博士の愛した数式
「博士の愛した数式」 小川 洋子
を読みました。
一生、大切にしたい1冊です。
今まで読んだ本の中でも、
ひときわ輝いて胸の内にあります。
「時をかける少女」の記事にも書いたけど、
忘却って悲しいよね。
これも忘却の物語です。
優秀な数学者であった博士は、
13年前に交通事故で脳に障害を負っています。
それ以来は記憶が80分間しか維持できません。
事故以前の事、
13年以上前のことは覚えているけれど、
80分前のことは忘れてしまう博士。
愛情深く、謙虚な博士なので、
記憶を失くすことで周りに迷惑をかけないよう、
その努力を惜しみません。
けなげな博士の抱える悲しみ。
80分毎に突きつけられるのは、
記憶障害という、過酷な現実です。
辛いなぁ。
でもね、
まわりの人間も辛いよね。
どんなに博士のことが大切で、大好きでも、
80分後には忘れ去られてしまう。
どんなに素晴らしい思い出も、共有することができないのです。
どうしたって、それは切ない。
でも、これは決して悲しいだけの物語ではありません。
人を大切にすること、慈しむことの素晴らしさ。
博士の、√の、「私」の、そして未亡人の、
大切な相手(そして数字)を思う愛情が
ページいっぱいに溢れています。
どんな悲しみを背負っていても、
人は人を思いやることで、そして大切にされることで
幸せに生きられるような気がしました。
さて。
採用試験の一般教養対策講座の中でも、
大っ嫌いやった「数的判断推理」(つまり数学↓)の授業。
しかし、単純で影響されやすいゃょぃちゃん(笑)
読後、数字に愛着がわくだけではなく、
10進法を計算するだけでも
なんだか自分が秘密を解き明かしてるような気分になって、
途端に楽しくなってしまうのでした(笑)
うちが中学生の時にこの小説があったならなぁ。
成績もきっと違うものに・・・なってへんか???(笑)
ゃょぃ