昨夜、いったん日本に戻りました



今回は寧波(ニンポー)に行って来た

寧波ってのは、畳表の主要産地。



日本で生産されている畳の内、80%は中国産の畳表が使われているとか。

その中国産畳表の内の80%以上は寧波というところで作られている。

つまり、日本の畳のほとんどは寧波産の畳表なんです。



この産地・寧波全体で、今年のイグサの作付け量は昨年の20%減。

来年も20%減の予定だという。


これがどういうことかと言うと、寧波全体の生産量が2年間で半分に減らされる計画ということ。

畳表の製造というのは、とにかく重労働で粉塵も多くでるし、利益も少ない。

豊かになるにつれ、そんな汚れ仕事をやりたがる人も減り、人件費も上がっていく。

そうなると更に利益も減るため、経営者にとっては頭の痛い問題となる。

急速に近代化が進む寧波において、もっと近代的な産業への転換が進められていくのは自明の理。

寧波全体で、もっと儲かる事業への転換を図っていくことになっていくわけだ。



実はこれ、畳業界ではずっと恐れられていたこと。

日本の畳が安価な中国産に走ったことで、日本産の畳表は売れなくなり、イグサ生産を辞める農家が相次ぎ、もう国内農家の数は風前の灯火。

それでも価格の魅力のみで、中国産が使い続けられた。

国内農家を廃業に追い込みながら。



その中国が今、イグサの生産を辞めようとしている。

もう、4~5年後には畳表の絶対量が不足することは決定的だ。



そうなると考えられる事態は、とりあえず2つ。


1つ目はバラ色シュミレーション・パターン

畳表の生産量が減ることで、畳表全体の価格が急騰。

絶滅の道を辿りつつあった日本の生産農家が復活して生産を開始、高値安定の中、日本の畳は守られる。


2つ目は最悪のパターン。

イグサ生産量の不足により、現在もジワジワと増えつつある和紙の表が主流になる。

畳は「畳=イグサ」から、「畳=紙」という悲惨な姿に変わってしまう。

かくして畳は、畳の良さとは無縁の、形だけの姿になり果て、やがて息を引き取るように消滅していく。



このどちらか・・・・

と言っても、バラ色シュミレーションの方は、価格上昇に伴い更に畳の無い住宅が増えて、結局滅亡という事態もありうるわけだけどね・・・



どちらにしても絶滅?

いや、そうではない。

消費者の側に畳の良さが浸透し「畳のある生活=(心の)豊かな生活」と考える人が増えていけば、ハウスメーカーやデベロッパーの考え方も変わる。

私達、畳業界の人間による情報発信力によって、防ぐことは可能であると信じたい。

まだ、間に合う!