琵琶湖のおもいで6

いさざもつぶやくか

 初夏、「いさざ、いさざー」という声とともに自転車の後ろにトロ箱を積んだおじさんが、

いさざを売りにくる。トロ箱の中には褐色半透明のいさざがたっぷり入っている。世間話を

しながら「ちぎ秤」で匁単位の量り売りで売ってくれる。



この魚は生臭い魚だが大豆といっしょにしっかりした醤油味で煮ると、大豆にいさざと

醤油の味がしみ込み、これは旨いものである。暖かいご飯の上に豆といさざをのせて

いっしょに食うのだが、味のしみた豆は旨く、盛鉢に残るのはいさざばかりとなる。



このいさざも盛夏を迎えるころには大きくなり腹に卵をもつようになる。この大きな

いさざを七輪であぶり、アツアツを茶漬けで食う。脂ののった味は、寒ぼてとは違う

味わいがある。ちなみにいさざは、ハゼの一種で魦と書く、大きくても5cm程度の魚である。



と書いてきて、季節がちょっと心配になったきた。春先から初夏であったかも知れない。