出産は女性にとっての一大イベントだ。

しかしそれを選択しない人もいる。

それは自ら望んで、の場合もあるし、様々な事情から選べない人もいる。

私の母は言った。

「産んでも、産めなくても、悩みは尽きないもの」と。

 

本書では七人の出産しない女性を描いている。

第一話では、妊娠できないことを理由に離婚しようとする女性から依頼を受けた、女性弁護士が主人公だ。

ファンタジーと現実の狭間で悩む女性の姿がそこにあった。

 

第三話では、それに加え、羨望という欲が加えられた話になっている。

お互い、「歳も歳だし子供なんて、もう」と言い合っていた仲なのに、片方だけが妊娠した。

おめでとうの気持ちと、それ以上になんであの人だけ、という拭えない思いが溢れ出る。

 

第五話では、出産した女性と、していない女性の間の葛藤が描かれる。

よくネットなどで揶揄する言葉として使われる、「脳内お花畑」な女性が登場する。

しかしその女性だって、全く悩まないはずがない。

浮き沈みのある自分でコントロールできないところに、難しい点がある。

そして、そんな「お花畑さん」に対して冷たく見える女性が敵とは限らない。

みんなにとって最良の方法を考えているだけで、ことさらに意地悪なわけではないかもしれない。

その二人の間に、見えない壁があるだけで、きちんと話して見たら、その壁は元からあったものではないと気付けるかもしれない。

 

悩みとは他人には見えないし、たやすく理解できるものではない。

今一番苦しいのは私、世界中で一番どん底にいるのはこの私、そう感じることもあるかもしれない。

現実には他人の人生を生きることなど不可能だ。

しかし、読書によって、誰かの苦しみを知ることができれば、立場を、悩みを、体験できるとしたら、他人に対してもっと慈悲深くなれるはずだ。

そして何より、自分自身をもっと慈しみ、愛してあげることができるはずだ。