平成琳派

石踊 哲哉展<日本橋三越>を観てきた。

 妙法院改築に際して12畳と8畳間を飾られる襖絵他を中心にした
展示会であった。妙法院は蓮華王院(三十三間堂)を所管する天台宗
の由緒正しい門跡寺である。

 三十三間堂は琵琶湖への帰省の途中によく寄った。京都駅から
歩いて適度な距離であり、広々とした堂内でのんびりした。

 千体の千手観音像の前に風神と雷神が鎮座している。
この風神と雷神が俵屋宗達の風神雷神図屏風のモデルである。
宗達の琳派の流れをくむ尾形光琳、酒井抱一、鈴木 其一が宗達の絵を
手本に風神雷神図を描いている。並べた展示を観たことがある。
微妙に構図を変えていた。

 さて、平成琳派の石踊さんの絵だ。
12畳間は寒色系、8畳間は暖色系で仕上げられている。
朝ぼらけの中の「奥山櫻」は12畳間、夕焼けに染まる「遠山櫻」
8畳間を飾る襖絵。
8畳間の締めくくりは「輪廻転生」と題されたドーナツ状のものに
植物が絡みついている大胆な構図の襖絵であった。

 もう1点気になる絵があった。
妙法院は飾らないが茜に染まる紅梅が描かれていた。
題して、「茜梅林図屏風」、朱と金箔に包まれた絵である。

 さてさて、きんきらきんの妙法院の12畳間と8畳間は何をする
ときに使われるのだろうか。
一人静かに瞑想にふける部屋ではなさそうである。