NHKの同名ドラマ原作。
この世界観をよく映像化したな、とドラマ作成スタッフに頭が下がる。
本書にない部分も原作を損なわないように挿入され、気持ち悪さや居心地の悪さ、揺れ動く心をキャスティングから小道具に至るまで緻密に作っていたように思う。
そして、ドラマと書籍のいずれも、妊娠中に出会えたことが嬉しい。
さて、物語は代理母の話。
金がないから子宮と卵子を売った主人公リキ。
代理母を人助けと思っている企業:プランテ。
自分の子供(孫)にこだわる草桶家。
一番感情移入できたのは露悪的なりりこだった。
自分がどの立場にいるかで、感想は大きく変わるだろう。
私はりりことは全然違うけれど、りりこの考えに納得できるところが多かった。
代理母まで使って自分の子供にこだわる気持ちがよくわからない。
確かに自分の子は可愛い。
けれども、里子や養子を愛することだってできるし、自分の子だから無条件に皆が愛するわけでもない。
実際に代理母を利用している人もいるので、いいとか悪いとかましてや断罪するつもりはない。
ただ、私だったらそれを良しとする気持ちにはなれないから行わない。
一方で、私が自分の遺伝子を受け継いだ子供を妊娠しているのはなぜ良いのか、それに対する明確な答えも持ち合わせない。
自分の体だから良いの?
自分で選んだ人の子供だから良いの?
だったらなぜ代理母はダメなの?と。
最後のシーンは、納得いかないような、悲しいような。
片方だけ、は子供の気持ちとしてはどうなんだろう。
自分が残された子供だったら、と思って胸が痛んだ。
その問題は、内密出産にもつながる。
仮に親が幸せになって欲しいと願ってのことだとしても。
感想が書ききれない。
読み進めている間中、私の腹の中で、私以外の生き物が自らの存在を主張すべくずっと蠢いていた。