”彫金”ってのを数年前に三年位習ってました。


意味は”金属の彫刻”なんですが、私の行ってた所は主にアクセサリーを作るところで。


ただの”手作りアクセサリー教室”だったら興味ないんですけどそこの先生がね、わりと好き勝手やらしてくれたんです。


他の生徒の方々はかわいくてちっちゃい指輪やらネックレス作ってる傍らで


オブジェ作ってました。主に”虫” コオロギとか、トンボ、蛾。


でもすげー楽しいんですよ、材料は銀とか真鍮なんですが、切って曲げて溶かしてくっつける。


それだけで楽しい子たちが出来ていきます。やー楽しかったな、あの時は。


たかだか数センチのコオロギを三ヶ月位みっちりかけて超リアルな、今にも動き出しそうなのをわき目もふらず、作ってました。


教室内では完全に浮いてましたね、「なんだコイツ」みたいな。


でも先生だけはずっと応援してくれて、「君はそれでいい、君はそれでいいんだ」っていつも言ってくれて、それがすごいうれしかった。




皆の作品は年に何度かのアーティストイベントで売りに出すんです。


先生は私のも出すって言ってくれました。でも・・どうしても異様なんですよね、可愛らしいシルバーアクセの横にグロい虫、虫・・


でも私は自分の作品が沢山の人の目にどう映るのか知りたくなって・・周りの冷ややかな目を見て見ぬふりで了承しました。



さて、イベント当日。


結果的に私の作品は売れこそしなかったものの、(それは先生がべらぼうな値段つけたからだと思う・・)


反響が大きかったんです。


手にとって見れるように展示したんですが、それがはたから見てて、おもろい、おもろい。


みんなまず、ビビるんです、それはもう、”ビクッ”っと。


本物の虫だと思ってしまうみたいなんですよね、それで一歩下がった後、凝視して、そして笑ってくれる。


”ああ、オブジェか”と。


やーほんと楽しかったなあ、沢山の人が私の作ったもので笑ってくれる、感心してくれる。


確かに一個も売れなかったけど一番評判よかったです。




あの先生には感謝だなあ、余計なこと言わないんだもん。ほめ殺しの人だった。


”すごい!うまいな!綺麗だ!きみは天才だ!!”


もちろん生徒皆をほめ殺すんだけど、”天才だ!”って言葉だけは私にしか言わなかった。



先生大好き。忘れられないひとです。