著者 : 西岡壱成(にしおか・いっせい)
(株)カルベ・ディエム代表。1996年生まれ。偏差値35の学年ビリか
ら、2浪で自分の勉強法を一から見直し、どうすれば成績が上がるのかを
徹底的に考え抜いた結果、東大に合格。著書「東大読書」シリーズは累
計40万部のベストセラーに。
はじめに
・僕は本書を通して、「どうすれば人の話を理解することができるか」、「こうすれば理解力がアップす
るんだ」という方法論を、皆さんに共有したいと思います。
序章 なぜ、東大の入試問題は、「30字」で答えを書かせるのか
・「要約力」こそ、本書で一緒に身に付けたい能力であり「頭がいい人がどうして頭がいいのか」の大
いなる答えであると考えている能力です。要約力は、理解力であり、説明力であり、記憶力です。要
約力がある人は、相手の話を理解することも、説明することも、覚えるべき知識を取捨選択して忘
れないようにすることも可能になります。要約できるから「頭のいい人」になれるのです。
・この本では、「要約」というものを、3つの過程に分解していきます。
「要約」=「事実整理」+「言語化」+「情報解釈」
この3つの過程を総合して、「要約」が完成します。
第1章 事実整理・・あの人の言っていることの本心を考える
・まず最初に覚えておいていただきたいのは、「事実を整理する」のと「整理した事実を解釈する」の
とは、全く違う行為であるということです。この本では、「事実を整理した要約」も「整理した事実
を解釈する要約」も、両方の方法を皆さんにお伝えしたいと思います。
・「相手の話を理解する」という過程は、「事実整理」+「情報解釈」によって成立しているというこ
とを、まずはご理解いただければと思います。
・東大に合格する人たちはどんなノートを取っているのか、それは、すべての情報が「問い」と「答
え」で整理されているということです。これをどの科目でもやっていて、相手の話をメモするとき
にもやっているのです。
・東大に合格した1人に「何で、問いと答えで整理するの?」と聞いてみると、「後から見返すため
だけにメモを取るんだったら、授業を録音して、黒板の写真をとればいいじゃん。俺はこのノート
で、頭の中を整理しているんだ。だから、整理しやすいように変換しているんだ」と。これが「要
約」と呼ばれる学習法であることに気づいたのは後になってからのことだったのですが、「ノートっ
て、頭の中を整理するために取るんだ!」と気付きました。
・記憶力に違いがなかったとしても、成績は大きく変わってきてしまう場合があります。その理由
は、「『問い』を意識している人とそうでない人との間で、天と地ほどの差が開くから」です。この
差は記憶力の差ではなく、意識の差により生じているものだと言えるでしょう。パンパンになるま
で情報をクローゼットにしまっておける人もいるでしょうが、どこに何の情報が入っているかが分
らなければ、その情報は活用できないわけです。このクローゼットに収納する行為こそが、「問い」
と「答え」で整理するということなのです。問いを使って整理することで、記憶が定着しやすくな
るということについて、納得できたのではないでしょうか?
・「理解」の前提にあるのは、「問い」です。「問い」なくして、「理解」はありません。人の話を「ふ
ーん、そうなんだ」と思って聞いている人と、「何でこの人はこの話をしたんだろう? ここって、
どういう意味なんだろう?」と考えながら聞いている人とでは、大きな違いがあるのです。相手の
話は、「問い」を考えながら聞かなければならないのです。
・東大生に「何でそんなに質問するの?」と聞いたら、「それは逆なんだ。何か1つでも質問をする、
ということはあらかじめ決めているんだ。何か質問することはないかな、と考えているほうが、相
手の話もよく聞くことになるし、理解しやすくもなるんだ」と。
・理解するためのプロセスとしての問いであれば、What「それは一体どういうことなのか?」Why
「それは一体なぜなのか?」という2つの質問さえできれば、思考を整理することができます。
東大生はその情報と因果関係のある情報を「→」で結び、同じような情報を「=」で結ぶことで、
情報を整理しているのです。
・「=」と「→」を用いることで、情報は整理されていきます。そして、何度もこの訓練を実践してい
る中で、文章を読んだり、相手の話を聞いたりしている最中にもう、「次はこの質問が来るだろう
な」と先回りして理解できるようになっていきます。「事実整理」が「相手の話を問いと答えで整理
すること」なのに対して、「情報解釈」は「自分で問いを立てて答えを考えること」なのです。
第2章 言語化・・言い換えることで理解は深まる
・僕が「この勉強法があったから自分は一気に成績が上がった」と思う勉強法についてお話します。
それは、「アクティブリコール」と呼ばれる勉強法です。
①毎晩15分、その日勉強したことや授業を聞いて理解したことを、白いノートを用意してそこ
に書いてみる。②その時は、何も見ずに、自分の記憶を頼りにして、文字にしてみて、覚えて
いる限りの情報を書いてみる。③15分経ったら、ノートを取り出し、その内容がどれくらい頭
に残っているのかを確認してみる。
・最初はほとんど何もかけませんでした。何度もやっているうちに、だんだん書ける内容が増えてき
たのです。これは別に、記憶力が上ったわけではありません。ただ、「今日の夜、またこれをアウト
