2024年6月6日。
西村慎太郎です。
さて、引き続き、近代の浪江をとりまく木炭産業について検証していきます。前々回から大正11年度の東京大林区署『林産物売払予告』(東京大林区署、1922年)を見ています。この書には東京大林区署が管轄した小林区ごとに木材の特徴が記されています。
『林産物売払予告』のうち「製品賣拂之部」で浪江町域の記述を検証していきたいと思います。今回は大字大堀字金洗澤です。ゼンリンの住宅地図によると、道や民家も確認できない山林の中に金洗澤が確認できます。林小班は「二六、ろは内」のひとつのみです。
・赤松 丸太7816石 自六尺至十八尺
・姫子松 丸太432石 自六尺至十八尺
・樅 丸太1733石 自六尺至十三尺
・栗 丸太659石 自六尺至十八尺
・欅 丸太4石 自六尺至十八尺
・桜外四 丸太65石 自六尺至十八尺
・楢外一種 黒炭29706貫
・雑木 薪461棚
浪江土場 土場ハ常磐線浪江驛構内ニ在リ、林區署専用鐵道積込線アリテ、發貨頗ル便ナリ
赤松や樅、さらには欅などの丸木が見られますが、何より多いのは楢材ほかで作られた黒炭が3万貫ほどもありました。そうなると金洗澤付近に炭窯があったものと目されますが、現在でも遺されているでしょうか。
これら黒炭3万貫は浪江駅に送られて、鉄道で東京に送られました。