バス停でベンチに座ってバスを待っていたら
視界の端に杖が見えた。
自分が立って席を譲るべきだろうか…
でも並び順もあるし…微妙な距離だな…
とか勝手に一人でグルグル困惑して、
結局堂々と譲ることは出来ず、さり気無く席を立った。
そうしたら杖のおじいさんがゆっくり歩いてきて、
「ありがとう」と温かな声で言って目の前に座った。
申し訳なかったな、と思った。
最初に躊躇するからタイミングを逃すんだ。
気付いた時点で動けるようになりたい。
ウルウルしながらバスを待つ、春の風吹く停留所。
そんなこんなでバスに乗ったため、見事に酔う。
メンタル弱し、三半規管も弱し。
病院にて、この間の検査結果を聞く。
全く問題なし。
帰り、近所で食料の買出し。
お菓子や飲料、缶詰、カップ麺などをたくさん購入し
さあ帰ろうと外に出ると、
雨が降っている。
折り畳みの傘を持っていこうと思っていたのに
見事に忘れた。
開き直って空を見ながら歩き、家路につく。
今日は、もう何も頑張らない。
明日以降の日常については一切考えない。
「お疲れ様」
おもしろそうな本を何冊か借りてきたんだ。
お菓子と本があって、雨音さえ聞こえていれば
他には何も要らない。