脳を活用する
こんなとき、あんな本

プロフェッショナル達の脳活用法1  茂木 健一郎・NHKプロフェッショナル制作班

あの番組に登場した人たちの思考法や行動のしかたが脳の使いかたの
視点からまとめられています。
その中から、ひらめきの極意とやる気を高めるという項を以下に紹介
します。読みやすく、参考になるテーマが満載です。同2もあります。

ひらめきの極意

<セレンディピティ>幸運を見のがさない心の準備をせよ
・人間の脳は“受け身”ではない。
欲しいものや必要としているものを能動的に探し出すのが、人間の
脳の情報処理の基本である。
見えるもの、また見ようとしているものに対して、我々の脳の中には
あらかじめ「世界はこうなっている」という仮説ができあがっている。
脳は仮説に合った素材だけを選んで集めて、像を結ぶ。
そのため、いらないものは見ていない。
見えているのは、欲しい情報だけだといっても過言ではない。

・この仕組みと同じことが、運にも当てはまる。
人間の脳は抱えている問題の解決策に関して仮説を立て、ジクソーパズル
のピースのようにピタリと当てはまる解答を求めている。
たったひとつしかないピースを探し当ててパズルを完成させるには、
どうしたらいいのか。
答えは明確で、必要なピースが分かっていること、そしてそのピースが
ピタリとはまるスペースがあること。

・偶然を幸福に結びつけるためには、何かピンとくるものがあったら、
それに関する本を読んでみる。
人に説明してみる、自分の仕事に応用してみる、記憶しておくとかの
反応をする。
常に潜在意識にピンときたものに行動を起こす。
「気づく」、「受け入れる」、「行動する」ことで偶然が幸福に結びつく。

やる気を高める

<ミラーニューロン>あこがれの人を持て
目の前にいる相手の良き振る舞い見たときに、その行動を頭の中で
シミレートしてみると、ミラーニューロンが反応し、その良き振る舞いが
すんなり自分に取り込まれる。
そして、自分でも気づかないうちに相手と同じように振る舞うようになり、
ひいてはそれが能力アップにもつながると考えられている。
ミラーニューロンの働きは無意識のレベルで相手の行動パターンを脳に
吸収しようとする。

<報酬>脳に小さな「喜び」を与えよ
「認められること」、「誉められること」が最大の報酬である。

<セキュアベース>心のよりどころを持て
悩んだり迷ったりしたときに避難できる「安全地帯(セキュアベース)」
を持つ。
よりどころとなるセキュアベースがあるからこそ、人間は未知なるもの
への好奇心や、新しい分野にチャレンジする意欲が湧いてくるということ。

<主体性>「やらされる」のではなく「やる」と思え
「自発的であること」、「楽天的であること」でポジティブな脳をつくる。

<シグナル>人の心に届くような思いを込めろ
生き物は、他者から発せられたシグナルを受け取ったとき、そこに
どれくらいのエネルギーが込められているか敏感に察知する能力を進化
の過程で身につけている。
人間の場合でも、シグナルにかかっているコストが大きいほど相手も
真剣に受け止めるということが、脳科学の世界では常識となっている。