琵琶湖のおもいで16
へら鮒つり

 へら鮒を釣るには、しまの奥にある萱の生えた「かや」と
呼ばれる内湖か、さらに奥の小さな池のほとりへ行く。
友達と誘い合って必ず複数人で行く。
人影の少ないところなので子供の自己防衛心からだったのか、
仲間と一緒に行動したいと思う気持ちからだったのか、そうした
ものだった。

 仕掛けは、いつもの簡単なもの。2~3セットの予備を持って
いく。自作の浮きを持ってくる年長者もいた。
京阪神から訪れる釣り人が持ってくるへらぶな用の浮きを真似た
もので、よくできていた。

 鮒は、なかなか釣れない。
内湖や池にはアカハラ(アカハライモリ)が多くいて、鮒が
食う前に食われる。よく掛り、しっかり針を飲み込まれた。
針はずしを使っても外すのに難儀した、気味悪い思もした。

 鮒は2~3尾釣れれば大満足した。
釣った鮒はアルマイトのお椀のついた魚籠にいれて持ち帰った。
子供たちに持ち帰られたへら鮒は自宅に池があると池に放たれ、
池がないと炙られむしられて、鶏の胃袋に入った。

 京阪神からの釣り人は、釣ったへら鮒をどうしていたのだろうか。
魚拓をとる、その後は、との疑問が今もある。