ネメシス、どこかで聞いたことがある、と『新・怖い絵』を開くと、ああ、ここにおわします。
しかし......かのような絵姿でないのが、著者のネメシス。
彼女は運命の女神か、それとも復讐の女神か。
本書では死刑制度について読者に問う。
世界が死刑廃止の方向だから?
冤罪の恐れがあるから?
犯罪者を生かす税金は無駄?
更生など望めない?
遺族感情に目を向ける必要性?
クエスチョンマークだらけの議論が、平行線の議論が、ずっと繰り返されている。
学部生の時、私も同じような課題に取り組んだ。
議論をして、論破して、勝ったつもりでいた。
けれどもたくさんの課題がある中で、そのすべてに十分な根拠を述べたとは言えないし、何より加害者の家族に対する考えになどまるで取り組んでいなかった。
自分が見たいものや事にだけ、自分に都合のいい部分しか見てはいなかった。
本作に登場する、温情判事事渋沢の過去に私は一度声を失った。
それでもなお、温情判事と言われる判決を出す姿は神々しくさえあった。
それに比べて、公憤を正義と勘違いする輩の何と低俗な事!
感情だけで動くその姿は大馬鹿者という他ない。
しかし、そんなふうに考えた自分も同じ穴の狢だと思い知らされる。
著者はあの、中山七里氏だ。
単純な善悪だけで終わるはずがない。
神とはそもそも穏やかなものではない。
怒りをたたえた大いなる存在。
神は平気で地上を一掃する。
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