ぼんやりと気づいてはいた。歩けなく、なっていくこと。
だってほら、今も足はガタガタだし。
ほんとは知ってた。この世界はほんとじゃない、って。
だって俺には見えてたから。
必要以上に良い俺の自慢の眼は、良いものも、よくないものも、全部そのまんま映してくれちゃう。
こーいうときだけは困りもんだよなー。
でもすがりたかったんだよ。
それが人事を尽くすってことじゃない?
あーあ、でもタイムリミットだ。足が重いよ、真ちゃん。
ねぇ真ちゃん。
それでも今を精一杯だしきりあっていたかったけど、
ねぇ、真ちゃん。
もう、帰っても良いよ。
真っ白な病室によく生える翡翠色。もう使い物にならないこの体。
ごめんね、真ちゃん。
「高尾、俺は医者になるのだよ」
「お医者さん?」
「ああ」
「でも真ちゃんそれは、」
「わかっている。…わかって、いるのだよ」
「…真ちゃんは優しいね。俺みたいな人もう見たくないって、そういう気持ちでいるんでしょ」
「俺は、」
「でも、真ちゃんいつかわかるよ。真ちゃんが本当にやりたいのはバスケだってこと。だからこれは If の世界。真ちゃんはね、ほんとはバスケ好きなんだから」
「たか、お」
「ごめんね真ちゃん、我儘いっぱいきいてもらって。来世では我儘いっぱい言っていいから。それから真ちゃん、いっぱい車イス押してもらってごめんね。来世ではおれがひくからさ。あのね、真ちゃんをリヤカーに乗せてだってひけるくらい丈夫に生まれてね、毎日送り迎えしてあげるから。
ね、真ちゃん、約束。
来世では一緒にバスケできるよ」
「来世のことなんてわからないのだよ、俺はお前とっ」
「あーもうやだなぁそんな顔しないの!ね、大丈夫、寂しくないから。ラッキーアイテムちゃんと持ってるし。ね、真ちゃん、
いってらっしゃい」
ピピピピピピピピ。
目覚めたら何故か泣いていた。涙は止まらなかった。
きっと夢で泣いたのだろうが、どんな夢だったのかは愚か、夢をみていたかさえもわからない。
いつも通りに着替えて、朝食をとって、なんら変わらない朝。
今日の蟹座は2位。ラッキーアイテムは「使い古したバッシュ」。
家には数えきれないくらいのストックがあったが、いちばん古い奴を選んだ。
おは朝が「古ければ古いほうがいい」と言っていたからな、人事は尽くす。
時刻になるとリヤカーをひいて高尾が迎えに来た。じゃんけんをして、俺が勝った。当然だ。
目の前には黒い背中があって、前から騒がしい声が聞こえてくる。
当たり前の朝。
の、ハズなのに、何故か違和感を感じるのはなぜだろうか。
俺が見ていたのは、もっと小さくて、もっと、つらそうな。
「ねー真ちゃん」
「何なのだよ」
「あのさ、俺の為にだけはバスケやめないでね」
「…自意識過剰なのだよ」
「うはは、ひっでー、あ、でもなんつーの?そんな夢見たっつーかさー、
あ、あれだアレ、If だよ、If」
…なんだ?
デジャヴ、だろうか。
お前の背中が、よわよわしく震える白い背中と、お前の声が、今にも消えそうな泣き声に重なる。
「俺の為に、バスケをやめないで」
どこかで、この言葉を聞いた気がする、いつどこでと言われればおしまいだが。
「真ちゃん?なんで涙目なの、ウケるー…って真ちゃん、どしたの!?」
「、…わからない、高尾」
何故、どうして、こんなに胸が苦しい、どうしてこんなにしあわせだと思う?
どうしてこんなにお前が愛しい。
If そんな世界で、こんな世界でも。
あとがき
初、緑高ばんざぁぁぁぁい!!なのにこんなに雰囲気文なの(笑)
ちょっと慣らすため&黒バス練習のために書いたのに残念な出来に…
書かないって大変!!
If…もし…ならば, (仮に)…という条件では, …の場合には、など。
まぁとどのつまりパラレルワールドの高尾君の話みたいな。私的には前世の話として書いてるんですけどチャリヤ組は前世のことを夢に見ていて、でもバスケしてない二人なもんだからこれは違う世界の俺らなんだな、みたいな風に思って If なんです。だから If でいいんです。