久しぶりに太陽の光をたくさん浴びた。
深呼吸をしたけれど、うまく出来なかった。
疎かにしていると、
呼吸の仕方さえ忘れてしまうものらしい。
外出前、腕時計をつけようとしたら、針が止まっていた。
まるで自分だ、と思った。
電池を取り替えればまた動き出す、
人間もそんな風に単純だったらいいのにな。
春風と新緑は
文句のつけようがないくらい心地が好くて、
誰もいなかったらすぐにでも眠れそう、と
ベンチに座りながら思ったりした。
良い気分転換になった。
身体が喜んでいた。
その晩、食器を洗っているとき
グラスが割れて指を切ってしまった。
大して痛くはなかったけれど、
なかなか血が止まらなかった。
しかし、なぜか物凄く冷静で、
普通もう少し焦らないか、と突っ込みたくなった。
時間が経てば絶対治るから ちっとも怖くない
だから これくらいの傷 なんてことないさ
冷めた目の自分が呟いていた。