本書は、首都圏連続不審死事件で有名となった女性をモデルにしたものである。

タイトルのBUTTERは彼女をモデルにしたカジマナとカジマナを追う女性記者とその友人伶子をつなぐキーワードだ。

読み進めるうちにどうも胸焼けがしてたまらない。

それは決してただの思い込みではない。

読書だって体力を使うのだ。

ずしりと重い、バターの塊のような本書を受け止めるには、心身ともにそれなりの体力が必要なのだ。

 

ここに登場する女たちは皆辛そうだ。

迷い、苦しみ、「女らしい」。

伶子は必死で家を整え、手作りの大層凝った、それでいて家庭の味のするもので家中を埋め尽くす。

自分の居心地がいいように、喜んでもらえるように。

けれども男はそんな努力を認めはしないし、重いとすら言う。

あれは嫌い、世話されて当たり前。

「オレに好意を向けるあいつはデブでブス、まあ肌はキレイだけど」。

ぶん殴ってやりたい。

決して女は満点にはなれない。

かわいいけれど性格はきつい、料理替えきるけどデブス。

でも、でも、でも!

『現代の日本女性が心の底から異性に愛されるには「死体になる」のがいいのかもしれない』(304頁)

女も男もモデルとなったあの事件に惹きつけられたのは、絶対的に彼女が「生きていた」からだ。

 

対等になるのが本当は怖いのではなかったか。

言い訳できなくなることに恐れを抱いたのではなかったか。

本書は強く読者に問いかける。

お前に足りないものはなんだ、何が望みだ。

お前は生きたいか。

 

虎のような獰猛さで読者の目の前にやってくる。

お前はこいつと対峙できるか?

BUTTER BUTTER
1,728円
Amazon