ホラー、というべきか、社会派、というべきか。

いや、ジャンルはそこまで大事ではない。

大事なことは、根底にある、テーマだ。

 

本書は、闇ハラという造語について、辞書的な記載がされたページが本編の前に記載されている。

第一章は、転校生、白石要がいたって普通の高校に転入してきたところから始まる。

優等生の澪と目が合う。そして、彼は澪につきまとう。

彼が闇なのか?

困った澪が頼ったのは部活の先輩。

そこで甘酸っぱい恋が生まれ……でも、なんだかおかしい。

これって、モラハラ?

 

第二章では舞台が変わる。

梨津というフリーアナウンサーが家族と越してきた団地は、何かがおかしい。

人との距離も、気配も。

そして、衝撃的な事故で章は終わる。

 

第三章も、何かがおかしいまま。

このまま物語は終わるのか?

 

本作が怖いところは、まだ、闇が続く可能性が示唆されているところだ。

相手に自分の事情を一方的に押し付け、不快にさせる…誰のそばにも、誰の中にもある。

逃れるためにはどうしたらいいのか。

確実な方法などないけれど、私は、知性を磨くことが取り込まれない方法だと考える。

本を読み、他者と関わり、自分の価値を正しく知っていることが闇ハラから逃れる方法だ。

 

自分に自信を持って、他人の気持ちを考えられるのであれば前向きでいられる。

もちろんそうでない時もある。

だが、ダメな時を自覚できれば、それがお守りになる。