科学のこぼれ話から
こんなとき、あんな本
銀河の片隅で科学夜話 全 卓樹
興味を持ったこぼれ話を二つ紹介する。
ペイジランク
人の世評はどのように決まっていくのか。
人の評価は個々人の何かの美質に基づいているのは違いないが
有能さだけではない。
何でどのように決めているのだろうか。
スタンフォード大学院生のペイジとプリンがこの計算手法を
ウェブページの評判に関して編み出した。
詳細な論文を書き特許をとり、これを基にウェブページの検索
エンジンを作った、Googleのペイジランクである。
世界中のウェブページの検索順位はこのペイジランクで決められて
いる。
トロッコ問題
炭鉱の採掘現場でブレーキが壊れて暴走するトロッコ、線路の
先には5人の工夫がいる。切替路線の先には別な1人の工夫が
いる。あなたは路線切替機の隣にいる、あなたは、どうする?
AIによる自動運転の実用化が視野に入っているとき、どのような
倫理的判断を行うかについての大規模な調査が必要ではないか。
地球全体を網羅した大規模な調査は既に行われている。
全世界の100万を超える被験者から4000万の回答を得て、
9つの論理的性向として整理され2018年秋にネイチャー誌
に発表された。(MITメディア研のイヤド・ラハワン博士)
人類共通の結果として、より沢山の人命を救おうとする傾向、
老人より若者を救おうとする傾向が確認された。
また倫理哲学的性向として「西洋型」、「東洋型」、「南洋型」が
ネットワーク・クラスター分析から浮かび上がったという。
因みに9つの倫理的性向は;
無行動選好、歩行者保護、女性保護、健康者保護、合法的保護、
高位者保護、若者保護、多数者保護、人類保護である。
これに刺激を受けて月刊の科学雑誌を読んでみようかなと思って
書店や図書館を覗いてみたが、目につくのは「ニュートン」
くらいで、この国の科学に対する関心は薄れてしまっている。