プットしなきゃならないんだよな」という気分で、インプットすることが出来るようになったか
ら、書けるようになったのです。そこから学んだのは、「インプットは、アウトプットを前提にする
ことで質が高くなる」ということです。
・話が脱線するんですが、「相槌の打ち方を見れば、相手の頭の良さがわかる」と言ったらどう思い
ますか?以下に、実際に予備校で用いられている、生徒のレベルを判断するためのテクニックを紹
介します。
・生徒が質問をしてきた際に、相槌を3パターンに分けて観察している。
①説明した時に、なんの相槌も打たないパターン
→本当の意味ではわかっていないことが多い
②説明した時に、『なるほど』と言ったり、言ったことをそのまま繰り返して言うパターン
→実際には腹落ちしていない場合が多い
③説明した時に、『なるほど、〇〇なんですね』と自分の言葉で説明してくれるパターン
→本当に理解して、テストでも再現できる状態になっている
・重要なのは、先生の話を言い換えながら、「なるほど、〇〇なんですね」と自分で説明できるように
することなのです。情報は、自部なりにかみ砕いて、言い換えて理解しなければ意味がないのです。
「じゃあどうすればいいの?」って感じだと思います。この章でお伝えする方法は、すごくシンプル
です。『〇〇とはどういうことか?』という質問を繰り返し自分に対して投げ掛けて、その答えを出
していく。これだけです。
・「それはどういうことか? 言い換えるとこういう言い方になるのか?」という質問を考えながら、
その答えを出していくのです。このとき、自分の言葉で補うからこそ、情報が頭の中に入ってきま
す。聞いた情報を言い換えるから、その過程で理解が進んでいくわけです。それが合っているかどう
かはあまり重要ではなくて、自分なりに言い換えるその過程自体に意味があるということです。
・どんな文章・説明でも、「問い」が根本にあるということは忘れてはならないのです。
第3章 情報解釈・・1つの情報から10を知る考え方
・解釈、類推は「三段論法」の考え方によって導き出すもので、古代ギリシアの哲学者アリストテレ
スが開発した論法で、「大前提」「小前提」「結論」の3つで結論を出していくことをいいます。
・三段論法で解釈・類推をするためには、前提が「2つ」必要です。1つは、目の前で起こっている
事実を用意します。そしてもう1つ、情報を用意します。この2つを組み合わせることで結論がでる
わけです。ここで分かって頂きたいことは、解釈をするためには、前提が「2つ」必要だというこ
とです。
・前提と解釈を行うための情報の2つが揃うと、解釈して結論を出すことができます。「一を聞いて十
を知る」と言われる人は、「目の前で起こっていることの中から有益な情報を探す」という「観察」
と、「その情報に対して、解釈をするための材料を頭の中から引っ張り出す」という「想像」の2つ
を行っています。
・電気店で掃除機を販売するシチュエーション。「お客さんにメリットを伝える営業担当者は三流で、
どんな掃除機が欲しいかを聞く営業担当者は二流」なのだそうです。本当にすごい一流の営業担当
者なら「お客さん、吸引力が強い掃除機とかって、お探しではありませんか?」と、相手の悩みを
見抜いて、話しかけるのだそうです。この掃除機の話から得られる教訓は、「解像度を上げて考える
ことの大切さ」です。「相手に質問を投げ掛けることで、相手に対する想像力を上げて行く行為」の
ことを、「解像度を上げる」と表現することがあります。東大の経営者の先輩方としていてもよく
「解像度」という言葉が出てきます。
・「何を話しているのか?」より「なぜ、この話をしているのか?」
「なぜこの話をしているのか」を考えながら話を聞くというのは、頭のいい人の「聞き方」だといわ
れています。そう考えながら話を聞く人とそうでない人とでは、大きな差が生まれる場合がありま
す。本当に頭のいい人は、「何を」話しているかと同時に、「なぜ」その話をしているのかというこ
ともセットで考えているわけです。この視点で相手の話を聞く習慣を付けると、自然と、自分の糧
になるものを多く得られるようになるということなのかもしれません。
●● ピークパフォーマンス方程式 ●●
① 要約力は、仕事の精度を高める基本スキル
「話を正確に理解して言葉にできる力」は、報告・提案・判断のどれにも直結します。
複雑な情報を整理し、要点だけを伝えられる人ほど、仕事が早く正確です。
② 「問い」で情報を整理する習慣を持つ
会議でも打ち合わせでも、「この話の目的は何か?」「なぜこの課題が出ているのか?」と自問する
だけで、理解の質が一段上がります。
“問いながら聞く”姿勢が、的確な対応判断を支えます。
③ 聞いた内容を自分の言葉で要約する
上司や取引先の話を「つまり〇〇という理解でよろしいですか?」と、自分の言葉で確認する。
この一言で誤解が防げるだけでなく、相手の信頼も得られます。
④ アウトプット前提で情報を受け取る
「この内容を誰かに説明する」と思って聞くだけで、集中力と理解度が格段に上がります。
会議メモを“報告書にまとめるつもり”で取ると、自然に思考が整理されるのです。
⑤ 「なぜこの話をしているのか」を意識する
相手の言葉の裏にある意図・背景を考えることで、発言の意味や優先度が読み解けます。
「何を言っているか」よりも「なぜそれを言うのか」を考える人が、最も正確で速く動けるビジネス
パーソンです。
