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おっさんも時にはヒップホップを聞く。
と、断り書きを入れないといけないのは、ロケンロールとか言ってるおっさんとヒップホップというのはどうも食い合わせが悪い感が(自分でも)あるからなんだけど、おかしなことだ。
ラップっていうのも「おっさんがぶつぶつ言っている」と考えると「ブルース」である。
ほらぐんと距離が縮まった。
「楽器ができない下手クソでも可」→パンクやないか。
もう君の前の敷居はないも同然。
聞いてみて、身体が動く、踊れるなら、他に何が要るだろう。
日本先行発売されたばかりのこのアルバムは3年ぶりということだが、わたくしが聞き始めたのは今年の初めに出た中心人物スピーチのソロアルバムからなのでほとんど予備知識なし。
HMVで見かけて、おお出とると試聴一発15秒で購入決定。
その一曲目は「Hater」っていう曲で、
♪あなたも知ってるはず、他人が輝くのが許せないタイプの人間
あらゆるビートやライムのアラ探し、まるで・・・
こっちが何かやろうとすると、速攻で人を非難
どちらにしろ、僕たちは彼らの考え方に適合しないんだ
彼らはただのヘイター、ヘイター、ヘイター
という詞があれやこれやを思い出して笑ってしまうんだけど、曲も「ただのヘイター」を笑い飛ばす、いやそんなもんはどうでもいい、「だってこっちの方がぜんぜんかっこよくて楽しいんだもん」っていうポップの魔法。Hateって、楽しくはないよね。
「ヒップホップ」っていう名称がよくわからないにしてもひとつおれが特徴だと思うのは、音の置き方。ブロックを積み上げていくように、キャンバスに描き込んでいくように、フレーズ、楽器の選択、音色、この場所で、この音が鳴らなければならないという強い意志。
きっとそれはサンプリングの「自由」に関係しているんじゃないかと思うのだが、このことはアジアのスター周杰倫から教わった。
どのトラックも、実に身体がよく動く。
圧倒的な生への肯定感が背骨になった、解放の踊り。
この感じをおれはよく知っている。
スプリングスティーンのあの詞に乗って運ばれていくドライブ。
マーヴィンの声でとろとろに溶けるエロと愛の祝祭。
ソウルフラワーユニオンのライブ会場を包む、あの感じ。
だからこそアレステッド・ディヴェロップメントは「Bloody」で描くように、この世界に厳然と存在している虐殺や抑圧の事実からも目をそらさない。
抑圧されている者と抑圧してる者たちが仲良くやってるパーティ!
清らかであり続けてる手は誰のもの?
あまりにも多くの手が血に染まっている
だけど、「The World is Changing」世界は変わっていく、変わり得る。
「今様々なことがおこっている」そんな60年代のボブ・ディランのようなことを言いながら、「しっかり目を開け」という呼びかけが、覚醒しながら踊れるビートに乗って歌われる。
そしてちょっとタガが外れてネジもゆるんだ、ぱっぱっぱー ぱっぱらー ってコーラスに導かれて、Changeを起こすためのきわめて「現実」に即した方法論、「The World is a friendly place」がやってくる。
ライナーのメンバーの言葉を借りよう。
アルバム"Strong"収録の曲は、オバマ大統領が少しは崩してくれたアメリカ中心の考え方に異議を唱えている。90年代にデビューして以来世界中を旅してきたADは、海外にいるブラザー・シスターの存在、僕らに共通するヒューマニティや愛が嬉しいんだ。この曲を全世界に発表するのを誇りに思ってます。
ビューティフル!という現実認識のシャウトに続けて歌われるのは、この美しさを損なわないための方法。
誰にも騙されないでくれ
誰にも騙されちゃいけない
目を開けていろ
目をしっかり見開いて
このビートが正しいと思えるならば、「敵味方思考の排外主義者」などの言うことに騙されるわけはない。
うっとこの単なる飲酒観光記事を取り上げていただいた村野瀬玲奈さんの最新記事のように、わたくしも誇りをもってぱっぱっぱー ぱっぱらーと踊っていよう。そこにはアホ、酒鬼、海量、みんながいることだろう。

にはげしく限定され、上の二人とは傾向が異なる。




