犬飼隼人シリーズ。
本シリーズについてはバラバラに読み進めている。
タイトルにある「ラスプーチン」といえば、帝政ロシアの怪僧。
色々な逸話があるため、伝説的でなんとも言えぬ悪の魅力がある。
さて、そんなラスプーチンに例えられたのは…ナチュラリーという民間医療の主宰、織田豊水という男。
怪しげな根気棒なるもので体を叩くと不治の病、癌が治る!
…そんなわけあるかい!
と思うのは、私が健康そのもの(人間ドックが人生の中で一番成績がいい)だからだろう。
苦しむ人が医療以外に救いを求めることを笑うことなどできようか。
けれど、おかしいものはおかしいんだ。
物語は、プロローグがなぜプロローグか、に気付けばミステリーとしてはさほど難しくない。
ただ、物語の本質はそこではなく、宗教や医療、親子の関係まで考えざるを得ない点にある。
「救い」とはなんだろう?
解説ではカルトについて言及がなされている。
もちろんそれも含みつつ、私のなかでは、織田の母親のエピソードが記憶に残った。
子供が手を伸ばした時に私は子供の手を振り払ってはいまいか、と。
信頼を作る時期に私は適切に関われているか?
全てが子供の頃に決まるわけではないとしても、それが始まりと言われかねない点であることに、背筋が伸びつつ同時に背筋が凍るのだ。