部屋に籠っていると
この世に存在するのは
自分のいるこの空間だけなのではないか、と
そんな有り得ない想像が生まれてきたりする。
気抜けのまま、
確認とばかりに窓を開けてみる。
そこには見慣れた景色があった。
何かを期待したわけでもないのに、
少しばかり落胆してみせる。
夜深い生暖かな空気。
異様なほどの湿り気が肌を撫でる。
冬の夜のように、
冷たい風で慰めてはくれない。
濃い灰色の空。
隙間のない分厚い雲が覆う。
窒息しそう。
死神よ
この空から舞い降りて
わたしを さらってほしい
抵抗はしないから
もし目を潤ませていたとしても
恐らくそれは 喜びの涙だろう