前の記事に書いたパンク版「ロンゲスト・タイム」でスイッチが入り、こんなアルバムを引っ張り出して久方ぶりに聞いている。
イノセント・マン/ビリー・ジョエル

¥1,785
Amazon.co.jp
ビリー・ジョエル1983年のいなせなド売れ線ポップ。
さびれゆく工業都市やベトナム戦争をスプリングスティーンより早く歌った力作「ナイロン・カーテン」が商業的に失敗した後、流行歌手として背水の陣で発表したアルバムである。
当時評論家からは「オールディーズの焼き直し」「安易」などと酷評を浴びたのだが売れに売れた。
なめぴょんさんにとっては、マイケルの「スリラー」と同じく、あまりに何度も何度もターンテーブルの上で回り続け、またPVでも見せられまくったために、もう「音楽として優劣の評価ができない」ほど心身にしみこみすぎたレコードである。
ただひとつだけ言えることは、80年代真っただ中のアルバムでありながら、今となっては苦笑とノスタルジアだけを運んでくるあのピコピコ音が一切ない。
確かに懐かしいことは懐かしいのだが、ようつべなんかで見る他の80'sポップの、耳に入った瞬間すべてが失われてた当時の記憶一色に置き換わる、あの感じじゃない。
記憶だけじゃなくて「音楽」を聞いてる、っていう感じ。ベートーベンの旋律を借用しながら、スライドショーのように転調がくんくんにキマリまくっていく「This Night」なんてなかなかすさまじい。
そしてやっぱりベストトラックは、この
♪おっちゃんがー
やろね。
もう出だしのスネアとコーラスだけでイッてしまいそうなのだけど、このPVの悩みの無さ加減は号泣するほどだ。
スプリングスティーンの「I'm on fire」と同じ「自動車整備工」ものなのだが、ここには前者の感傷や哀愁は一切ない。
そして一人車を走らせるブルースと違って、ここでのビリーにはアホの仲間がてんこもりだ。
放り投げられたスパナをキャッチしてマイク代わりにハイポーズ!
画面転換して戻ってきたらスパナシンガーズ増殖!仕事せえ。
(シンガーズのうちビリーの左側のおっさんがものすごくイイ顔をしています)
ミュージックにあわせネカチモパツキン美女の車の窓を拭く従業員の腰のキレを見よ。
ちなみにこのパツキンはビリーの二人目の妻。糟糠の妻を捨ててファッションモデルに走ったボンクラさはポップシンガーとしての業なのか。(当然、数年後離婚)
モデルなので当然、ちっちゃいおっさんとはつり合いがとれん。
大将あきまへんで!とばかりビリーさんを台車に乗っけて運んでゆくアホ仲間の友情あふれるシーンが大好きだった。
そしてちっちゃいおっさんは短い足を振りまわし、モデルを従えたダンス大会に突入。
踊り続けるアホどもを放っておいて、彼女をバイクの後部座席に乗せて(実際
完璧なノータリンポップ。
でも、どれほどまでにビリー・ジョエルが心血を注いで脳みそをハトの糞サイズに絞り込んだのか。
その行為の崇高さが、今のオレにはちょっとだけわかるのだ。

