遼子はまもなく出産を迎える。

そんな不安な時期に、夫は、あろうことかドバイに赴任することになった。

仕方なく、急遽里帰りの出産となった。

 

しかし実家の雰囲気はなぜか不穏。

父は9歳離れた妹を「あんな子」呼ばわり。

何が起きたのだ。

何が、家族を変えてしまったのか。

 

妹に起こったことは、題からお察しの通り。

ただ、決してそれだけの、単純な出来事では無かったけれども。

 

232頁にこうある。

「正しさとはなんなのだろう。恋をして、抱き合って、子供ができたのは同じなのに、わたしは正しくて、美和は正しくないのだろうか。」

妊娠は幸せなことに違いない。

だが、光の部分があまりにも強くて、眩しすぎて、いとも容易く陰に変わる。

セックスしたのを周りにアピールしているのと同じ、不妊の人に対して思いやりがない、自慢だ。

そんな悪意もあれば、妬みもある。

女って怖いなあ、だって?

一番本書において怖いのはそんなところにはない。

もっと身近にある、歩み寄れない、受け入れられない、そんな心の部分。

それに、当事者のくせに他人事としか思っていない人物。

ここを見ずして、ただのミステリー、サスペンスだと思ったら大間違いだ。