レディ・プレイヤー1
この映画は、10代の頃にスピルバーグ映画に魅せられたかつての若者達、ということは現在は50前後の、マーケティング的には最も軽んじられてそうなオッサン共、もっと言ってしまえば「俺のために」作られた映画であります。ひさびさに映画にドップリ浸ることができた一本でした。
ということで以下ネタバレしてます。
昨今のVRが進化したようなゲーム世界が舞台の本作。2045年という近未来の設定で、30年後の世界が表現されています。正直、VR端末はあんな海女さんのゴーグルみたいな奴じゃなくてもっと着用感の無いスマートな奴になってないかと思うのだけれど、しかし金持ちはラグジュアリーな据え置き型のデバイスが用意されているように、貧富の差によって装置も色々あるのだろうと思われマス。まあいい。些細な点だ。
ゲームの世界を悪の組織から守る為、主人公は3つの試練を乗り越える、、なんという、まあなんという厨二、、ではなく王道なストーリー!!しかしそこはスピルバーグの非凡さで、いうなれば50代のオッサンが泣いて喜ぶネタが全編にちりばめられています。自分は「ゴールデンアイのチョップ縛り」で、そのネタの選び方に明らかな俺へのメッセージを感じだのだが、3ステージ目のアタリはさすがに分からず。かなり日本人向けのネタが多いなかで、そこはやっぱりハリウッド映画であります。
それよりも。ああそれよりも第二ステージのアレ!!ネタバレと言っといてやっぱり自粛してしまうワタクシでありますが、よくもまあ、アレを。しかも「原作者が気に食わない」というアレを、さらにハチャメチャにしてしまうこの剛腕さ。アクションCG映画花盛りな現在において、20世紀とは監督の顔ぶれも確かに随分変わっていますが、しかしそういう若い人たち(実際に若いかどうかは知らんが)にはおいそれと手を出せない、これはスピルバーグしか出来ないシーケンスであります。
絶対悪みたいな悪人が出てこないのもスピルバーグらしい。というか、今回の悪役が最後の最後で主人公へのトドメを思いとどまるシーンを見て、「そういえばスピルバーグってこうだった」とひさびさに思い出した。スピルバーグ監督作や製作総指揮の映画が自分にとってひときわ輝いていたのは、「レイダース」から「ジュラシック・パーク」のあたりまで。今では全部を見ている訳ではないし、見終わってイマイチだった映画もあった。製作総指揮として関わった映画については、当時の世評では「スピルバーグはハリウッドの商業主義に染まった」みたいな論も多く、十代の小僧(当時)の分際で、小賢しげにそういう批判的なスタンスで見てしまい、映画を十分に楽しめない事もありました。けれども「レディ・プレイヤー1」を見て、十代の自分は、スピルバーグが作った空想の世界にドップリとハマり、心ゆくまで楽しんでいたのだということを改めて自覚した次第です。それはもう、この映画の主人公と、オアシスを作ったハリデーの関係みたいなものだと思う。
ハリデーが最後に言った"Thank you for playing my game" のセリフで不覚にも泣いてしまったのも、自分の若いころとスピルバーグ映画を重ねてしまったからだろう。あれは「僕の作った映画を楽しんでくれてありがとう」というスピルバーグからの、当時夢中になってスクリーンを見ていた観客達へのとても明快なメッセージだと思う。