッションを持った中央・経営側の人間

   として振る舞い、現場の声や懸念点に十分な関心を払わずに、一方的な仕事の進め方をすれば、

   現場からの不信感は日々膨れ上がっていく。

 

  7.「前提を疑え」・・「言われた通りにやりました」に潜む罠

  ・後々の大きなトラブルを未然に回避するためには、どんなに小さな違和感であっても、言語化し

   その違和感の正体を見極めるようにしたい。特に、上司が認識できていなそうな、自分だけが気

   にしている違和感がある場合は要注意だ。

  ・ネガティブであることが明らかな事象についてのエスカレーションは、一切の時間的・手段的な

   配慮・遠慮は不用だ。上司へのチャットや電話等の手段、時間帯にかかわらず行うこと。深夜早

   朝であっても同様だ。

  ・自分自身が作成するアウトプットに関しては、上司やクライアントから何かしらの反対意見があ

   った場合であっても、簡単に引き下がってはいけない。これは他人の意見を聞かない、というこ

   とではなく、一度自分の出した意見に対して説明責任を持つ、ということだ。

 

  8.「あなたが社長ならどうしますか」・・「変化」を起こすから価値がある

  ・私自身がまだアナリストの頭のまま、作業者としての魂のまま仕事をしていた。与えられた仕事

   をただこなし、期限とスコープというわかりやすい2軸のマトリックスでひたすら仕事を「終わ

   らせよう」と作業をしていた。

  ・コンサルタントの仕事は、ただ与えられたタスクを終わらせることではなく、変化を起こすこと

   に肝がある。一つひとつのサービスを通してコンサルタントがクライアントに売っているものは

   事業全体に対する「変化」なのだ。バケツの底に大きな穴が空いている時に、側面にある小さい

   穴を塞ぐ作業をしても意味がない。同様に、あまりにも小さな変革テーマを切り出されたとして

   も、クライアント全体の事業に変化をもたらすファクターにはなり得ないのだ。コンサルタント

   は変化の一主体として、クライアントを、チームを、そして自分を変え続けることが求められ

   る。

  ・私はヌタさんと働いていた当時、プロジェクト全体の課題やToDoをExcelのリストで管

   理していた。私からヌタさんへの業務報告はその課題一つひとつがいつどのように終わるかがほ

   とんどだったが、ある日ヌタさんから「そのリストに載ることのない課題はどう対応されるの

   か?」という指摘を受けた。

   私にとって、私の役割と仕事は管理簿に書かれてあることが全てだった。しかしクライアントと

   プロジェクトを取り巻く環境は1時間ごとに状況が変わっており、管理簿の通りにはなっていな

   い。にもかかわらず、仕事の範囲を管理簿の中にとどめてしまえば、前提が覆るような問題が発

   生した時に、一体どのような価値提供ができるのか。

 

 シニアコンサルタント・マネージャー編 ⇒ ミッションは勝つこと

  10.「真剣にやってその程度なら降格しろ」・・マネージャーの絶対条件

  ・役職につけば、それ相応の力が備わると当時の私は勘違いをしていたのである。私は頑丈な社員

   ではあったが、マネージャーとしての能力はなかったのだ。最低評価の私にはボーナスはつかず

   一体自分はクライアント、会社、チームの何を守れたのかと苦悶した。

  ・私がコンサルタントとマネージャーとの差を明確に意識せず、何となく管理職になってしまった

   ことに原因がある。ではマネジャーには一体何が必要であったのだろうか?敢えて断言したい。

   プロジェクトを勝利に導ける・・これが唯一にして絶対的な条件だ。プロジェクトにおける勝利

   の条件は、概ね以下の点に帰結する。

    ①スケジュールの遅延、品質面の瑕疵なく、予算内でプロジェクトを完遂させること

    ②継続の案件が獲得できる、または将来性のある関係性を築けたこと

    ③チームメンバーのロイヤリティを維持し成長させ、社内で昇進させること

   クライアントは満足、会社は儲かる、部下を昇進させる。この3点が満たせていれば、勝だ。

   会社やクライアントが求めているのはシンプルにプロジェクトを勝利に導けるマネージャーであ

   り、なにも一緒に負けて、悲しみを分かち合うマネージャーではない。

  ・マネージャーであるからには、どんな手段を用いても勝たなければいけない。人がいないなら外

   部の業者を自分で連れてくる。ツールがなければ自分で探すか、作る。手段を択ばないとはそう

   いうことであり、総力戦なのだ。

  ・「上に立つ者は下の気持ちは汲んでも顔色を窺ったらあかん」 ⇒ 久保帯人

   これは、プロジェクト全体に対して責任を負う管理職が心に刻む必要のある言葉だ。

 

