「あなたが、レン・・・・・・」 

その人はニヤリと笑うと優雅にお辞儀をしてみせた。 

「えぇ、ルリ姫。偉大なる瑠璃の城の血を引くもの。私がレンです」 

さっきからアイルは地面にへたり込んでいる。 

リルは耳を立ててあたしの前に立っている。 

「その、時の力。先代の誰よりもすごい・・・・・・欲しい!その力」 

「なっ」 

レンの目がギラリと光った。 

その瞬間、リルの周りを雷をまとった檻が包み込んだ。 

「リル!」 

「私の事はかまいません!あの、レンと言う人を倒してください!」 

あたしはレンをキッとにらみつけた。 

レンはあいかわらず妖艶な笑みであたしを見下ろす。 

「ルリ姫、あなたの力をくださればリルさんは解放します」 

(あたしの力が無くなればリルは助かる――――――) 

あたしの頭の中にはいろいろな考えが駆け巡っている。 

(こんな時、ママだったらどうしてるのかな?) 

「ルリ様!だめですよ」 

ずっとへたり込んでいたアイルがあたしの手をギュッと握った。 

「あなたの時の魔法、今使わなくていつ使うんですか?」

「うん!そうだよね」 

あたしはアイルに笑いかけるとレンの方をキッとにらみつける。 

「レン!あなたには私の力はあげない!」 

「私も、お手伝いします!」 

「時の神に命ずる。我は時を司る瑠璃の城の血を引くもの。今、我に力を授けたまえ―――――」 

「植物の神に命ずる。我は桜に愛された者。今、我に力を与えたまえ――――――」 

あたし達の声が重なるとレンを包み込むように桜の花吹雪と時計の文字盤が浮かび上がった。 

「やっ、やめろ――――――――――――――――――!」 

レンの叫び声と共にレンの体は時計の文字盤の中に吸い込まれていった。 

しばらくして文字盤はスッと消えてしまった―――もちろんレンも一緒に。 

「アイル、これでよかったの?」 

アイルは首を縦に振った。悔いは無いらしい。 

「いいの!レンがあんな人だなんて知らなかった・・・・・・・だから・・・いいの!」 

アイルのしゃべり方がいきなり変わった。 

やっぱり・・・・・・・・・・・・・・・悲しいんだね・・・・・・・・・・・・・・・・・。 

アイルは急にハッとするとあたしの方を向きなおした。 

「さ、さっきルリ様にため口じゃなかったですか?」 

「あの方が、話しやすかったんだけど・・・・・・・」 

あたしが恥ずかしそうに頬をかくと、アイルはニコッと笑った。 

「うん!じゃこのままで喋るね」 

「そのほうがいいよ!」 

あたし達がキャッキャ言ってると檻から出てきたリルがあたしのワンピースの裾を引っ張った。 

「リル・・・・・よかったね!」 

「はい!ルリ様とアイル様のおかげです!」 

リルはそう言うとペコリと頭を下げた。 

「あの・・・・・アイル様これは・・・・・・・・いらないのですか?」 

そう言ってリルが差し出したのは白の腕時計・・・・。 

アイルは首を横に振って腕時計を遠くに投げ捨てた。 

「これで、いいのよ!あたしには今。親友が二人も出来たんだから」 

アイルが笑った途端、暗い宝物庫に光が差しこんだ。