さ、いよいよ気管切開のオペです。



とは言ってもだいたい30分くらいの局所麻酔で行われる簡単な手術なので結構リラックスして望めました。


前の10時間にも及ぶ手術に比べならこんくらいなんのその!



手術の緊張よりも、これで窒息の危険から逃れられる安心感の方が強かったです。


前回同様歩いて手術室に行き、入る前にもうしばらくみられないであろう穴の空いてない首を写真に収め←誰得写真
すたすたと自分で手術台まで行き、寝転んで準備オーケー。



主治医もサブの先生両方ともいて、なんだかとっても安心出来て本当にリラックスしてました。(これから起こる悲劇も知らずに)



オペ室にはアリアナグランデの曲がかかっていて、私が「お!」とスピーカーの方を指差すと、サブの先生も
「そうそう、なんにしようかなぁと思ったけどこれにしたよ〜」とかほんとに和やか。(これから起こる悲劇も知らずに。2回目)




主治医はピンクの縁のオペ用ゴーグルをしていて「いいね〜」と言うと「かっこいいでしょ〜」とかほんとに和やか。(これから起こる悲劇も知らずに。3回目)




そして始まった手術。

仰向けに寝て、首回りにあの青いカバーみたいなのをかけられて麻酔打ってから始めるんだけど、、





ん?

なんかちょっと苦しい。。






そう、それもそのはず、首が腫れて浮腫んで息がしにくくなっててもう家では苦しくて仰向けでは寝ていなかった私。



ちょっとヤバいなとは思ったが、自分で首の角度を調整して何とか気道を確保する感じで対応。




そして麻酔がちゃんとかかったかのチェック。

触ったり質問されたりして、ちゃんと麻酔が効いてるって事でいよいよです。


サブの先生
「バイポーラ」(電メスの事)


…ジジジジッ



(うわー、切ってる切ってる。てかこんな意識はっきりしてるのとかこえーな、、、急に不安になりだす)



すかさず、オペ看の方がすっと手を握ってくれる。


(ふー、なんて人の手は安心するんだ…)





(ん、なんかちょっと痰が詰まってきたか?呼吸がしにくい、、少し苦しいな…)




「たん、とって」


(お、まだ声が出る。気管はまだ切ってないのか)



看護師
「痰、取りますねー」




(いや、なんか全然取れてないわ、苦しいわ…)



「もっと」



先生
「ちゃんととってあげてー」



ズゴゴゴーッ



(いや、あんまスッキリしないけど…)




先生達
「あら、これはあれだね。。こっちかな、あれ」
「でも◯◯ですもんね。…バイポーラ。……これ、、」




先生達の会話に少しビビり出す私。

てか、あれ?とか言わないで



いや、にしてもなんか苦しい、、上手く呼吸が出来ない、、、結構ヤバいよ



「manaTさーん、気管の所カニューレ入れていくからねぇ」




(…え、もう気管空いた?うそ、え、めっちゃ苦しいけど)




「苦しい!痰とって!」




(…いや!!めっちゃ声出るやんけ!!何で!?何でなの!?てか苦しい!!呼吸!呼吸できん!…てか何この青いカバー!!めっちゃ邪魔!!これあるから余計苦しい!!無理!どけろ!!!←急にカバーのせい。笑)



先生達
「あれ、なんで声が出るのかな」
「声が出てるのおかしいですね、、バイポーラ」
「おかしいね、声が出るね」





この時点でもう私パニックです。

まずとにかく苦しい。
呼吸が全然上手く出来ない。
気管切開したはずなのに声が出る恐怖。
先生達のあれ?的なやつ。
青いカバーくっそ邪魔。
青いカバー口の前でガサガサ。
全然上手に痰吸ってくれない。
なんか暑くなってきた。


いっぱい出てきた。笑








「苦しい!!ムカムカ




ついに我慢の限界、息出来なくてバタバタし出す私。


必死に抑え込む看護師。


あれれ?的な医者。






先生達もヤバさを感じてきたのか
「ちょっと◯◯先生呼んでー!←ベテランの先生」



その声とともに看護師がバタバタと連絡を取り始める、、



私、苦しすぎて狂う。


口の前のガサガサ青いカバーを口の動きでよけようとする。

もちろん無理。





「よけて!!!ムカムカ



看護師もなんか必死に動いてる。
動かそうとしてくれるけどなんか不十分。

ダメだこいつは新人だ!←




てか苦しすぎて体がジンジン?してきた。


ヤバいヤバい。



早く早く←何が?かはよくわからない





もうほんとにパニック。





すると連絡からものすごいスピードで先生が来た!

ってかものすごい数の先生達が一気にきた!!!




一気にガヤつく手術室。


苦しすぎてさらに体バタバタしだす私。


最初はあんなに安心した看護師の手がもうウザい。


暑い。


手を振り払おうとしてんのに暴れないようにギューっと掴みにかかる看護師。


くそっくそっ!





