わたしの10冊
脳が都市を造った

「唯脳論」 養老 孟司
「脳×××」というと茂木健一郎さんがトレンドですね。私も“脳”に興味を
持ち、ふと、「唯脳論」を読みました。「唯脳論」は科学と哲学がないまぜになり、
脳の機能や脳の思考と社会の成り立ちなど語ったものでした。都市は脳が作った
とか、脳に描いたことを人は実現するとか、すごく哲学的でした。
これで養老さんにはまってしまい、養老さんの本で気になるタイトルのものは
読んできました。

「バカの壁」は、大ベストセラーで読んだ人も多いと思います。
そこで言っていることは、
脳の数だけ現実はある。人間は知りたくないことに対しては自主的に情報を
遮断する。これをバカの壁という。

 脳はどういう器官かというと五感から入力された情報を筋肉に運動として出力する。
脳の入出力を数式化すれば、y=ax となる。
aは、係数で「現実の重み」、この「現実の重み」=aが人によって異なる。
その人の行動に影響を与えるものだけが、その人にとっての現実だということ。
その出力は脳が勝手に決めている。従い、現実は人によって違い、脳の数だけある。
「俺の現実とお前の現実は違うんだ」ということを認めるところからしか共通の
了解は作れない。

「唯脳論」の場合もこんな調子の文が続くのですが、不思議と納得したり、ふーんと
関心するのです。

「まともな人」という本では、金欲はキリがない。なぜなら金欲は「メタ欲望」で
あるからだ。
「メタ欲望」ってなんのこと?! ○×△×■△□?(=わけ分からない)
欲望に関する養老さんの考察です。
個々の具体的欲望(××を食べたい、××が欲しい)は、それ自体を満足すれば消滅する。
しかし、金欲は、金があれば××が食べたいとか、××が欲しいといった欲望を
満たせる可能性を持つものである。つまり、抽象の階段を一段登った欲望である。
また、可能性の欲望ゆえ、金欲という欲望にはキリがない。

「唯脳論」で養老ワールドをお楽しみ哲学してください。