  11.「お前って結局何ができる奴なんだっけ?」・・自分が進化し続ける重要性

  ・上司は私に「お前は結局何ができる奴なのか?」という、私自身が逃げ続けた問いを明確に突き

   つけた。「お前はすぐに政治をやる。いろんな人の要望を叶えようとするが、そこにお前の意思

   がない。だから周囲に信用されない。お前の下にはチームを作ることができない」と私を評価し

   た。

  ・他者評価を知ることは、誰しも怖いことだ。自分の客観的イメージを突き付けられ、時に傷つく

   こともあるだろう。だがこれはプロとして長く仕事を続ける上で、どこかで乗り越えなければな

   らない壁だ。

 

  12.「最高のチームでした」・・周囲を動かすビジョンを持つ

  ・マネージャー時代に自分が成長したと実感できたのは、自分一人で勝ったのではなく、チーム全

   体でプロジェクトを成功させるゲームメイキングが出来るようになってきた時からだ。

  ・リーダーはチームに対して大義を語らなければならない。仕事を”やらせれている”リーダーに付

   いていく部下はいない。全く憧れることの出来ない人のいうことを聞くのは仕事であっても心情

   として難しい。たとえ本意でない部分があるにせよ、プロジェクトの大きな意義、そのプロジェ

   クトを通してチームそれぞれがどのように成長するかを語れるように準備しよう。

  ・メンバーにプロジェクトの現在地点を正しく理解してもらうために、管理職がキャッチした情報

   はほぼすべてのメンバーがオープンに共有できるよな仕組みを作っておくことをおすすめしたい

   日常的、実務的な情報のオープンソース化が、同じビジョンを共有するチームとして強い一体感

   と効率を生む。

  ・仮説思考を徹底的に行い、ビジョンの実現のために打つべき布石を準備していくのである。こう

   したビッグピクチャーが自分の中にあると、自社の役員から今後のセールスプランを聞かれた時

   も、即座に説明ができるし、生産的な議論が可能となる。

  ・どのような逆境にあっても、絶対に勝算を捨ててはいけない。決して卑屈な姿をみせてはいけな

   い。顔を上げ、このチームは勝てると言い続けよう。

 

 ●● ピークパフォーマンス方程式 ●●

  ・仕事の速度の本質は、物理的な作業スピードもさることながら、次に何が起こるかを予測して仕

   事を行う”先読み!にこそあるといえる。作業が正確なのは当たり前。その上で、どれだけ速い

   か? このスピードへのこだわりがコンサルタントと他の職種をわけるポイントだ。日々次の業

   務を予測しながら行動して、仕事は圧倒的に「速く」なる。

  ・議事は出席者の喋った発言をそのまま文字起こしするのではなく、意図を汲み取って必要に応じ

   て発言の背景を補足したり、冗長を排除したりしつつ見解を簡潔に記載する

  ・何かしらの宿題を貰っている時、他に連絡事項や報告事項があっても、宿題に関する状況報告か

   ら先に行う必要がある。まず宿題の現況についての共有がないと、自分のオーダーが軽視され

   ているのではないか、という不信感を抱かせてしまう。コンサルタントとして絶えず意識してお

   きたいことは、”常に少しだけ期待値を上回る”ということだ。そうしたプラスαの何かがバリュー

   となり、私たちの仕事を高級商材の域へと昇華させるのだ。

  Excel最低限のルール

   ・セル結合をしない、重すぎる関数を埋め込まない、シート名もしっかり明記し不要なシートを

    残さない、ファイル保存の時はA1を指定し、表示倍率は100%の状態にしておく、ヘッダーは

    ヘッダー行であることが分る様に中央寄せし色を他行と変える、罫線は点線・縦線は実践で引

    く、行や列の非表示は使わず、グループ化機能を使うリストを作る時は最左列は項番とし

    ROW関数を利用する、1つのセルには1つの情報のみを入れる。

  ・答えをしらない人間が悩んでも無益だ。コンサルタントであるならば、悩むのではなく、考えな

   ければいけない。答えを知らないなら知る人を探す、調べる、そのようにしてインプットの量と

   質を上げる他ないのだ。仕事において、「悩む」時間は極力ゼロにすることが求められる。コン

   サルタントの時間は何かの答えを出すための検証にこそ使うべきで、答えがないことを悶々と考

   えるために使うべきではない。

  ・私にとって、私の役割と仕事は管理簿に書かれてあることが全てだった。しかしクライアントと

   プロジェクトを取り巻く環境は1時間ごとに状況が変わっており、管理簿の通りにはなっていな

   い。にもかかわらず、仕事の範囲を管理簿の中にとどめてしまえば、前提が覆るような問題が発

   生した時に、一体どのような価値提供ができるのか。  

  ・ネガティブであることが明らかな事象についてのエスカレーションは、一切の時間的・手段的な

   配慮・遠慮は不用だ。上司へのチャットや電話等の手段、時間帯にかかわらず行うこと。深夜早

   朝であっても同様だ。