日本語は悪魔が発明した?

宣教師ニコライと明治日本 中村 健之助


 「日本に着くとわたしはあらんかぎりの力をそそいでこの国の
ことばを学びにかかった。
この未開野蛮のことばに慣れるまでには随分と時間もかかり苦労も
した。
これは間違いなく世界で最も難しいことばである。
というのは、このことばは、元来の日本語と中国語との二つから
成っていて、それが互いにまじりあっているのであるが、といって
合わされて一つになってしまうことが決してない。
日本をキリスト教の宣教師から護る目的で悪魔が自ら発明したのが
日本語であると、かって日本へ来たカトリックの宣教師たちは書いて
いるが、それはもっともな言い分だと思われる。 ・・・・・ 
互いに異なる種類の互いにまったくにたところのない似たところの
ない文法の仕組みをもつこの二つの言語が出会い、相互にからみ
合っているところから、およそ予測し難い文法の結合、語の形態、
付加語が、それこそ山と生まれてくる。 ・・・・ 」

 以上は、神田ニコライ堂のニコライさんが日本語学習について、
来日8年してロシア協会の雑誌に寄稿したエッセーである。

 この本は、こんな風に、ニコライさんの40年におよぶ日記や手紙を
元に、ニコライさんの目を通した日本文化や明治日本が描かれている。

 一読をお薦めします。