女子ーズ | 今日も定時ダッシュ

女子ーズ

 なんとなく面白いだろうなーと思って観てみたらば想像以上に面白かった「女子ーズ」でございました。

 女三人寄れば姦しい。五人も寄ればそりゃまあ話題の尽きることなくいつまでもいつまでも益体も無くおしゃべりが続くのでしょうが、これは映画なので最低限のストーリー進行のためにほどよくトークが打ち切られて次に進むため、案外テンポ良く映画は進んで行きます。5人がそれぞれしっかりと個性付けられているので、ボケとツッコミ的にトークの役割がハッキリしているのも尚良し。全編にわたって笑ってしまったのですが、チャン・グンソクのくだりで腹筋崩壊してしまいました。

 ガールズトークといえばタランティーノの「デスプルーフ」で女4人のトークがえんえんと続けられていましたが、あのトーク自体のナニにも繋がらなさにくらべれば「女子ーズ」はまだまともなもの。自分の周りでは「デスプルーフ」はトークが無駄だという人が多かったけれど、個人的にはアレもイケたクチなので、「女子ーズ」が面白かったのも自分が女の子同士のワチャワチャしたやりとりが好きだからかもしれない。混ざりたいとは決して思いませんが。

 桐谷美怜が演技するのを見るのはこれが初めてなのですが、戦隊ヒロインらしい熱さとヘナチョコさのどちらも備わってて好演。この人の器量は案外コメディエンヌに向いていそう。有村架純と高畑充希の二人は去年のNHK朝ドラの出世株なのでてっきりそれから出演が決まったのかと思いましたが、この映画の撮影は去年の3月とのことなので、これは監督の目が高いというか、図らずも良い買い物をしたのではないかと思う。藤井美菜は本来ツッコミ側の役だけれど、高畑充希にちょっと食われた感じ。山本三月はwikiで見たらもうすぐテレビ東京で「アオイホノオ」のヒロインを演じるそうで島本和彦つながりでそっちも楽しみ。

 この映画はほうぼうでユルい映画と言われ、監督や出演者もインタビューでユルいと発言し、自分もまあユルいと言われれば確かにユルいとは思う。ただ、題材が戦隊モノで演出がユルいから「こんなのはコントだ」という感想がチラホラありましたが、うーん。自分のツボがこの映画のセンスと一致したから擁護したいだけかもしれませんが、「女子ーズ」はしっかりと映画であると思いました。

 ここで「女子ーズ」が映画である理由をハッキリ言葉にできればワタクシはプロの評論家として食えている筈なのでアバウトな言い方になってしまうのですが、例えば「渇き。」の血みどろやバイオレンス表現に当てられて「これぞ映画ならでわ」という感想があるとすると、そういった過激な表現は映画でしか出来ないということには同意しつつ、「渇き。」の表現が映画的かというと決してそうでは無く、「女子ーズ」のほうが遥かに映画的なんじゃないかと大真面目に思うのだ。

 例えば桐谷美怜がカメムシゲルゲを倒すためにファブリーズを買いに行くシーン。彼女が「買って来る!」と言って踵を返すと、カメラは怪人の背中越しにファブリーズを買いに走る桐谷美怜の姿を見切れるまで遠景で放置し続ける。その後どうなったかは女子ーズたちの会話で簡単に示される。この一連のシーケンスで監督はナニをしたかったかといえば、おそらく監督は一生懸命走る桐谷美怜を映し続けたかったのだと思う。

 この映画のクライマックスである桐谷美怜が他のメンバーを集める中に、歩道橋の通行量調査を行う高畑充希に付き合ってものすごく長い間カメラが全く動かないシーンがある。たまに通る通行人に向ける二人の顔がわずかに動く程度で、監督はこの二人を放置し続ける。これは何事ならんと、観ているこっちは目の穴かっぽじって見入ってしまい、その時の感じは(比較して申し訳ないが)「渇き。」ではついぞ味わえなかった緊張感だった。これは「ぼのぼの」の4コマによくある、全く同じ絵の中に小さな変化があってその違いをクスリと笑うように、映画ではあれだけの尺が取られたのだと思う。二十世紀少年を読むブルーのシーンも、森の木Bを演じるグリーンのシーンも、余計なカット割りや不要なアップを入れずに、女の子たちの掛け合いや妙な動きをじっくりと見せている。そもそもこの映画の大枠である戦隊モノ自体が、女の子を5人集めて、彼女たちの掛け合いや行動をじっくりと見せるためのマクガフィンとしてしか存在しておらず、だからこそ怪人との戦闘の結末はどれもアッサリと省かれている。

 監督が見たいもの、観せたいと思うものを隠さずに大きなスクリーンに余さず捉える。それは日本のRPGの多くが見誤った「壮大なストーリー」といったアバウトなモノではなく、人が走る、ご飯を食べる、飛行機が飛ぶ、宇宙船が墜落するといったように、必然的にそれは動きの羅列になる筈で、ストーリーは動きをつなぐための接着剤に過ぎなくなる。なんとなく自分が考えている映画とはそういうモノで、「女子ーズ」は監督が見せたい動きをしっかり観客に示せている点において、非常に映画的なのだと思います。