「暑い!!!ムカムカ苦しい!!!ムカムカムカムカ


実際はすんごく弱々しい。笑





来てくれた1番上の先生
「それじゃない。こっちでしょ。こっちをゆっくり、こう」



うおーーー!なんか、なんかアドバイスしてくれてる!




そして気が付けば手術室中に響き渡るいろんな先生のいろんな声。
(たぶん頭頸部外科の先生ほぼ全員来てくれてた)



「大丈夫だよー!今切開するからねー」


「苦しいねー、ゆっくり吸ってー」


「manaTさーん、深ーく深呼吸ー!」



「バイポーラ」



「…血圧落ちてるよー、◯◯あげてー!」


「頻脈だよー」


「酸素ー!!」




酸素、鼻にスチャ。←今頃かい






もう、本当に限界まできた感じの私。。





あぁ、、、私、こんなにたくさんの医者達に囲まれて、こんなにたくさんの医療器具があって、助かる可能性しかないような場所で死んでいくんだ……



本気で思いました。。。





もうダメだ……朦朧とする意識の中でその時



「はい開けるよーー!」





プスッ


スーーーーっ。







開いた!!


空気!!!



空気がたくさん入ってきた!!!!笑い泣き笑い泣き笑い泣き





あぁ、、よかった、、、、えーん




もう体は汗だくの手足痺れまくり、涙吹き出して意識は朦朧、、そしてなんせ苦しい。。。


なんか手足がガクガクしだして、、暑くて、、かけてあるもの全てとって欲しくて、自分で足バタつかせて剥いでみようとしたら、またもや看護師に全力で足押さえ込まれて、、、

「危ないから、足たてないでー!」


くそっくそっ!!!!ちげーよ!


もう、だめ、背中ずらしたい、、

ちいさーくもぞもぞ…


「そっち行ったら落ちるよー!!!動かないでーー!」


端くらいわかっとるわ!!くそっくそっ!





はやくどーにかしてくれ!






ってタイミングで神先生登場


神先生
「manaTさん、暑い?…暑いよね、キツいね。これ邪魔かな?(憎っくき青いカバー)どけようか、眩しくないかな?(全部どけてくれて、しっかり表情を見ながら)今もう気管は開いたからね、大丈夫。ゆっくり深く呼吸して。今から管入れるかるね、ちょっとまた苦しくなるけど大丈夫。もう終わるからね。手足痺れてない?たぶん過呼吸になっちゃってるから、ゆっくりね、深呼吸。大丈夫ですよ」




笑い泣き笑い泣き笑い泣き笑い泣き笑い泣き

それそれ、それですよ。

患者が求めてた声かけ。




もうほんと泣けた。

まだ苦しかったけど、身体中変になってたけど、ほんと神先生の声掛けでだいぶ落ち着きました。


そしてその後は順調に進み、なんとか無事、死ぬ事なく手術が終わりました。




全てが終わってもあまりの疲労でなかなか起き上がれず、全て一呼吸起きながら動いて何とか車椅子へ。


今世紀最大ぐったりして険しい表情の私に、



「苦しい思いさせてゴメンなさい!!!!ショック


主治医が全力で謝ってきました笑い泣き





険しい表情のまま私が口をパクパクさせて出た言葉、、、


 




「絶対に許さない」









いや、何様ーー。笑










あーーーーーー、もう局所麻酔はこりごりだー笑い泣き



2度と意識のある中で気管切開なんぞしたくない笑い泣き






そして病室に戻りしばらくすると2人の先生が来てくれて、今回何でこうなってしまったか説明してくれました。


今回、前回気管切開をしていたところを再度開けたのですが、前回長い間気管を開けていた事と、放射線治療の影響があって、皮下組織がかなりひどい癒着を起こしていたそうです。

そんなもんだから、切り進めても気管が分からずに、悪戦苦闘していたらしい。。。


いや、こわっ。
そんな?
先生でもわからんの?
うそだー


とにかく苦しくて苦しくて怖かった事をプンプンしながら伝えて、神先生の声掛けが素晴らしかった事と、先生も目ヂカラばっかり強めてないで(新しい主治医の先生は、かなりの目ヂカラの持ち主です←何情報。笑)あの、素晴らしい声掛けを学んでください!って偉そうに言いました。笑

いや、いい先生ですよ!主治医!笑い泣き







まぁ、とにかく、、もうアリアナグランデは聞きたくない。笑



そしてあんなにごったごったしてたのに、サブの先生がオペ中「バイポーラ」「バイポーラ」ばっかり言ってたのが、後になって笑えてきてしょーがなかったです。



苦しくってもバイポーラ

ヤバくなってもバイポーラ



先生、どこをどんだけ切ってたんだ!?笑








オペ中に変な呼吸になって肺が頑張りすぎたのか何なのか、その日の夜は胸全体が痛くなって寝返りを打つ事すら出来ないほどでした。

が、疲労度の方が優っていたのか朝までそのまま寝続けましたねー



とにかく、1日に2度も命の危機を感じた日。

ほんとこりごりです。

生きててよかった。






これからはどーか事が穏やかに進みますようにお願い