リーダーは覚悟と言語
こんなとき、あんな本

マキアヴェッリ語録 塩野 七生

 閉塞感のある今の日本、政治を変えて日本を変えたいとの
国民の思いが、自民党から民主党に与党を変えた。
しかし、与野党とも国会議員の言動にがっかりする。

 覚悟と言語が乏しい。

 この本は、マキアヴェッリの君主論、政略論他から至言を
抜粋し、君主編、国家編、人間編と編集されている。
君主はリーダーと国家は組織と読み替えてマキアヴェッリの
言葉を読んで欲しいと著者はいう。

 たとえば、以下なんかどうでしょう。

 君主編12
 頭にしかと入れておかねばならないのは、新しい秩序を
打ち立てるということくらい、むつかしい事業はないということ
である。
このうえなく実行が困難で、実行したとて成功はおぼつかなく、
実現での過程では細心の注意を必要とすることなのだ。

 なぜなら実行者は、現体制下で甘い汁を吸っていた人々すべてを
敵にまわすだけでなく、新体制になればトクするであろう人々
からも、生ぬるい支持しか期待できないものだからである。

 この生ぬるさは、二つの原因から生まれる。
第一は、現体制を謳歌している人々に対する恐怖感であり、
第二は、異例の新しきことへの不信感によるものだ。

 君主論13
 とはいえ、この問題を充分に論ずるには、新秩序を打ち立て
ようとする者が自力で行おうとしているか、それとも他者の助けを
あてにしているかで分けられなければならない。

 後者の場合は、実行の過程で必ず障害が生じてきて、目的を
達成することは不可能になる。
反対に、自力で行おうとする者は、途中でなにが起ころうと、
それを超えて進むことができる。

 だからこそ、武装せる預言者は勝利をおさめることができる
のであり、反対に、備えなき者は滅びるしかなくなるのだ。

 君主論51
 軍隊の指揮官でさえ、話す能力に長じた者が、良い指揮官になれる。
単に軍規を守らせるだけならば、たいした能力は必要ではない。
そして、それだけでは、多数の人間の集合体である軍隊を、手中に
収めることはできない。
むやみと厳罰でのぞむよりも、彼らに向かって説得したり鼓舞したり
するほうが、効果は大きいものである。

 それゆえ、自分の思うところを充分に伝えることのできる、
話術の力が必要とされるのだ。

 元大阪府知事の橋下さんの改革が進んだのは、上記の自力で
やろうとする強い意志と力となる仲間(維新の会)を持ち、雄弁な
言語があったからではなかったか。

 まさに武装する預言者であったからだろう。
日本の洗濯は大阪から始まりそうだ。

 マキアヴェッリの至言に学ぶことは多い、リーダーは座右の書に
すべき一冊です。