わたしの10冊
さよならおじさんを知っていますか

「問いかける青春」淀川 長治(日曜洋画劇場の初代解説者、さよならおじさん)
淀川さん他5~6人の先達の人たちから青春期の人たちへのアドバイスが書かれて
います。淀川さんの文章が印象的でした。
「わたしは、今だかって嫌いに人にあったことがない」と思い込んでいます、
というものでした。

 このような思いに至ったのは、淀川さんがある旅館に泊まったときのこと。
一人でゆっくり風呂に入っていたときに刺青をした人が入ってきたそうです。
あぁ、いやだなぁ、関わりたくないなと思う心と、黙っていたら気まずい雰囲気が
ずっと続くなぁと思う心が葛藤しました。でも勇気を持って自分から声を
掛けたら、見掛けとは違い打ち解けた話ができ、ゆっくりお風呂が楽しめた。
このとき以来、自分はオープンマインドで見知らぬ人に接していこうと思った
そうです。この思いが先の「わたしは、今だかって、、、」のことばです。

 ところで淀川さんは、「まぁ、あんた、きれいな模様を身体に書いてますなぁ」
と「日曜洋画劇場」や「ララミー牧場」(古いかなぁ)の解説の調子で、声を
掛けたとか。こんな意表をついた問いかけと笑顔のコミュニケーションだから
打ち解けられたのかも知れません。