身分制度は親の仇だ
こんなとき、あんな本

 福翁自伝 福沢諭吉

 福沢諭吉の言葉として「身分制度は親の仇でござる」と言って
いると、司馬遼太郎さんの著書の中にあった。
身分制度で既得権が守られ、親の身分階級が子供に引き継がれる、
本人の大した努力もなく。

 自伝は自己賛辞もので読む気はしなかったが、今年読んだ丸谷才一
さんの著書の中で、この自伝を薦める記述があった。
なるほど、自己賛辞キラキラものではなく、幕末・明治期の気分や
精神がうかがい知れるものである。

 一例として。
前に「「適塾」の研究」を読んだときに、塾生の奔放(乱暴)な
生活ぶり、必死の学習ぶりが印象深かった。
この塾生の奔放な生活ぶりの表現は、福翁自伝を元に書かれたようだ。

 意志が固く利己的でクールな福沢諭吉が味わえる自伝である。
丸谷さんに感謝。