中国において、色んな日本の方のお話をお伺いする機会があるが


中国駐在で頑張っている知り合い達の共通認識として




「中国ビジネスの一番の障壁は、日本本社との温度差だ」




というのがある。


これは、経験した者なら皆分かる、如何ともし難い事実。




実際、現在世界で一番熱い街と言っても過言ではない上海にいると


とにかく日本にいては想像がつかないような勢いを実感する。


商談で訪れる相手は皆、これからのビジネス展開に対して非常に積極的で、なにかチャンスはないかと、常にアンテナを張り巡らしている。


こちらは売る側で行っているんだけど、向こうはお客さんというより、なにか儲かる事を作り出すためのパートナーとして接しているような熱さを感じる。


話す内容もダイナミックで、前向きだ。






この熱さの中で、なんとか商売を展開していこうとしている駐在社員は、本社に連絡をしたとたんに、その温度差に愕然とさせられる。


3年で街並みが変わると言われる、凄まじい変化が常に起きている上海のスピードにまったく対応できない。






中国でなんとか商売をしたいと考えている割には、中国の実情を理解しようとしない・・・というかできない?


地理的な近さと歴史的な経緯などからくるのか、日本のビジネスの延長で商売をしたいと考えがちだ。


中国の工場で商品を製造して日本で販売している日本の企業がたくさんいるせいか、気持ち的に日本に近い感覚があるのかもしれない。


或いは、「うちは中国との取引は長年やっているし国際ビジネスも問題ない」と考えているのかもしれない。


でもそれは、製造を中国で行なっているというだけで、本質的には日本の中だけのビジネスと同じなのだ。




しかし、中国でのビジネスの感覚は、どちらかというと日本よりも欧米に近い。


当然のことながら、中国は間違いなく外国。


日本国内の商売の感覚しか分からないため、実際の中国でのビジネスが想像できないのだ。






また、日本のマスコミで取り上げられる際の中国は


「なんか勢いはあるけど、その勢いに人がついて行ってない」とか「コピーが多い」「ビジネスモラルが無い」とか、ことさらに野蛮さや危険性を強調しがちだ。


急激に成長した若者の実力を認めたくない年配者のような気持ちなのか、もしくは歴史的な経緯から、いつまでも自分達の下に見たいからか・・・




日本本社の人達は、このようなテレビ報道を観ることで中国を理解したような気になってしまう。


実際に中国で働いている人達は、自分の肌感覚で感じている中国の人々の熱さと、本社の人間の考え方とのギャップに、なんとも言えない歯がゆさを感じているのだ。






中国に支社や事務所を出している日本企業の皆さん。


もう一度言います。中国は外国です。日本の延長では商売はできません。


国際ビジネスに対応できるように、現地では全く新しい企業体質の構築が必要なのです。


それに対応できる企業のみが、中国でのビジネスに成功できるでしょう。